黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン

Lesson 9 ワインボトル 撮影のポイントとアイデア

写真・解説:黒川隆広

「商品写真」の目的は、商品の形、色、材質、さらにはクオリティやイメージを正しく伝えること。その目的に合わせて最適なレンズやライティングが決まります。
この連載では「商品撮影」を基本から考えます。

「ガラス瓶の光沢感」「瓶の立体感」「液体の透明感」「前面のラベルの描写」「色のある瓶、液体の正確な色再現」「切り抜きカットのエッジ表現」などが、ワインボトルや洋酒などの商品撮影、切り抜きカット撮影のポイントです。

基本的なライティングは3灯。

メインライトはラベルの部分が明るくなるようにトップやや手前から入れます。

サイドからのハイライトは、通常、ボトルの左側に縦長に入れ、光沢感を出します。

背景はアクリルボードをセットして、その後ろからライトを入れ、透過光で瓶の内部を明るくします。


ワインボトルの基本ライティング

トップ、サイド、背景(バックライト)3灯、「白バック」の基本ライティング。
背景を飛ばす場合、ボトルと背景の明るさ比はボトル1:背景2〜2.5(ボトルf11適正の場合、背景f16.5)。


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ボトルのレンズ効果により背景が広く写るため、背景の乳白アクリルボードは、横長のものを使用。片面マットのアクリルを使うと、手前のライトが映り込まない。


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被写体のエッジを出すために、黒ボード(黒ケント紙など)で被写体の周囲を囲む。ラベル下側が暗くなってしまう場合、ボトル手前にレフ板を入れる。トップライト(メインライト)がサイドライト(ハイライト)のグラデーションに影響するので黒ボードでカットする。




切り抜き写真の「黒締め」のポイント

背景ライトで被写体のエッジが滲むため、ボトルなどの切り抜き撮影では商品の形に切り抜いた黒ケント紙などのボードで余分な光の回り込みをカットして(黒締めして)、エッジを出していく。


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ボードを真横に平面で入れると輪郭のシャドーが太くなる。下図のように斜めにするとシャドーが細くなる。 背景ライトだけで、きちんと輪郭をしめることができているか確認する。


黒ボードは真横に入れない

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黒いボトルの肩のハイライトは後からレタッチで消す方が簡単

この形状の赤ワインのボトルは、 トップからライトを打ちラベルを明るくすると、 肩の部分にハイライトが必ず映り込んでしまう。


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左:赤丸部分がトップライトのハイライト。ハイライトをなくそうとすると、トップライトがボトルよりも奥に行ってしまい、ラベルを明るくできない。レタッチで消す方が簡単。
右:ハイライトを消して完成。作例のように黒ボトルの階調のない部分ならば、ハイライトは簡単に消せる。


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黒川隆広 くろかわ・たかひろ


amanaにて、30年間、商品撮影を中心に活動。2016年退社後、アライアンス社員として連携。現在は大手ECサイト商品撮影講座講師、写真の学校特別講師他、セミナー、イベントなどで写真の学びの場を提供。プロからアマチュアまで、また企業から個人向けまで、プライベートレッスンも受け付けています。


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