2012年08月06日
24ヵ月ぶりにバージョンアップしたPhotoshop CS6。アドビによると、このCS6は「ユーザーの声を聞いたバージョン」だという。プロフェッショナルユーザーはPhotoshop CS6をどのように見ているか。広告写真のレタッチャーとして活躍する北岡弘至氏に話をきいた。
オニツカタイガー表参道店 オープニング記念パネル
CD=千原徹也(れもんらいふ) P=福島典昭 レタッチ=北岡弘至
バックグラウンド保存の搭載とPhotoshop自体の安定が嬉しい
──レタッチャーの立場から見て、Photoshop CS6はどんな印象でしょうか。
北岡 画期的だと感じたのは、なんといっても「バックグラウンド保存」機能ですね。この機能は待ち望んだもの。ほんとに嬉しい進化です。
──北岡さんの環境では、作業はどう変わりましたか?
北岡 レタッチの作業は、とにかく扱うファイルが大きい。作業中ともなれば10GBを超えるなんてことも珍しくない。そういうファイルを保存すると、これまでは30分くらいかかっていたんです。当然、保存中は他の作業は何もできません。
──作業ロスが大きかったんですね。
北岡 僕は2台のMacを併用することでそれに対処していました。仕事が立て込んでいる時などは、一方を保存している間に、もう一方で別の仕事をするとか、下ごしらえをしておく、といった使い方をしていたんです。それが、保存してそのまま作業ができるようになり、特に作業が重くなるというわけでもない。すばらしい機能強化だと思います。「ちょっと休憩」っていうタイミングがなくなってしまった、という別の意味の問題点が生じていますが(笑)。
──保存に関してのもう一つの機能強化、「自動保存」機能に関してはいかがでしょう?
北岡 CS6は安定しているので、ほとんどPhotoshopが落ちた経験がないのですが、それでも1度、この自動保存機能に助けられました。再度Photoshopを開くと、最後に保存した状態のファイルと、それとは別に、復元データが開きました。この復元データが「自動保存」として設定しておいた「10分」前の状態でした。そのため、被害は作業10分ぶんにとどめることができました。機能をオンにしても、重くなったりすることもないですし、精神的な意味での保険になるなと感じています。
アサヒ フードヘルスケア MINTIA
企画制作=博報堂+蛍光TOKYO + DESIGN BOY
CD=前田康二 AD=折重慎 P=Neil Visel レタッチ=北岡弘至
──他に気に入った機能はありますか?
北岡 ブラシが5,000ピクセルまで拡大できるようになった点ですね。これまでは大きなスペースをブラシで塗りたい場合は、グラデーションツールを使って作ったパーツで代用していたので、ずいぶん楽になりました。あとは描画エンジン(Adobe Mercury Graphics Engine)が新しくなって、速くなったことも感じています。特にぼかし系ツールが速くなったように感じますね。それから細かな部分ですが、コンタクトシートIIが復活したことも、地味ですが嬉しいですね。
──全体的には使いやすくなったという印象ですね。
北岡 はい。今回使わせていただいたCS6は、パブリックベータなのですが、先ほども触れたとおり、問題なく利用できました。アプリケーション自体がとても安定している点も、おおいに評価したい部分です。昔は、ずいぶん苦労しましたから。そういった点も含めて、Photoshop CS6は、「クリエイティブに集中できるツール」になったと言えるんじゃないでしょうか。
Profile:
北岡弘至 Hiroshi Kitaoka
レタッチャー、GARABATO代表。オフィス機器のサービスエンジニア、飲食店、デザイン会社の営業等を経て、2002年よりフリーランスとして独立。2005年に有限会社GARABATOを設立。広告、映画等のグラフィック制作を主に活動中。
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- 「Creative CloudとPhotoshopが切り拓くビジュアル表現の新しい形」Nick Yamazaki
- 「複数アプリケーションそれぞれの強みを活かすことが、表現の幅を広げる」篠田隆浩
- 「機能はすでに必要十分だと思っていたが、Photoshop CCには新たな発見があった」腰塚光晃
- 「まず感心したのは『処理速度の速さ』。こうした根本的な部分の機能強化が嬉しい」菱川勢一
- 「Photoshop CS6はクリエイティブそのものに集中できるツールになった」北岡弘至
- 「神は細部に宿る――Photoshopの作り出す高精細画像は文化的にも重要な役割を果たす」 早川廣行
- 「自然でリアルな写真を突き詰めていくにはPhotoshopは欠かせない」 田島一成
- 「Photoshopはまるでモノリスのような存在。 写真表現はこれから本当の意味で進化する」 甲斐 彰