黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン

TIPS篇 01スプラッシュの合成用素材は水に墨を混ぜる 

写真・解説:黒川隆広

「商品撮影基礎レッスン」は今回からTIPS篇に突入。クオリティと効率を求められる商品撮影では、ちょっとした工夫やアイデアで、仕上がりを良くしたり、後処理を簡単にしたり、撮影を効率的に進めることができるのです。

「水のスプラッシュ(しぶき)を背景にした飲料やコスメなどの撮影では、商品と水を別撮りして、後から合成するという方法がよく行なわれます。

スプラッシュは透明感を出すために、アクリルボード越しの逆光で撮りますが、その際、背景を飛ばしてしまうと、水の輪郭やディテールも飛んでしまいます。

逆にライト出力を下げて背景をグレーにしてしまうと、後からスプラッシュ部分を細かく切り抜かなくてはなりません。

そこで水に墨汁を少しだけ混ぜます。黒く色のついた水を撮ることで、背景を白く飛ばしてもしぶきの輪郭、ディテールは飛びません。

黒くなりすぎても白くすること(透明にすること)は簡単ですし、水に色がついている方が、ハイライトやカラーライトの映し込みもはっきりと出ます。

T01-01.jpg T01-02.jpg

商品に水のスプラッシュを重ねた作例。左の商品はローションなので透明の水、右は乳液なのでミルクで作ったスプラッシュ素材を合成。下の写真はスプラッシュ素材の一部。


スプラッシュ撮影のセッティング例

T01-03.jpg

●透明の水は墨汁で薄い色をつけると、ライティングで背景を飛ばしても、スプラッシュの輪郭やディテールは飛ばない。


●背景のライトにカラーフィルターをかけると、液体に色をのせることができる。色が強すぎないカラークリアファイルで代用してもよい。


●コンパクトストロボをアクリル背景の手前下から入れて、飛び散った水滴に点光源でハイライトを入れる。


T01-04.jpg

●投げた水は頂点で一瞬止まるので、そのタイミングでシャッターを切る。


関連記事

powered by weblio