フォトグラファーのためのタブレットPC活用術

Kindle電子書籍の写真集を自分で作る

杉山宣嗣

フォトグラファーの杉山宣嗣氏が2013年4月に「Kindleで写真集を出そう!」という電子書籍を出版して以降、Kindle写真集に注目が集まっている。Kindleダイレクト・パブリッシングの仕組みを利用することで、出版社や取次を経由することなく、作家自身の手で電子書籍の写真集を出版できるというのだ。Kindle写真集の現状について杉山氏に話を聞いた。

盛り上がってきたKindleのセルフパブリッシング

img_special_tablet02_01.jpg 杉山氏が1994年に出版した写真集「Cupid note」(左)と、そのKindle版(中央、右)。タブレットやスマートフォンで見ることができる。

───Kindleでの出版を始めた経緯を。

img_special_tablet02_02.jpg 杉山宣嗣氏

杉山 2012年10月に日本のKindleストアがオープンして、それと同時に日本版のKindleダイレクト・パブリッシングも始まりました。その時すぐにKindle写真集を何冊か出したんですが、何も宣伝していないのに売れたんです。Amazonには「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というオススメ機能が充実していますよね。最初の頃は写真集の品揃えが少なかったし、この機能のおかげもあって売れたんだと思います。

他のストアでも写真集を出していますが、Kindleストアの手応えは全く違いました。これは面白いと思って、年明けまでに10冊ぐらい出したら、相乗効果でかなり話題になったんですね。そうしたら、いろんな人から作り方を教えてほしいと頼まれて。最初の頃は1人1人教えていたんですが、興味のある人がこんなにいるなら本にしたほうが早いと思って、「Kindleで写真集を出そう!」を書いたというわけです。

───そのおかげでKindleのセルフパブリッシングが盛り上がっています。

杉山 自分1人で情報を集めるのが大変なので、「電子書籍を出そう!」というFacebookグループを作りました。僕の本の読者が中心なんですが、その人たちが僕の知らないことをいろいろ教えてくれるんです。オンラインの世界って何でもそうですが、細かい手順が頻繁に改訂されたり、新機能が追加されるので、みんなに教えてもらったことも含めて何回か書き直して、いま5版になっています。

Kindle写真集の作り方を解説した電子書籍

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Kindleで写真集を出そう!」は電子書籍作成サービスPubooでの写真集の作り方、「Kindleで作品集を出そう!」はKindle Comic Creatorでの出版について解説。
img_special_tablet02_05.jpg Kindleで写真集を出そう!」の出版をきっかけに、IT企業や大学、専門学校などから講演依頼が相次いでいる。「Kindle写真集の伝道師」とでも言うべき活躍ぶりだ。

Kindleならではの写真集の作り方とコツ

───Kindleで写真集を作るにはどうすればいいんですか。

杉山 最初の頃はPubooという無料の電子書籍作成プラットフォームを使っていました。このサービスはAmazonが運営しているわけではないんですが、Kindleのフォーマットに書き出すことができます。とても操作が簡単なので、一般の人にもオススメです。

その後AmazonからKindle Comic Creatorという、マンガを電子書籍化するための無償ツールが出ました。マンガも写真集も同じビジュアル本なので、これで写真集を作れますし、Pubooでは写真の全面表示が難しいんですが、これなら縦位置でも横位置でも全面表示ができます。

こちらのほうがプロに向いているので、いま同業者の方にはこちらをオススメしています。自分自身でも、既刊のKindle写真集をKindle Comic Creatorで作り直しています(該当するタイトルには「Version KC2」と書かれている)。Kindle Comic Creatorの使い方は、解説書第2弾の「Kindleで作品集を出そう!」を出して、そちらに詳しく書きました。

Kindle Comic Creatorで写真集を作る

img_special_tablet02_06.jpg img_special_tablet02_07.jpg Amazonは無償でKindle Comic Creatorを配布しており、このソフトで作成した電子書籍はKindleストアで販売できる。海外のKindleストアはPCやMacに対応している場合もあるが、日本のKindleストアは現在のところKindle端末、iOSとAndroidのタブレット、スマートフォン向けの電子書籍のみを扱っている。

