キヤノン EOS 5Ds の実力

5060万画素の衝撃! 5Dsの実力を徹底検証する②

解説:南雲暁彦(凸版印刷 TIC映像企画部 チーフフォトグラファー)

5060万画素35mmフルサイズセンサーを搭載したキヤノンEOS 5DsとEOS 5Ds Rは、高精細な画像データを必要とする広告写真の市場を想定して開発されたカメラである。発売は6月予定となっているが、コマーシャル・フォト編集部では一足先に開発中の実機によるテスト撮影を行ない、その実力を様々な角度から検証した。今回は、この検証結果の第2回をお届けする。

5060万画素の解像力を活かす
新しいピクチャースタイル「ディテール重視」

EOS 5Ds

img_products_eos5ds_02_01.jpg 微粒子や繊維などの解像度テスト、ということではなく、物の質感や雰囲気をどう表現できるかがポイント。触れるような粉っぽさや粒感が出てくるのが超高画素機の特徴だ。
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[撮影データ]レンズ:EF100㎜ F2.8L マクロ IS USM、撮影モード:マニュアル露出、絞り:F11、シャッター速度:0.8 秒、ISO感度:100、ホワイトバランス: 色温度(5300K)、ピクチャースタイル:ディテール重視(比較用の画像はスタンダード)
[スタッフ]P=南雲暁彦 ST=BOOK.inc 渡辺太・鈴木俊哉

EOS 5Dsでは、フォーカスに関して細心の注意が必要だ。外見は35mmカメラの形をしているが、4×5カメラにルーペを当てて見るぐらいの気持ちで臨んだ方がいい。ブツ撮りのように時間があって、モニター環境が整っている場合は、PCでのライブビュー撮影がオススメだ。今回は5Dsに対応したEOS Utilityが間に合わなかったので、PCの画面では見られなかったが、カメラの背面液晶でもライブビューを16倍まで拡大できる。キヤノンのカメラは拡大表示の精度が高いので、正確にフォーカスを合わせることができた。

img_products_eos5ds_02_04.jpg ピクチャースタイル「ディテール重視」の詳細設定画面。シャープネスの「細かさ」の値を上げるとエッジが太くなり、細部の解像感が失われやすい。繊細な表現をしたい時は「細かさ」は下げるほうがいい。 ※初期設定は変更になる場合がある。

また、上の写真のように微細な被写体の場合は、シャープネスを慎重にかけないと、せっかくの解像度が損なわれてしまう。5Dsのピクチャースタイルは、シャープネス項目に「細かさ」「しきい値」が追加され、シャープネスを詳細に設定できるようになった。また、新たに搭載された「ディテール重視」のピクチャースタイルは、「スタンダード」よりもシャープネスの輪郭が細く、コントラストが低めになっているので、繊細な描写に適している。

個人的には「ディテール重視」を選択した上で、シャープネスを「強さ:5 細かさ:1 しきい値:1」に設定した画像が、非常に美しいと感じた。「強さ:5」は少しかけすぎに思えるかもしれないが、プリント出力するとちょうどよいはずだ。

[ディテール重視]

img_products_eos5ds_02_02.jpg 「スタンダード」より階調性が良く、輪郭描写も繊細なので、5000万画素の解像力がより活きてくる。この画像は元画像に対しての100%表示。

[スタンダード]

img_products_eos5ds_02_03.jpg メリハリがあって輪郭もしっかりしているが、よく見るとディテールが失われているところもある。

ローパスフィルター効果をキャンセルする5Ds Rと
5Dsの画質はどれぐらい違いがあるか

img_products_eos5ds_02_08.jpg EOS 5Ds Rのエンブレム。5Dsの「s」はEOS-1Dsと同じく「super」を表し、5Ds Rの「R」は解像度を示す「Resolution」を意味している。文字色は5Dsがゴールド、5Ds Rがシルバーとなっている。

デジタルカメラのローパスフィルターは、偽色やモアレを低減させる役割を持っているが、その一方で解像感の低下を招く。そのため最近のカメラの中には、解像感を優先してローパスフィルターを外してしまうものが現れている。キヤノンは「ローパスフィルターは必要である」という考え方を変えていないが、ユーザーからはローパスレスを望む声が高まっていたのだろう。今回EOS 5Dsのほかに、EOS 5Ds Rというモデルが用意された背景として、そんな状況が想像できる。ただし5Ds Rはローパスレスではなく、あくまでもローパスフィルターの効果をキャンセルするだけである。

