キヤノン EOS 5Ds の実力

EOS 5Ds × 操上和美 Shooting Review

約5060万画素センサーを搭載し、一眼レフ最高の解像度を誇るEOS 5Ds。高画質と機動性の両立によって多くのフォトグラファーの注目を集めている。このカメラで仕事や作品を撮っている操上和美氏に話を聞いた。

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EOS 5Ds
約5060万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載。ミラー振動制御システムを採用し、ミラーショックによるブレを防ぐ。ローパスフィルター効果キャンセルモデルEOS 5Ds Rも用意されている。

img_products_eos5ds_10_01.jpg アスファルトの道路の上で粉々に砕け散ったボトル。大型トラックにでも轢かれたのだろうか。

5000万の画素数がトーンの滑らかさに効いている

───操上さんはすでにEOS 5Dsをお使いになっているそうですね。

操上 発売前に一度借りて使ってみたのですが、その時の印象が良かったので、発売されてすぐに手に入れました。何よりも画像のクオリティが高いし、持って歩くには圧倒的に有利なカメラです。僕はスタジオでもロケでも三脚を使わない主義で、ほとんど手持ちで撮るのですが、そういう使い方に非常に向いている。

───普段使っているカメラは?

操上 仕事ではフィルムよりもデジタルの方が圧倒的に多くて、これまではEOS-1D Xを主に使っていて、ときどき中判デジタルを使っていました。でも、この5Dsがあれば、今後はあまり中判を使わなくなるような気がします。

中判には独特のテンポがあって、中判ならではの良さもあるんだけど、どうしても機動力が足りない。機動性を重視するという僕の性格からすると、5Dsの方が使いやすい。性格的にせっかちなんですよ。

───1D Xと比べるとどうですか。

操上 5Dsの方がトーンが滑らかだと感じます。フィルムで言うと粒状性の細かさみたいなもので、画素数が多いことがトーンにも効いているような気がします。1D Xでもトーンは充分きれいだけど、雑誌よりも大きなサイズになると、ちょっとした差でもけっこうな違いになって現れます。

夜とか室内、あるいは動きの速いものを撮る時は、どうしても感度を上げて撮ることになりますが、そういう時でも安心して感度を上げられるのはいいですね。ほとんどレンズ開放ぐらいの絞りで撮っても絵が甘くならないし、シャープネスもしっかりある。僕はそれほどクオリティにこだわるタイプではなくて、おもちゃのようなカメラを面白がって使ったりする方なんだけど、それでも5Dsの絵は感覚的にいいなと思います。

ただ、連写性能は1D Xの方が優れているので、ショット数がたくさん必要になる場合は1D Xを使います。

img_products_eos5ds_10_03.jpg トラックの荷台に積み込まれるのを待っているマネキン人形。頭からすっぽりと大きなビニール袋に包まれている。

35ミリならではの機動力が写真の快感につながっている

───仕事以外でもEOS 5Dsは活躍していますか?

操上 今回の写真は7月にニューヨークへ行った時、ブルックリンの街を歩きながら撮ったスナップです。今でも70年代の頃のダウンタウンのような趣があって、古い街並みが残っているので、歩いていて楽しいことろです。

街を歩く時のカメラは、その日の気分でいろいろと持ち替えていますが、それによって撮るスタイルや歩く速度も変わります。60年代の新宿風に撮りたい時は高感度のモノクロフィルムを使うし、コンパクトカメラだとノーファインダーで撮ったりするし、一眼レフだとゆっくり歩きながら撮る。ニューヨークはあまり広い街ではなく、足で歩けるくらいの大きさなので、一眼レフの5Dsを持って行きました。

───カラーの作品だけでなく、モノクロの作品もありますね。

操上 モノクロが好きなのでよく撮りますが、階調がやわらかい5Dsは、フィルムで撮ったようなトーンを作ることができる。そこも気に入っているところです。後処理でカラーからモノクロに変換して、フィルム的な粒子を入れると、きれいなモノクロプリントに仕上がります。

90年代から2000年代にかけて、ネガカラープリントがプロの間で流行したことがありますが、僕はそれを素通りして、ポジからいきなりデジタルに移行したんです。ポジからのダイレクトプリントに比べると、デジタルプリントはコントラストを調整したり、粒子を入れたり、後処理でできることの幅が広がったので、モノクロ作品はデジタルでもよく作りますね。

img_products_eos5ds_10_02.jpg ブルックリンの街角で見かけたウォールペインティング。周りには高い建物がないので空が大きく広がっている。

───フィルムなのかデジタルなのか、中判なのか35ミリなのかは、あまりこだわりがないんですか?

操上 そういうこだわりはありません。どう撮るか、何で撮るかよりも、何が写っているかの方が大事で、撮りたいものによって一番最適なカメラを選んでいます。肉体の運動性が写真の快感につながっていると思うので、カメラの機動力は特に重要だと思います。

僕の場合、写真家としてスタートした時から、35ミリのカメラにモータードライブを付けて、走りながら撮るようなスタイルでしたし、今でも広告のロケ撮影では35ミリが多いですね。これまで撮った写真の8割くらいは35ミリを使っていると思います。

───むしろ35ミリがメインなんですね。

操上 ズームレンズがよくできているというのも、EOSを使う理由の一つです。ニューヨークにはズームレンズを何本か持って行きましたが、今回の写真はすべてEF24-105mm F4L IS USMです。撮りたいと思った時に、すぐに構図や画角を決めて撮れるのは、ズームレンズならではの良さだと思います。

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くりがみ・かずみ
最近の主な仕事:「SWITCH」Vol.33 No.5 特集ジャズタモリ、映画「さらば あぶない刑事」など。
kurigami.net

※この記事はコマーシャル・フォト2015年11月号から転載しています。


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