黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン

TIPS篇 02-05 缶を水に落とす時の隠し技・ネイルカラー撮影・他

写真・解説:黒川隆広

クオリティと効率を求められる商品撮影では、ちょっとした工夫やアイデアで、仕上がりを良くしたり、後処理を簡単にしたり、撮影を効率的に進めることができるのです。今回はミルククラウン、缶を水に落とす撮影の隠し技、円形ネイルカラーサンプルの撮り方、液体のこぼれカットの撮影方法。

TIPS 02 ミルククラウンは点滴セットで水滴を大きく


ミルククラウンなどの撮影で高く大きなクラウンを作るためには、高い位置から大きめの水滴を落として、跳ねる力を強くします。

その際、便利なのが医療用の「点滴セット」。

滴の落ちるタイミングも調整できます。

大きなお皿に薄く牛乳を張ることで、跳ね返りも強くできます。

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一定間隔で、一定量の水滴を落とすには「点滴セット」が便利。通販サイトなどでも購入可能。



TIPS 03 缶を水に落とす時の隠し技


ビール缶などのラベルを上に向けて水槽に落とす俯瞰撮影。

そのまま水に落とすと、缶の丸みでしぶきがラベル面にも回り込んでしまいます。

しぶきはできるだけ勢いよく跳ねさせたい。

しかし商品の顔であるラベルや商品名が水で隠れてしまうのはNG。

そこでラベルと逆の面に薄い板(アルミ板など)を貼り、水にあたる部分を平面にしておくことで、しぶきを外に広げます。

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水を張った透明アクリル水槽に薄手の乳白アクリルを沈め、缶を落として俯瞰から撮影する。基本のライティングは、トップ(水槽上)からのライトでラベル面を明るくし、水槽下からのライトで水の透明感を出す(ライトの数は撮影状況によって変わる)。 ライトにカラーフィルターをかけると水に色をつけることもできるが、透明の水のままだと缶にあてたライトでアクリルの白さが出てしまい、カラーフィルターの色が再現できない。ここでも水に墨汁を混ぜてグレーにしてバランスを取ると、フィルターの色を綺麗に再現できる。



TIPS 04 円形のカラーサンプル撮影方法


ネイルカラーなどのカラーサンプルを、ハイライトの入った立体的な写真で撮る方法。

までは平らな面に垂らして切り抜きで丸く形を整えていたが、液体の表面張力を利用し、細い円柱アクリルの上に液体を垂らして撮影してみました。

この方法ならいくつものカラーサンプルを撮影する場合も、同じサイズの円形サンプルが簡単に撮影可能。

ツメと同サイズの直径の円柱を使うことで、ラメ感なども実際にツメに塗った状態を正確に再現できます。透明素材も撮影可能です。

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ツメと同じくらいのサイズの直径を持つアクリル円柱を用意。ネイルカラーを慎重に垂らすと、粘度のある液体の表面張力でフチからこぼれずに、正確な円の形になる。複数のネイルカラーも同じセットで撮影すれば、同じ形、同じサイズ、同じ位置にハイライトを入れて仕上げることが可能。アクリル円柱は透明ガラスの上に置き、乳白アクリルを20cmくらい離して重ね、下から光を入れて背景を飛ばしている。



TIPS 05 同じ形の「こぼれカット」を撮る


テーブルにこぼしたような液体を自由な形で撮りたい場合、透明なガラスやアクリル板にサンドブラストなどで浅く型を彫り、液体を流し込みます。

表面張力で液体が盛り上がるように流し込めば、立体感のある「こぼれカット」が撮れます。

透明の液体は彫り跡が透けてしまうので、アクリル板をレーザーなどで型抜きして、下にもう1枚アクリル板を重ねます。

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型を使って撮影した液体の「こぼれカット」。

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ガラスや透明アクリルにサンドブラスト、レーザーカットで型を彫る。専門の業者に依頼するのが簡単。

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