では実際に両者はどれくらい画質に違いがあるのだろうか。通常の使用では正直わからなかったのだが、それでもどこかに違いはないかということで、解像度の高いレンズEF16-35mm F4L IS USMを装着して撮影したのが、下の写真である。

結論から言うと、確かに5Ds Rの方が解像力が高かった。ただし、モニター上で100%近くまで拡大して、初めてわかる違いである。それぐらいの小さな差でもいいから解像力が欲しい人なら、5Ds Rもありだと思う。しかし、偽色・モアレのリスクは確実に高くなる。よく、高画素になると偽色・モアレは出にくいと言われているが、まったく出ないわけではない。そのあたりをよく考えてチョイスするべきだろう。

EOS 5Ds
img_products_eos5ds_02_05.jpg 両機種の画質差を、にじみが出やすい植物の繊毛で比較してみた。EOS 5Ds Rの方が、5Dsに比べ、細かい産毛を立体的に表現することができている。
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[撮影データ]EOS 5Ds/EOS 5Ds R共通=レンズ:EF16-35㎜ F4L IS USM、撮影モード:マニュアル露出、絞り:F11、シャッター速度:1/125 秒、ISO感度:100、ホワイトバランス:色温度(5500K)、ピクチャースタイル:ディテール重視 [スタッフ]P=小宮広嗣(凸版印刷 TIC映像企画部) ST=BOOK.inc 渡辺太・鈴木俊哉
EOS 5Ds

img_products_eos5ds_02_06.jpg モニターで100%近くまで拡大すると、植物の繊毛の表現が若干異なっているのが見えてくる。この画像は元画像に対しての100%表示。

EOS 5Ds R

img_products_eos5ds_02_07.jpg ローパスフィルターの効果をキャンセルしていることで、5Dsよりもわずかながら解像力が高い。

COLUMN | EOSシリーズで初めて搭載されたクロップ撮影

img_products_eos5ds_02_09.jpg フルサイズ  P=中村雅也
img_products_eos5ds_02_10.jpg 1.3倍クロップ
img_products_eos5ds_02_11.jpg 1.6倍クロップ

5060万画素の高画素を活かして、疑似望遠効果があるクロップ撮影機能がEOSシリーズで初めて搭載された。1.3倍時は約3050万画素で、1.6倍時は約1960万画素。さらに1.6倍時は、画面のほぼ全域で位相差AFが可能になるという副次的なメリットもある。人物撮影で縦位置にカメラを構えたとき顔の部分にも測距点があるし、動きの速い被写体をオートフォーカスで追いかけるときにも便利だろう。


クロップ時の撮影範囲の表示は「マスクで表示」と「線で表示」のどちらかを選択できる。「マスクで表示」の場合は、撮影範囲外が半透明のマスクをかけたような状態になり、範囲外もファインダーの中で確認できる。


img_products_eos5ds_02_12.png

関連情報

デジタルフォト&デザインセミナー 2015 開催!
http://shuffle.genkosha.com/event/dpds/2015_1/8873.html
大阪会場:2015年5月20日(水)
東京会場:2015年5月22日(金)


デジタルフォト&デザインセミナーの中で、この記事の筆者・南雲暁彦氏が「5060万画素の衝撃! キヤノンEOS 5Dsの実力」と題して講演を行ないます(参加無料・事前登録制)。詳しくは上記URLを参照のこと。

協力:キヤノンマーケティングジャパン(株)


※この記事はコマーシャル・フォト2015年4月号から転載しています。

南雲暁彦 Akihiko Nagumo

1970年神奈川県生まれ。幼少期をブラジル・サンパウロで育つ。1993年日本大学芸術学部写真学科卒業後、凸版印刷株式会社入社。トッパンアイデアセンター映像企画部所属。チーフフォトグラファー。コマー シャルフォトを中心に映像制作、セミナー講師なども行う。海外ロケを得意とし世界中をフィールドに映像制作を行う。APA広告年鑑、全国カタログ・ポスター展グランプリなど受賞歴多数。APA会員。知的財産管理技能士。

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