2013年09月09日
P=藤井啓次(PHOTO PRAC) RE=篠田隆浩 永橋正輝(トーンアップ)
──篠田さんはPhotoshop歴がとても長いと伺いました。
篠田 最初に手にしたのは20年ほど前です。当時はグラフィックデザイナーとして仕事をしていたのですが、Photoshopが使えるということで、ビジュアルに関するさまざまな仕事を請け負うようになり、次第に3Dや動画なども手掛けるようになっていました。現在、トーン・アップという会社でビジュアル全般を担当するようになったのは、当時からの積み重ねだと言えると思います。
──3Dに関しては「Cinema 4D」を早い時期から使っていらっしゃいますね。
篠田 その頃使っていたMac OS9に対応した総合3Dソフトが少なかったことがその理由なのですが、アニメーション制作が容易であることなど、他とは違う特色がある点に魅力を感じました。ただ、当時は日本語の情報もほとんどなく、今のように注目されるようになるとは思っていませんでした。
──Cinema 4Dは、最近、After Effectsとの連携で注目されています。
篠田 少し前のバージョンから、Cinema 4D形式(フォーマット)のデータをそのまま読めるようになりました。両者の特徴を活かしつつ活用することで踏み込んだ表現が可能になります。
──Photoshopの位置づけは?
篠田 ないと困る、という言い方が適当かと思います。Photoshopにしかできない作業がありますので。ただし、自分の環境ではレタッチイコールPhotoshopというわけではありません。画像の補正や合成に、After Effectsを使うことが増えてきているからです。After Effectsは、動画だけでなく静止画を扱うこともでき、巨大な画像データでも、レンダリングを行なうまでは軽いデータとして運用できるといったメリットがあります。操作が軽快なので、クライアントさんの立ち会いで作業をするといったケースでも重宝しています。
──使い分けについてもう少し詳しく教えてください。
篠田 例えば、グリーンバックの背景をワンタッチで切り抜くといったような映像でよく使われる機能や、ワープなどの変型関連の機能などは、After EffectsがPhotoshopを上回ると感じています。プラグインもAfter Effectsのほうが充実しています。それぞれのアプリケーションの「できること」を活用して作業するようにしています。
──CINEMA 4Dとの連携もメリットになりそうですね。
篠田 一つのビジュアルを作成する際に、実際に撮影を行なうのか、それとも3Dで作成するのかといった選択肢を持つだけでも、可能性は大きく広がります。手段が多ければ、その表現の目的やスピード、予算にあった、最も適切な制作方法を選択し、提案することができる。複数のアプリケーションを並行して活用するメリットはその点にあるのではないかと思います。
──最後になりましたがPhotoshop CCについてはどうお感じですか?
篠田 特に気に入っているのは「アップサンプリング」の強化です。細かな部分のレタッチ作業をする際に、画像を拡大してからレタッチし、縮小して元に戻すといった方法をとることがあるので、拡大機能の精度が高まったことはもちろん、ウインドウ内のプレビューが強化されたのは嬉しい点です。日々業務で使っている立場からすると、派手な機能の強化よりも、こういった基礎的な部分のブラッシュアップが嬉しいですね。
CD=戸田成人(ヤラカス舘) AD=松川貴明(ヤラカス舘) D=井川雅照(soraya) P=石川豊(ポインター) RE=篠田隆浩 山田和史(トーンアップ)
Profile:
Retoucher、3D Creator
篠田隆浩 Takahiro Shinodaグラフィックデザイナーの経験を経て、株式会社トーン・アップに入社。広告、映像等のビジュアル制作を主に活躍中。
http://toneup-group.com/
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- 「Creative CloudとPhotoshopが切り拓くビジュアル表現の新しい形」Nick Yamazaki
- 「複数アプリケーションそれぞれの強みを活かすことが、表現の幅を広げる」篠田隆浩
- 「機能はすでに必要十分だと思っていたが、Photoshop CCには新たな発見があった」腰塚光晃
- 「まず感心したのは『処理速度の速さ』。こうした根本的な部分の機能強化が嬉しい」菱川勢一
- 「Photoshop CS6はクリエイティブそのものに集中できるツールになった」北岡弘至
- 「神は細部に宿る――Photoshopの作り出す高精細画像は文化的にも重要な役割を果たす」 早川廣行
- 「自然でリアルな写真を突き詰めていくにはPhotoshopは欠かせない」 田島一成
- 「Photoshopはまるでモノリスのような存在。 写真表現はこれから本当の意味で進化する」 甲斐 彰