2017年06月15日
1983年愛知県生まれ。2012年、日本の風景を収めた映像が大きな話題を呼び、以後、広告をはじめとした数多くのプロジェクトに参加。 代表作 宇多田ヒカル「真夏の通り雨」など。
http://yasuhitotsuge.com/
Interview 柘植泰人 (ディレクター)
美しい映像で描かれるドキュメンタリーを次々と発表。Vimeo等の動画サイトを通じて世界中にファンを持つディレクターの柘植泰人さん。それまで所属していたaugment5を経て2015年にnovemberを設立。ドキュメンタリーを中心に活躍の場を広げている。
「のとつづり」fall
制作=november CD=鎌田貴史 (spfdesign Inc.) Pr=山田翔太 Dir+P+ED=柘植泰人 Assistant P+ED=井手内創 Production Assistant=菅原あかり (spfdesign Inc.)・森本晃充 (spfdesign Inc.)・山本花観 Music=谷口彩子撮りたい時に撮れるαの瞬発力が僕のスタイルに合っています
──柘植さんの撮る映像には同業者のファンも多く、独特の情感があります。それはどのように身に付けたのですか。
柘植 特に意識したことはないですが、自分でカメラを回していたので、その時「いいな」と思えるような情景を抑えられているのかもしれません。
本当は監督に専念したいと思っているのですが、まだ撮って欲しいという要望が多いですね。
──最近撮影した映像について伺います。「のとつづり」は能登の様々な風景や人物などをじっくり追った作品です。
柘植 「のとつづり」はnovemberを立ち上げてすぐに声をかけてもらった仕事です。多田屋という温泉旅館が自分の旅館のプロモーションをする前に能登をプロモーションをしたいという考えで始めた企画です。写真と文章でまとめられていたのですが、1年かけてその動画を作ることになりました。取材は1回数日間、1日3〜4ヵ所回って撮りました。
どこで取材するのかは決まっていましたが、何を撮るのかは決めていませんでした。αは起動音が静かなので1台で撮影から音の収録までできるのがいいですね。この撮影のスタンスとしては下準備をせずにその場で聞きたいことを聞こうと。先方に「こういうことを聞きますと伝えて収録するのはドキュメンタリーとは言えないな」と思うようになって、予定調和ではないものを作ろうと考えました。その際にαの存在は重宝しました。不意のシーンにも即座に対応できるし、マイクを付けてこの1台でインタビューも収録しています。身軽さがいいですね。
1年間撮りためて1本の映像にまとめる予定でしたが、短くてもいいから少しずつ発表しようと撮っているうちに考えました。能登は広いので撮影素材が多すぎて発表のペースは失速して来ていますが。ニュートラルな視点でその時に聞きたいことを聞こうというのは「のとつづり」で学びました。
「のとつづり」 spring
──「TAKEOVER」はフォーミュラー・レーサーの金丸悠さんのドキュメンタリーです。
柘植 金丸さんに「まず一度レースを見てください」と誘ってもらったので、α7S IIを持って行きました。レースは初めてでしたが、いいカットが撮れたし、まとめてみようかなと思いました。
──フォーミュラー・カーは被写体としては面白いですか。
柘植 面白いですね。ただ当たり前ですけど車が速過ぎて(笑)。実際どうまとめていこうかと悩みました。F1レーサーを目指し、若くして海外でチャレンジしている金丸さんを応援したいなというスタンスで編集しました。
「TAKEOVER」
制作=novemberPr=山田翔太
Dir+P+ED=柘植泰人
Assistant P=井手内創
Music=谷口彩子
──独立後はほぼα7S IIで作品を撮っているそうですが、柘植さんが考えるαの面白さはどんなところでしょうか。
柘植 αには瞬発力があります。ドキュメンタリーの映像を撮る人間にとって、撮りたい時にすぐ撮れる機動性が映像制作に役立っています。また全編手持ちで撮ることも多く、他のカメラでは編集時にカメラの細かい揺れが気になることもあるのですが、αは内蔵の手ブレ補正が効いていて満足しています。
最高ISO409600を誇る高感度性能、4K出力を実現したフルサイズ一眼。
※インタビューの続きはソニー スペシャルサイト「α Universe」で公開中。
協力:ソニーマーケティング(株)
ソニーα Universe http://www.sony.jp/ichigan/a-universe/
- 【特集】 田中達也(後編):「クローズアップすると人形の塗装の粗まで見える。αの解像感に驚きました」
- 【特集】 田中達也(前編):「ミニチュア制作のきっかけは、Instagramの『いいね!』数でした」
- Vol.12 宮尾昇陽:ジャンルにとらわれず様々な映像を作るマルチなディレクター
- Vol.11 柘植泰人:その時その場でしか撮れないかけがえのない「瞬間」を切り取れるディレクター
- Vol.10 西村彩子:被写体に寄り添ってファンの喜ぶ表情を引き出すフォトグラファー
- Vol.9 スミス:実験的な手法を駆使して見る者を惹きつける映像を作るディレクター
- Vol.8 堀内僚太郎:被写体の気持ちに寄り添って、真剣に向き合うフォトグラファー
- Vol.7 岩元康訓:ワールドワイドで誰が見ても美しい映像を目指す映像ディレクター
- Vol.6 池谷友秀:水の中の人物の陰影をα7SⅡで表現するフォトグラファー
- Vol.5 梅澤 勉:MoVIを駆使して臨場感のあるムービー制作に挑戦するフォトグラファー
- Vol.4 藤代雄一朗:見慣れた風景をかけがえのない映像に変える映像作家
- Vol.3 星野尚彦:8×10でしか撮れなかった濃密表現をα7RⅡで具現化
- Vol.2 奥藤祥弘:MVからライブまでマルチカメラ収録の醍醐味を語る
- Vol.1 加藤マニ:年間約50本のMVを量産する撮影の秘訣とは