2017年08月16日
ZONVOX/GROUNDRIDDIM 所属 東京都福生市在住。 2014年の「パリスファッションウィーク S/S 2015」など海外へも活躍の場を広げ、ファッションルックブックやMV、Web広告等の映像製作を手がける。
Interview
宮尾昇陽(ディレクター&フォトグラファー)
フォトグラファーとして活躍しながら映像の編集・監督までマルチにこなしてしまう宮尾昇陽さん。映画「夜明け前が一番暗い」がデジタルフロンティアグランプリでベスト・ドキュメンタリー賞を受賞するなど国内外で活躍している。ソニーα7Sで撮った映像に惚れ込んで、今では多くの作品をα7Sで撮影・監督している。
S-Logを使い始めて“色の演出”が可能になった
──デジタル一眼の映像に面白味を感じていたそうですね。
宮尾 フォトグラファー出身なので写真を撮りたいと思った時にもすぐに切り替えられるというのが楽しいですね。αは高感度にも強いし、HS(ハイスピード)も撮れる。理想的なカメラです。
STUTS「Renaissance Beat/Pushin' (Performed with MPC1000)」
制作=GROUNDRIDDIM Pr=髙野良和 Dir=宮尾昇陽
──STUTSのMV「Renaissance Beat /Pushin’」は背景が変わっていく映像です。実際どう撮影しているのですか。
宮尾 トラックの荷台に大きなターンテーブルを置いて、三脚、DJ機材を配置したセットを組んで、トラックごと移動しています。ロケーションを変えて、セットを組んで演奏して撮影。現場ではパフォーマーと楽器、背景の位置を合わせていくのが大変でした。コマ撮りアニメで使うようなワンシーン前の映像が確認できるソフトを使ったのでズレずに撮影できました。大きなカメラだとそれだけでセッティングも大変なのでαだから撮れた映像だと思います。
──AYANA Resort Bali Promotionはリゾートホテルのプロモーションです。
宮尾 インターナショナルウェディングの映像を作りました。東京ドーム16個分の大きなリゾートで、そのホテルの魅力を伝えようと思いました。撮影はFS5とα7S、俯瞰ではドローンを使っています。スケール感を出して欲しいというのがホテルの要望なので、すごく寄っているところと引いているところの変化を意識して撮りました。αは機動性がいいので助かりますね。
AYANA Resort Bali Promotion
制作=Banana Monkey Pictures
Pr=今林浩一
Dir=宮尾昇陽
空撮=竹節友樹
スチル撮影=KOICHI IMABAYASHI
PM=塚本悟克
HM=Kaori'WS
Color Grading=川原崇大
──「A Touch of Art in Niigata」 は新潟のムービーカメラマンと共同で制作した作品だそうですね。
宮尾 この映像は全編HSで撮影しています。DRAGON76というニューヨークで活躍するアーティストが新潟駅前に37mの壁画を描くプロジェクトです。彼の描いている時間が3週間あったので、新潟で映像制作をしているスタッフに手伝ってもらい、僕は監督兼撮影として参加しました。新潟のチームもFS5とαを使っていて、S-Log収録なのでトーンも揃えやすかったですね。つなぎ目が気持ちいい映像にしたいと思っていて、三脚やスライダーを使ってばっちり撮るというよりも、わざと手ブレさせたこともあります。動いているものと動いていないもののコントラストを見せたい。そういう映像が好きなんですね。動いている被写体はオーソドックスに撮影して、逆に動きのないグラフィックではカメラがダイナミックに動く。それによってそれぞれの特長を活かそうと考えました。
「A Touch of Art in Niigata with DRAGON76」
制作=GROUNDRIDDIMPainter=DRAGON76
Pr=大西克己
CD=小澤裕一郎
Dir=宮尾昇陽
MP=JUICY(HIFANA)
P=松本剛・川原崇大・髙野良和・桑原康孝・長井真悟
──集まった素材をどうまとめたのですか。
宮尾 オフライン編集で骨組みを作ってBPM(演奏のテンポ)を合わせるなど、メリハリを調整しています。ドキュメント要素のある映像を作る時にはその土地で撮る意味はなにかを考えています。3ヵ月の間には大雪もありましたし、気候や環境の変化が激しかったです。朝から夜遅くまで収録しましたが、街灯の明かりや作業中のライトなどかなり色設計が難しいシチュエーションでしたが、S-Log収録していたおかげでグレーディングでも色が合わせやすかったですね。S-Logのおかげで今は色編集が楽しいなと思っていますし、僕自身が目指している新しい表現に挑戦できる可能性を感じました。
最高ISO409600を誇る高感度性能、 4K出力を実現したフルサイズ一眼。
※インタビューの続きはソニー スペシャルサイト「α Universe」で公開中。
協力:ソニーマーケティング(株)
ソニーα Universe http://www.sony.jp/ichigan/a-universe/
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- Vol.12 宮尾昇陽:ジャンルにとらわれず様々な映像を作るマルチなディレクター
- Vol.11 柘植泰人:その時その場でしか撮れないかけがえのない「瞬間」を切り取れるディレクター
- Vol.10 西村彩子:被写体に寄り添ってファンの喜ぶ表情を引き出すフォトグラファー
- Vol.9 スミス:実験的な手法を駆使して見る者を惹きつける映像を作るディレクター
- Vol.8 堀内僚太郎:被写体の気持ちに寄り添って、真剣に向き合うフォトグラファー
- Vol.7 岩元康訓:ワールドワイドで誰が見ても美しい映像を目指す映像ディレクター
- Vol.6 池谷友秀:水の中の人物の陰影をα7SⅡで表現するフォトグラファー
- Vol.5 梅澤 勉:MoVIを駆使して臨場感のあるムービー制作に挑戦するフォトグラファー
- Vol.4 藤代雄一朗:見慣れた風景をかけがえのない映像に変える映像作家
- Vol.3 星野尚彦:8×10でしか撮れなかった濃密表現をα7RⅡで具現化
- Vol.2 奥藤祥弘:MVからライブまでマルチカメラ収録の醍醐味を語る
- Vol.1 加藤マニ:年間約50本のMVを量産する撮影の秘訣とは