2013年08月26日
Hair=TAKÈ M=MINA Model=Una /YUMIKO UNNO クライアント=カネボウ化粧品
──Photoshopではどんな作業をされるのでしょうか。
腰塚 撮影の際に、キャプチャーソフトを使って、ある程度までデータを作り込むのですが、トーンや色調の調整といった、“昔はプリントでやっていた作業”については、Rawファイルを現像した後に、Photoshopでやります。ただし、肌の修正や合成といった作業はレタッチャーさんにお願いをするケースが多いですね。
──Photoshopのバージョンは?
腰塚 「ゆがみ」フィルターのように、新しいバージョンの方が使いやすい場合はCS6を使っていますが、気がついたらなぜかCS3を使っていることが多いですね。"慣れ"でしょうかね。
──新機能はあまり必要としないのでしょうか?
腰塚 今使っているカメラも含め、機材やツールに関しては、自分が表現するために必要な要素を十分に満たしていると感じています。何年か前には、デジタルカメラ自体の表現力に対する不満があったのですが、最近は気にならないレベルになりました。今は写真を撮る行為そのものに集中することで、新しい表現を探っていきたいと考えています。ただ、今回Photoshop CCを試用する機会をいただいて、いくつか発見がありました。
──気になった機能はありますか?
腰塚 一つは「ぶれの軽減」です。ロケでは、その場で光を探しながら、自然光で撮影することが多いのですが、光量的にギリギリな場合、どうしようか迷うことがあります。シャッターを切るたびに確認するのもリズムが悪いし、だからといってライティングすればいいかというと、それもちょっと違う。そんな状況で、ぶれを軽減してくれる機能があるとなれば心強いし、思い切ったトライができる。今、少しずつですが検証をしているところです。
──写真にもよりますが、カメラぶれにはそれなりの効果を発揮するようです。
腰塚 もう一つは拡大機能がよくなった点(アップサンプリング)ですね。たとえば、すでに撮影は終わっているのに、「ビルボード用に拡大したい」という要望が後から出ることがあります。これまでは他社のプラグインソフトを使って対応していたのですが、Photoshop本体の拡大機能が従来よりも強化されたのであれば助かります。画像拡大は印刷との相性もあるので、手段は一つでも多くあったほうがありがたいです。
──これからのPhotoshopに期待するのはどういったことですか?
腰塚 突拍子もない話をするようですが、アドビさんには、ぜひ、PhotoshopかCamera Rawを組み込んだカメラを作ってほしいですね(笑)。今の環境でも、キャプチャーソフトを使えば、現場で仕上がりに近いイメージまで作り込むこともできるのですが、だからといって、その画像をそのまま使うようなことはせず、あらためてPhotoshopで仕上げ作業をしないといけません。肌レタッチのような作業は別としても、撮影しながら、カメラ内でトーンや色味の調整が完璧に突き詰めることができれば、現場のスタッフやクライアントにも描いているイメージが正確に伝わりますし、スピード感も上がる。何よりも、表現の可能性が大きく広がると思っています。難しいですかね(笑)。
Profile:
Photographer
腰塚光晃 Mitsuaki Koshizuka1997年写真家として活動をはじめる。FASHION、BEAUTY、広告、音楽等のジャンルで写真、映像を制作。2004年、(株)MORE VISION TOKYO設立。
http://www.mitsuakikoshizuka.com/
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- 「Creative CloudとPhotoshopが切り拓くビジュアル表現の新しい形」Nick Yamazaki
- 「複数アプリケーションそれぞれの強みを活かすことが、表現の幅を広げる」篠田隆浩
- 「機能はすでに必要十分だと思っていたが、Photoshop CCには新たな発見があった」腰塚光晃
- 「まず感心したのは『処理速度の速さ』。こうした根本的な部分の機能強化が嬉しい」菱川勢一
- 「Photoshop CS6はクリエイティブそのものに集中できるツールになった」北岡弘至
- 「神は細部に宿る――Photoshopの作り出す高精細画像は文化的にも重要な役割を果たす」 早川廣行
- 「自然でリアルな写真を突き詰めていくにはPhotoshopは欠かせない」 田島一成
- 「Photoshopはまるでモノリスのような存在。 写真表現はこれから本当の意味で進化する」 甲斐 彰