2016年09月14日
約5060万画素センサーを搭載し、一眼レフ最高の解像度を誇るEOS 5Ds。高画質と機動性の両立によって多くのフォトグラファーの注目を集めている。このカメラでEOS M10の仕事をした辻佐織氏に話を聞いた。
約5060万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載。ミラー振動制御システムを採用し、ミラーショックによるブレを防ぐ。ローパスフィルター効果キャンセルモデルEOS 5Ds Rも用意されている。
キヤノンEOS M10 カタログのために撮影した1枚。レンズはEF85mm F1.2L II USMを使用(他の写真も同様)。
───辻さんとEOS 5Dsとの出会いを教えてください。
辻 最初はキヤノンEOS M10のカタログ撮影で使用させてもらったのですが、気に入ったので、すぐに自分で購入しました。撮影時にたくさんのレンズを借りてテストさせてもらったので、自分の好きなレンズを幅広く試すことができました。
EF85mm F1.2L II USM はf1.6ぐらいの絞りでも被写界深度がかなり浅くて、まるで8×10のような写真が撮れますね。ピントを合わせるのは難しいんですが、溶けていくようなボケの感じがたまりません。ほかにもキヤノンはティルトシフトレンズが豊富だし、開放値がf1.4と明るいEF35mm F1.4L II USMなども一度使ってみたいレンズです。
もともとキヤノンの一眼レフはずっと使っていて馴染みがありました。私の写真はあまり「ぱっきり」というタイプではないので、ほどよい柔らかさがあって、少しアンバーを感じるキヤノンのレンズと相性がいいんじゃないかと思います。
暗部にアンバーが乗ることで深みや厚みを感じるEFレンズ
───昔からキヤノンのレンズは暖色系と言われていますよね。
辻 キヤノンのEFレンズは暗部にアンバーが乗っていて、それが写真に深みとか厚みを与えてくれるような気がします。私がカメラの個性を見る時は、暗部とハイライトにどのような傾向の色が乗るのかを判断基準として見るのですが、カメラメーカーによってそれぞれ特徴がありますね。
暗部に赤が多少乗っていると深みが出るという話を聞いたことがあるのですが、デジタルでは赤みやアンバーみというのはかなり重要な色じゃないかという気がします。また、ハイライトにどのような色が乗るのかも大事だと思っています。全ては、バランスですね。私個人としては、ハイライトに少しだけシアンを感じる方が好きです。
───色は現像ソフトによっても違ってくると思いますが。
辻 5Dsで初めて撮影した時に、改めていろんなソフトを試そうと思って、純正ソフトのDPP以外にもCamera RawやCapture Oneなどで現像してみたのですが、最終的にはDPPがいちばんしっくりきました。当たり前ですが、ピクチャースタイルをそのまま反映させてくれるのでJEPGの素直さが自然に出ます。無理がないというか。
ピクチャースタイルでいうと、私は「ポートレート」が好きなんですが、撮影時の素直な色が出せたのはDPPだけでした。やはり純正ソフトだけのことはあると思います。EOS M10のカタログも「ポートレート」で撮影しましたが、モデルの肌が滑らかに出たと思います。
それから最近知ったのですが、Picture Style Editorというソフトを使うとピクチャースタイルを自由にカスタマイズできるそうなので、これからはもっと色やピクチャースタイルについて研究したいと思っています。
企画制作=博報堂+TUGBOAT+TUGBOAT2 AD=加藤建吾 Pr=三ツ橋憲司・草野剛 D=関川卓也 P=辻佐織 ST=トシオ タケダ HM=森川丈二 A=青木むすび Nail=ハンズオン Model=KASIA_A PM=野田恭平
階調が柔らかい5Dsの画質はフィルム世代に好ましい
───5000万画素の5Dsの画質についてはいかがですか?
辻 以前、3000万画素クラスのカメラを使っていたことがあるんですが、それと比べても解像度が高いのは実感します。にもかかわらず、あまりデジタルのパキッとした感じが出過ぎていないのが、いいですね。肌のトーンがすごくナチュラルに出るし、ピントが合っているところからボケていくエッジ部分のグラデーションがきれい。
階調が豊かで、気持ちよく溶けこんでいく感じです。解像度が高くても、柔らかめの絵作りになっているからでしょうか。
───細かいところまでピシッと写ることよりも、そういった部分の方がむしろ好ましいんですね?
辻 そうですね。私はフィルムの時代から撮影の仕事を始めて、今でもフィルムで撮影することがありますが、そういうフィルム世代にとって5Dsの画質は受け入れられやすいと思います。
デジタルカメラって、解像度やコントラストが上がりすぎると「生っぽい」絵になりがちで、特にロケなどは工夫が必要ですが、5Dsなら自然光で光が回っている室内であれば、そのままで大丈夫だと思います。
───カメラの操作性はいかがですか?
辻 中判カメラに比べると機動力があってタフなので、海でも、埃っぽいところでも、どこにでも持って行けますね。先日も海外ロケに持って行ったばかりです。
実は今度、飛行機が離陸する瞬間をアップで撮る仕事が入っていて、800mmの超望遠レンズをつけて撮る予定です。いろいろなレンズが選べるのも、やはり一眼レフだからこそだなと思います。ズームの刻みも多いですしね。
スタジオのモデル撮影なども優秀なオートフォーカスでガンガン撮れますし、どんな現場でも頼りになりますね。
一眼レフで5000万画素の5Dsは、メインカメラにもなるし、サブカメラにもなる万能のカメラだと思います。
つじ・さおり
札幌出身。1999年よりフリー。2003年AERIEを設立。2002年、2004年、2006年ADC賞。CM、グラフィック広告、雑誌、CDジャケット等で活躍。
※この記事はコマーシャル・フォト2016年1月号から転載しています。
- EOS 5Ds × Munetaka Tokuyama 「35mmの機動性と高画質を合わせ持った プロフェッショナルのためのカメラ」
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