───作り方のコツはありますか。

杉山 Kindleでは買う前に試し読みできる機能があって、無料サンプルをダウンロードできます。それは全体のページ数の10%くらいで、しかも頭の方から10% 。この無料サンプルが売れ行きを左右するので、紙の写真集は起承転結を意識して作りますが、Kindleの場合はいきなり最初の方にいい写真を並べた方がいいんです。

───写真は何枚必要ですか。

杉山 最低でも30枚、基本的には50枚前後で1冊にするのがいいと思います。Kindleストアで販売できる電子書籍の容量は50MBが上限で、そのほかにも10MBを超える場合は1MB 1円の配信手数料を作家自身が負担する必要がありました(ロイヤリティ70%の場合)。なので、10MBを超えないように50枚と言っていたんですが、最近この配信手数料が無料になったので、50MB以下なら何枚でもいいみたいですね。

───Kindleは実際に売れますか。

杉山 KindleストアはAmazonがやっているだけあって、コンテンツに対してちゃんとお金を払ってくれるお客さんが多いんですよ。売れる数も他の電子書籍マーケットとはケタが違うというのが現状です。

Amazonでは、ISBNコードさえ取得すれば、自費出版した紙の本も売ることができます。まずKindle版を出して、反応が良かったら紙版を出すというのも面白いんじゃないでしょうか。

Kindleは世界に向けて出版できるので、もっと多くのプロに参加してほしいと思います。僕がこれまで出した写真集は、昔の本をKindleで出し直しただけなので、2014年は僕自身も新作でヒットを狙っていきたいですね。

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過去の写真集と同じタイトルをつけて制作したKindle版は、全部で10タイトルほどあるという。フィルムをスキャニングしたデジタルデータを保存していたので、Kindle版はそれを利用して制作している。

新登場のKindle Fire HDXは高精細液晶とsRGB対応で写真を美しく表示できる

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写真左はKindle Fire HDX 7、右はKindle Fire HDX 8.9。ディスプレイの解像度は7インチが1920×1200 / 323ppi、8.9インチが2560×1600 / 339ppi。基本的な機能は両モデルとも共通で、8.9インチのみ8メガピクセルの背面カメラを搭載する。バッテリー駆動時間は、7インチが最大11時間(書籍のみの場合17時間)、8.9インチが最大12時間(書籍のみの場合18時間)。価格は7インチが24,800円、8.9インチが39,800円。

Kindle Fire HDXはAmazonの新しいタブレットで、7インチと8.9インチの2タイプがある。従来のKindle Fire HDタブレットに比べて、ディスプレイの解像度が飛躍的に向上し(7インチで323ppi、8.9インチで339ppi)、色再現域は100%sRGBを実現し、さらに視野角の広いIPS液晶パネルを採用するなど、フォトグラファーにとっても注目すべきスペックを誇っている。編集部が実機を見たところ、タブレットの中ではトップクラスの写真再現力と言えるだろう。


プロセッサーの処理能力は前世代機の3倍になり、最新のグラフィックエンジン、2倍になったメモリで、快適な操作性を実現している。重量は8.9インチで374g、7インチで303gと、iPad Air(469g)、iPad mini Retina(331g)よりもさらに軽量である。


OSは、Andoroidをベースにした独自のFire OS 3.0。アプリは専用のストアからしかインストールできないが、アマゾンジャパンによると「今後は写真関係のアプリを充実させていく」というから楽しみだ。8.9インチモデルには8メガピクセルの背面カメラも用意されている。


Kindle Fire HDXは写真や動画等様々なコンテンツを楽しむためのタブレットであり、フォトグラファーの仕事用端末とは言いにくいが、ディスプレイの品質が非常に高いので、Kindle写真集や、写真を多用する電子雑誌は今まで以上にリッチな楽しみ方ができる。Android系のタブレットの中では傑出した製品であり、フォトグラファーも注目すべきタブレットに違いない。(編集部)


取材写真:坂上俊彦


※この記事はコマーシャル・フォト2014年1月号 特集「フォトグラファーのためのタブレットPC活用術」を転載しています。

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