Final Cut Pro エフェクトの基本

不透明度とレイヤー合成

解説:斎賀和彦 作例映像:南雲暁彦(凸版印刷)

前項では映像の重なりを「モーション」タブでサイズ/位置的に操作した。本項では合成の考え方で操作する。もっともシンプルなのは不透明度のコントロールで、上のトラックの透過度を変えて下の映像を透かす定番手法。これを単に透かすのではなく輝度を元に加算したり減算したり、様々な演算式で映像を合成する手法が用意されている。独特の映像作りに応用が利くモードだ。

不透明度と12種類の合成モードを比較する

img_soft_fcp_effect07_01.jpg

上位トラックの「cut_012」に不透明度と合成モードを適用

合成モードは上下のトラックのピクセル情報を演算して処理するため、それぞれの映像によって結果の印象は異なる。モードの種類はPhotoshopのレイヤー合成モードに近いので、写真で勘所を掴んでおくと使いこなしに有効だ。

【不透明度50%】 img_soft_fcp_effect07_02.jpg
【加算】 img_soft_fcp_effect07_03.jpg
【減算】 img_soft_fcp_effect07_04.jpg
【差の絶対値】 img_soft_fcp_effect07_05.jpg
【乗算】 img_soft_fcp_effect07_06.jpg
【スクリーン】 img_soft_fcp_effect07_07.jpg
【オーバーレイ】 img_soft_fcp_effect07_08.jpg
【ハードライト】 img_soft_fcp_effect07_09.jpg
【ソフトライト】 img_soft_fcp_effect07_10.jpg
【比較(暗)】 img_soft_fcp_effect07_11.jpg
【比較(明)】 img_soft_fcp_effect07_12.jpg
 
【トラベリングマット-アルファ】 img_soft_fcp_effect07_13.jpg
【トラベリングマット-ルミナンス】 img_soft_fcp_effect07_14.jpg
 

不透明度と合成モードの適用方法

【不透明度は「モーション」で設定】

img_soft_fcp_effect07_15.jpg 「モーション」タブ>「不透明度」もしくは「タイムライン」の「クリップのオーバーレイ表示」で設定。

【合成モードはメニューから適用】

img_soft_fcp_effect07_16.jpg
img_soft_fcp_effect07_17.jpg 「修正」メニュー>「合成モード」または「タイムライン」でコンテクストメニューから選択。
img_soft_fcp_edit01_yajirushi30_2.gif
img_soft_fcp_effect07_18.jpg

Final Cut Proで多用されるコンテクストメニューはcontrol+クリックで開くが、現行のMac付属のマウスは右クリックが設定可能なので「システム環境設定」で右クリックを有効にしておくのがおすすめ。


合成モードの応用「ソフトフォーカス効果」

img_soft_fcp_effect07_19.jpg 下の手順で上のレイヤーに「ブラー(ガウス)」を設定した例。
img_soft_fcp_edit01_yajirushi30_2.gif
img_soft_fcp_effect07_20.jpg 上のレイヤーに不透明度「50%」を設定した例。

img_soft_fcp_effect07_21.jpg ❶同じ映像を上下に重ねる。

img_soft_fcp_effect07_22.jpg ❷ 上の映像に「ブラー(ガウス)」フィルタを適用してぼかす。[適用量は半径「39」に設定]

img_soft_fcp_effect07_23b.gif
img_soft_fcp_effect07_23.jpg 上のレイヤーを「スクリーン」合成で重ねた例。

合成モードはアイディア次第で様々な応用ができるモードである。そのひとつに同じクリップを2段に重ね、上のクリップを「ブラー」でぼかし、「スクリーン」合成で重ねる手法がある。単独のブラーでは得られないボケの中に芯のあるソフトフォーカス効果が得られるのが特徴だ。

※この記事は「Final Cut Pro 実践講座」から抜粋しています。

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斎賀和彦 Kazuhiko Saika

CM企画/演出時代にノンリニア編集勃興期を迎える。現在は駿河台大学メディア情報学部、デジタルハリウッド大学院等で理論と実践の両面から映像を教えながら、写真、映像作品を制作。
ブログ http://mono-logue.air-nifty.com/
ツイッターアカウント http://twitter.com/SAIKA

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