Photoshop ユーザーに聞く

「まず感心したのは『処理速度の速さ』。こうした根本的な部分の機能強化が嬉しい」菱川勢一

プロフェッショナルユーザーはPhotoshop CS6をどのように見ているか。今回は、映像・写真とビジュアル全般の制作に関わるクリエイター・菱川勢一氏に話をきいた。

mg_soft_ps_user_hishikawa_1.jpg Camera : Seiichi Hishikawa


周囲との連携が大事な多くの映像制作者が注目するCS6

──映像・写真と、ビジュアル全般で制作を行なっている菱川さんにとって、「Adobe Creative Suites CS6」でもっとも注目しているポイントはどのあたりでしょうか。

菱川 実は最近、僕の周辺で動画編集環境を「Premiere Pro」に移行する人が増えてきているんです。操作の部分で、「Final Cut Pro X」になじめないというのがその理由だと思います。両方を使ってみると、むしろPremiere Proのほうが、従来のFinal Cut Pro的な感覚で使える。FCP XではFCP 7のプロジェクトファイルは読めないのに、Premiere Proなら大丈夫という点も大きいと思います。

──“菱川さんの周辺”というのはどういった方々ですか?

菱川 例えば、ディレクターやプロダクションの方々、さらにはポスプロといったところでしょうか。ポスプロはいろいろなアプリケーションに対応しているんですが、現段階では、FCP Xに対応しているところがまだまだ少ない。そういった事情を考えると、多くの映像制作者が、一斉にPremiere Proへと移行するという事態になるかもしれません。映像の分野では、周囲との連携が大事なので、僕も本格的に移行を検討しています。

──そうなると映像、写真とも制作環境がアドビ製品に統一されますね。

菱川 僕の場合は「Premiere Pro」と「Photoshop」、さらには「After Effects」「Illustrator」を主に使用するのですが、ファイルベースの動画データを管理するソフト「Prelude」なんかにもちょっと関心があります。他のアプリケーションを使うなら「Adobe Creative Cloud」のような選択肢もあるようなので検討してみたいと思っています。

mg_soft_ps_user_hishikawa_2.jpg Camera : Seiichi Hishikawa


──ところでPhotoshop CS6を使われてみての感想はいかがでしょうか。

菱川 最初に感じたのは、全体的に処理が速くなったということです。後で描画エンジンが新しくなったと聞いて納得しました。高解像度の画像を扱う際でも反応が良くなりましたね。これまでは何をするにも一拍置く感じがありましたが、CS6ではそれを感じなくなった。僕は写真に関しては、デジタルとフィルムを併用しているんですが、作品については、ハッセルを使ってネガ撮影することが多いんです。そうするとスキャンをして、ゴミ取りをして、トーンを調整してといった作業を延々と続けることになる。枚数が多いと「少し速い」ということが、最終的に大きな差につながります。リズムよく作業ができれば、作業の短縮だけでなく表現部分にもいい影響が出るのではないでしょうか。

──他に気になった点はありますか?

菱川 「バックグラウンド保存機能」も素晴らしいなと思いました。無駄な時間を短縮できるというのは、ユーザーなら誰でも嬉しい部分でしょう。

今回のCS6では、こういったかゆいところに手の届くような機能強化が多い印象ですね。我々のような、仕事で使う人間にとっては、新機能が搭載されることよりも、こういった根本的な部分に手が入ったバージョンアップのほうが嬉しいんです。じっくりと使っていきたいと思っています。


Profile:

菱川勢一 Seiichi Hishikawa

1969年東京生まれ。音楽業界からキャリアをスタート。ニューヨークにてミュージックビデオやCMの演出・編集を手がけ、帰国後DRAWING AND MANUALの設立に参画。イメージ映像やコンセプトデザインなど、印象をデザインすることを専門とし、独自の感性と審美眼で、国内外問わず、さまざなな分野から注目されている。。
Facebook ID : seiichi.hishikawa
http://www.drawingandmanual.jp/


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