基礎から始める、プロのためのライティング アップデート

ストロボで水の動きを止める瞬間撮影|準備編

撮影・解説:高井哲朗

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プロフェッショナルライティングの基礎から実践までを解説した技法書「基礎から始める、プロのためのライティング アップデート」。プロのスタジオライティングの考え方とテクニックが詰まったこの本から、「第5章 高速ストロボと水を使ったプロダクツイメージ」を5回にわたり掲載する。今回は、水を使った撮影には何が必要となるのか、その準備について解説する。

水槽を使った撮影セット

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夏、水と商品を絡めた涼しげなビジュアルが化粧品や清涼飲料水の広告を飾る。

img_tech_update01_02.jpg 水槽に被写体を落としてタイミングを計りシャッターを切る。何度か繰り返すと徐々にタイミングが合ってくる。

こうした撮影は、水しぶきや水滴の動きをブレずに止められる高速閃光ストロボの登場によって可能になったものだが、予測できない水の動きをジャストのタイミングで撮影するためには、幾度もシャッターを切る必要があり、非常に手間の掛かる撮影だった。しかし「何度もトライ&エラーができる」「撮ったその場で写真を確認できる」「撮影後の合成処理で精度を上げられる」というデジタル撮影になって、その敷居は大分下がったのではないだろうか。

水を使った撮影で必要なものは、まずアクリルやガラスの水槽。水槽越しに撮影することが多いので、できるだけ透明なものを用意する。水槽下からライトを入れる場合は、スチールフレームの撮影台にガラスと乳白アクリルボードを重ねて、その上に水槽を置く。

最も気をつけなくてはならないのは、機材に水がかかること。故障だけでなく、大電圧を溜めるストロボ機材では、最悪、大事故にもつながりかねない。ストロボヘッドをビニールで覆うなどの保護は当然だが、ケーブルが這う床も絶えず乾いた状態にしておくように心がける。

水槽を用意する

img_tech_update01_03.jpg 水槽は撮影内容によって使い分ける。しぶきを作ったり波を立てたりするため、余裕を持った大きさが必要。


img_tech_update01_04.jpg 水道から水を引くためのホース、排水用ポンプなどがあると便利。被写体に合わせて着色した水や、炭酸水などを使うこともある。


高速閃光ストロボ(ジェネレーター)

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写真はbroncolorのジェネレーターscoro。1/12,000秒の高速閃光が可能。しぶきを完全に止めるには1/10,000秒近くの高速閃光が必要だが、写真的には完全に動きを止めるより、1/5,000秒前後が美しい場合もある。

img_tech_update01_07.jpg 水がかぶらないようにストロボヘッドは耐熱性ビニールで完全に覆っている。通常のビニールではストロボの熱で溶ける可能性があるので注意。


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水性インク

水の着色用。染料系のインクは透明度が高く、水を濁らせたい場合は顔料系絵の具を使う。

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耐水、防水性テープ

水中に被写体を固定する撮影の際に使用。

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曇り止め/紙製ウエス

ライトの熱で水槽が曇るので、曇り止めスプレーは必須アイテム。右は紙製ウエス。普通のティッシュペーパーに比べて、拭き取った後に繊維の付着が少ないのが特徴。

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基礎から始める、プロのためのライティング アップデート

2002年刊行以来、プロ入門向け撮影/ライティング技法書として広く親しまれてきたMOOKを、現在のデジタルカメラ、照明機材に合わせ大幅に「アップデート」。ストロボの基本的な使い方、各種リフレクターによる光質の違いといった基本から、切り抜き商品撮影、水を使った高速ストロボ撮影、ポートレイトのライティングパターンなどの応用までを解説する。


価格は2,800円+税



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