キヤノン EOS 5Ds の実力

EOS 5Ds × 鶴田直樹 Shooting Review

約5060万画素センサーを搭載し、一眼レフ最高の解像度を誇るEOS 5Ds。高画質と機動性の両立によって多くのフォトグラファーの注目を集めている。このカメラでTOYOTA VOXYの仕事をした鶴田直樹氏に話を聞いた。

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EOS 5Ds
約5060万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載。ミラー振動制御システムを採用し、ミラーショックによるブレを防ぐ。ローパスフィルター効果キャンセルモデルEOS 5Ds Rも用意されている。

img_products_eos5ds_11_01.jpg トヨタ自動車 Webサイトのキャンペーン 父子をカッコよく「俺グラ&スペシャルムービー」VOXYより。

厳しい条件下でもハイライトからシャドウまで
すべてのトーンがきれいに出ている

───鶴田さんはすでにEOS 5Dsを仕事で使ったそうですね。いかがでしたか?

鶴田 はい、トヨタ VOXYの仕事で使いました。撮影は7月の初めで、カメラの発売直後だったので、この時はレンタルで使ってみました。私は人一倍ハイライトの再現性にこだわりがあって、大抵のカメラはそこに満足できないんですが、キヤノンのカメラには「高輝度側・階調優先」という機能があって、これをオンにするとハイライト側の階調がすごくきれいに出るんです。普段から使っている5D Mark IIIや6Dでも、この機能は常にオンにしています。5Dsは高画素化に伴ってハイライトの再現性がどのくらい変化するのか、そこに一番興味がありましたが、結果は大満足でした。

───写真を拝見すると、背景が暗くて、クルマも人物の着ている服も黒。それでいてライトがこちらを向いて光っているなど、撮影条件としてはかなり厳しいですね。

鶴田 本当に大変な撮影で、端から端まで150mくらいある巨大な倉庫で撮影したのですが、クルマのライティングのためにストロボを9灯ほど吊っています。天井もすごく高いので、ライトを吊るだけでまる1日かかったくらいです。

でも、ディフューザーやカサを使っていない生の光がメッキの部分やガラスに当たっているのに、ハイライトが破綻することなく、きちんとトーンが出ているのには驚かされました。現場でそれを見たときには嬉しかったし、ぞくぞくと鳥肌が立つような感動がありました。シャドウ側の階調も本当によく出ていて、黒がつぶれないでねばってくれている印象です。これだけ厳しい条件の中で、ハイライトからシャドウに至るまで、そして人肌も含めてすべてのトーンがきれいに出ているのはさすがです。

───カメラの設定は何か特別なことをしていますか?

鶴田 さきほど話した「高輝度側・階調優先」の他に、ピクチャースタイルは「ディテール重視」を選択しました。クルマのメタリック感やエッジが効いた感じを表現するには、「ディテール重視」はぴったりでした。

img_products_eos5ds_11_04.jpg 超広角ズームレンズEF11-24mm F4L USMで撮影。実際には13mmぐらいの焦点距離で、人物のすぐ近くで撮影している。

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A&P=博報堂 CD+C=呉功再 AD=三宅達也 P=鶴田直樹 ST=高橋ラムダ HM=原田忠 Ret=波多野明 Pr=阿保克

一眼レフならではの機動力に磨きがかかった

───5000万画素の表現力についてはどのように感じましたか?

鶴田 本番の前日に屋外で5Dsのテスト撮影をしたのですが、事務所に戻って大きくプリントしてみたら、空に浮かんでいる雲とか、地面に転がっている石などの存在感がすごくリアルで、まるでそこにあるような感じ。トーンがきれいなことに加えて、高精細で情報量が多いので、立体感が素晴らしい。昔よく撮っていた8×10のフィルムを彷彿とさせます。

───同じ5000万画素クラスのカメラと比べるとどうですか?

鶴田 中判デジタルも仕事で使っていますが、背景をぼかすような場合をのぞけば、5Dsで充分じゃないかなと思います。機動力は一眼レフの方が上なので、様々な撮影に対応できますし。

今回の企画は「俺グラ@Studio VOXY」といって、一般公募で募った何十組もの父子を、瑛太さんと同じシチュエーションで最高にカッコよく撮るというものでした。私は瑛太さん以外に30組の父子を1日で撮っていますが、カット数の多さからしても一眼レフでないと無理な仕事でした。

現場ではコンピュータとつないで撮影していますが、5D Mark IIIよりも転送速度が速くて、それもびっくりしました。USBの規格が3.0になったからでしょうか。撮影の間隔を空けずにバババっと連写しても、データが途中で詰まることは一度もなかったですね。

それから細かいところですが、ミラーショックを抑えるメカ機構が組み込まれたところもいいですね。手持ちで撮ってもブレにくくなりましたし、シャッター音も小さくなりました。5D Mark IIIだと、ちょっと油断してシャッターを切るとシャッター音の大きさに自分で驚いてしまうことがあるんですが、5Dsはマイルドな音になったので、それも素晴らしいと思います。

───カット数が多いと、ピント合わせも大変そうですね。

鶴田 アングルによってはメインの被写体がオートフォーカスのエリアから外れてしまうので、そういう時はマニュアルで合わせますが、それ以外はオートです。オートフォーカス自体も動作が速くなった印象があって、それにも今回ずいぶん助けられました。

私はライブビューでピントを確認するのが苦手なので、マグニファイヤーを取り付けてファインダー像を拡大しています。今はまだ5Ds用の純正マグニファイヤーがないので、サードパーティ製品を使いましたが、できれば純正品があるといいですね。光学ファインダーを覗きながらマニュアルでピントが合わせやすくなると、さらに素晴らしいカメラになると思います。

今回の撮影を通じて5Dsの実力のほどがよくわかったので、今後は5Dsをメインのカメラとして、いろんな写真を撮ってみたいですね。

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つるた・なおき
1991年鶴田直樹写真事務所設立。エディトリアル、グラフィック広告、CM等を手がける。
tsurutanaoki.com/

※この記事はコマーシャル・フォト2015年12月号から転載しています。


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