2015年05月29日
約5060万画素フルサイズCMOSセンサーを搭載した一眼レフ最高の解像度を誇るキヤノンEOS 5Ds。6月の発売前から、広告制作に携わるプロフォトグラファーからも注目を集めている。5Dsのベータ撮影機で同社ミラーレスカメラEOS M3グラフィック広告を撮影した田島一成氏に使用感を語ってもらった。
約5060万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載。ミラー振動制御システムを採用し、ミラーショックによるブレを防ぐ。ローパスフィルター効果キャンセルモデルEOS 5Ds Rとともに6月発売予定。
舞台は2月下旬のパリの街並みが眼下に一望できるオペラ座の屋上。「世界を手に入れろ」をテーマに黄金に輝くアポロン像をバックに妻夫木聡さんがカメラを手にする姿を日中シンクロでドラマティックに映し出した。
優れた機動力と圧倒的な高解像度が魅力、様々な媒体サイズに対応できる
───今回、田島さんから5Dsでの撮影をリクエストされたとお聞きしました。
田島 事前に駅貼りから被写体にグッと寄ったレイアウトまで様々な媒体サイズで展開されると聞いていたので、僕が普段使っている5D Mark IIでは解像度の面で少し不安があったんです。
高解像度のフォーマットで撮影すれば、安心してトリミングできるので、5Dsが必要だと判断してお借りしました。
───撮影現場はどんな状況でしたか?
田島 天候が悪い日が続き、帰国の前日にようやく晴れて撮影に望みました。
しかもオペラ座はセキュリティが厳しく、一度に5人くらいしか屋上に上れず演者と僕と監督、照明、コーディネーター以外は前室で待っている状態。限られた時間の中でグラフィックとCMの両方を同時進行で撮影するので、寄りヒキしながら撮る時間もスペースもない状況でした。
───これまでも仕事で一眼レフを使ってましたか?
田島 使うこともありますが、解像度の問題から中判カメラで撮ることも多いです。
ただロケの場合は人物と背景を探りながら撮りたいことも多いんですよ。そういう時は手持ちでズームレンズを使ったほうがいいし、中判ではレンズの種類も少なく、手持ちも難しいじゃないですか。
5Dsならレンズも選べる上に、中判カメラに匹敵するくらいの解像度ですから、これから使う機会が増えるんじゃないかと思ってます。
前機種ユーザーにも使いやすいデザイン
───実際には使ってみていかがでしたか?
田島 高解像度の安心感はもちろんですが、それ以外で感じたのはハードウェアの仕様が5D Mark IIIから変わっていないことはありがたいですね。プロが現場でいじる設定はだいたい限られているので、インターフェースが一新されると、かえって戸惑ってしまうことがあるんです。前機種で慣れている人でもすぐ使えると思います。
───画質で感じたことは?
田島 逆光で撮った時のハイライトのラチチュードはすごく良かったですね。太陽をフレームに入れて、そこに合わせて露出を作ったので絞りきるのが難しかったですが、それでも太陽の周りのディテールがかなり出ていたと思います。
───フォーカスはどうやって確認しましたか?
田島 液晶モニターだけで行ないました。普段ならPCでアートディレクターやクライアントに確認してもらえますが、その間に雲は動いてしまうし、確認の時間さえ取れない状態だったのでPCには接続せず、カードだけで撮ってました。読み込みを待つ時間も少なく、ストレスを感じませんでした。
超広角レンズでドラマティックな画作りを
───ワイドならではのドラマティックさが出てますね。レンズは何を使いましたか?
世界最広角11mmの焦点距離と歪曲収差を抑えた超広角ズームレンズ。被写体に迫り背景をダイナミックに撮影できる。今回の事例では、本レンズを使用。
田島 EF11-24mm F4L USMです。アートディレクターが作っていたカンプが、ワイドで撮られたようなドラマティックな画だったので、その世界観を最大限に出すためにセレクトしました。
今までこういう超広角レンズを使う機会は少なかったんですが、新しく発売されたレンズということでお借りしました。現場では幅1mくらいの通路にしか立てない中でアングルを探るには良かった。このロケーションにはばっちりでした。被写体とは2mも離れてない状態でしたが、ドラマティックな画が撮れたと思います。
───広範囲をワンショットで捉えてますね。レンズの歪みは感じましたか?
田島 仕上げの段階でPhotoshop でゆがみ補正を使ってはいますが、被写体の歪みも少なかったです。
ファッションの仕事を始めた20代の頃、20mmをよく使ってましたが、最近またワイドで煽るような写真が流行ってるので、普段の仕事でも使う機会が増えるんじゃないかな。今までここまでワイドなものはなかったし、ズームレンズってアングルを見てズームも変えながら、ゆがみ具合とか被写体の見え方が掴みやすいんですよね。
───仕上げはどういう工程で行ないましたか?
田島 RAWで撮影して現像はキヤノンの専用ソフトウェアDigital Photo Professionalを使いました。ポートレート設定で色温度や露出、ハイライトのディテールを仕上がりに近いところまで仕上げました。現像の段階でもシャープネスをかけてますが、最終的にPhotoshopで再度、シャープネスをかけてます。
───最近では、1回の撮影で撮ったものを色んな媒体に使うことが増えているので、そう言う意味では時代に合ったカメラかもしれません。
田島 それぞれの媒体ごとに撮れるのが一番いいんですけど、そうもいかない場合がありますからね。
必ずしも天候に恵まれるわけじゃないし、被写体だって何度も同じ表情ができるわけじゃない。そういう意味ではいいですよね。この画素数で状況によっては手持ちもいける。撮影のバリエーションが増えるのは嬉しいですね。
※この記事はコマーシャル・フォト2015年5月号から転載しています。
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