デジタルフォト達人への道

ゼロからのスタジオ作り 第3回

解説:スコット・ケルビー 日本語版監修:早川廣行

写真:デジタルフォト達人への道 2
アメリカで大ベストセラーとなった書籍「The Digital Photography」が日本語に翻訳されて発売された。この「デジタルフォト達人への道」(発行:ピアソン桐原)、著者は全米Photoshopプロフェッショナル協会(NAPP)会長のスコット・ケルビー氏、日本語版の監修は日本におけるデジタルフォトの第一人者・早川廣行氏だ。Shuffle読者のために、第1巻から第3巻まで各巻のハイライトを特別公開する。

最近ではスタジオ機材の価格がかなり下がり、思いのほか簡単に自分のスタジオを作れるようになりました。「デジタルフォト達人への道」第2巻 からは、「第2章 ゼロからのスタジオ作り」を公開します。

露出計が必要な理由

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スタジオ撮影ではライトやレフ板を多く使用するので、正しい露出を得るのが難しくなることがありますが(特に1/250秒のときに光を測定する場合)、プロは手持ちの露出計*1を使っているので気にしません。

カメラ内蔵の露出計は、普段は頼りにできても、スタジオの照明下ではうまくいかないことを知っているからです。それならば、正確な露出を毎回教えてくれる、操作が簡単な機材を使いたくなるというものです。

最近の露出計は使い方がごく簡単なので、使わずにいるほうが難しいくらいです。スタジオ照明で成功したければ、あるいは楽な人生を送りたいのなら(あとからPhotoshopで露出ミスの修正をするのに丸一日費やすのは嫌だと思うなら)、露出計を購入しましょう。絶対に必要な機材です(私が使っているのは下記のセコニックL-358です)。

スコットのおすすめ機材

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ゴッセン(Gossen)デジフラッシュDigiflash(約$225)
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セコニック(Sekonic)フラッシュマスター L-358(約$259)
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セコニック(Sekonic)デジタルマスター L-758DR*2(約$499)

*1訳注:デジタルカメラを使うようになってから、露出計をまったく使わなくなったプロカメラマンもいます。撮影すればヒストグラムで結果がすぐ分かるからです。しかし、初心者やライトマンには必須かもしれません。
*2訳注:日本では、L-758Dの機種名で販売しています。


露出計の使い方

img_tech_kelby06_02.jpg SCOTT KELBY

ストロボ光を測定する前に、2つの簡単なことをしてください。

(1)カメラで設定しているISO感度を露出計に入力する
(2)露出計の白い半球状の受光部を引き出す(リングを回すと引き出せます)

これで終了。露出計を使う準備ができました。露出計を光源に向けて使う人が多いようですが、最近の露出計はカメラレンズに向けて使うように設計されています。

ポートレート撮影であれば、露出計を被写体のあごの下に当てて受光部をカメラのほうに向け、側面のボタンを押してストロボを発光させます(被写体に露出計を渡してこの作業をしてもらうこともあるかもしれません。そうすれば、自分はストロボのそばでテストや調節ができます)。

ストロボが発光すると、適正露出を得るために必要なシャッタースピードと絞り値が瞬時に測定されます。カメラが「マニュアルモード」に設定されていることを確認してから、露出計で測定されたとおりの絞り値とシャッタースピードに合わせて終了です。

これで完璧な露出が得られました。ライトを動かしたり、ストロボの出力を変えたりしないかぎり、同じ設定のまま撮り続けることができます。何かを変えた場合は同じ手順でもう一度測定を行い、測定値に合わせて絞り値とシャッタースピードを変更してください。

ヘアライトを追加する

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スタジオに2台目のライトを追加しようと考えているのなら、ヘアライト(トップライト)にすべきでしょう。要はストロボをもう1台増やすということなのですが、被写体の髪に直接光を当てるのでヘアライトと呼ばれます(いうまでもないことですが)。

これを使うと被写体が背景に沈み込むことなく、よりプロに近いポートレートを撮れるようになります。ヘアライトとして望ましいのは、角度を自在に調整できる光(おもに髪をねらい、両肩の上にも少し当てる)であることです。その条件を満たす超小型のソフトボックス(40×55cmサイズなど。光を拡散すると髪と肩をカバーできます)か、薄くて細長いソフトボックス(ストリップバンクとも呼ばれます)を購入するとよいでしょう。

後者は幅が30cm以下と狭いので、ヘアライトをより調整しやすくなります。私は通常、フロントライトよりも1段ほど明るい設定にして、フロントライトがヘアライトより強くならないようにしています。

スコットのおすすめ機材

img_tech_kelby01_yen1.gif キメラ(Cimera)スーパープロ・ストリップバンク・プラス9x36’(約20×90cm)
(ソフトボックスのみで$175)
img_tech_kelby01_yen2.gif スミス=ヴィクター(Smith-Victor)600Wポートレート・ヘアライトキット
(ストリップバンクとブームで$429)
img_tech_kelby01_yen3.gif ウエストコット(Westcott)スパイダーライトTD3ヘアライトキット
(ストリップバンクとブームで$600)

ヘアライトをどこに置くか

img_tech_kelby06_04.jpg SCOTT KELBY

ヘアライトを購入する場合は、ブームスタンドがセットになったものにしてください。そうしないと、ブームスタンドを別途購入しなければならなくなります。

ヘアライトの理想的なポジションは被写体の頭上といってほぼ間違いないからです。この位置だと、漏れた光がカメラのレンズ内部で反射してフレアを起こすことを避け(思った以上に大きな問題になります)、望む場所にぴたりと光を当てることが簡単にできます。光を真下に向けると漏れた光がレンズに反射する現象は起きないため、ブームスタンドがあると非常に楽なのです。

ブームスタンドがなくても光を被写体の真上から当てることは理論上可能ですが、シャッターを押すたびにストロボスタンドを確認するはめになります。この面倒を避けるためにも、ブームスタンドを購入しましょう。

さて、ヘアライトは被写体の頭からどの程度の高さに設置すべきでしょうか? 私は被写体の頭の上から60〜90cm離しています。細かいことですが、真上ではなく、少しだけ後ろに置いてください。こうすると光が被写体の顔や鼻に当たることは絶対にありません。

ヘアライトのポジションをテストする

img_tech_kelby06_05.jpg SCOTT KELBY

ヘアライトの位置を確認するときに、光が被写体の顔に漏れていないことをチェックするには、メインストロボ(フロントライト)を消してヘアライトのみを点灯させる方法が使えます。

被写体の鼻、頬、顔に光がまったく当たっていなければ、被写体はただのシルエットになります。少しでも光が見えた場合は被写体を前に動かすかライトを少し後ろにずらして、髪と肩以外の場所から光を取り除き、顔にヘアライトが当たらないようにします。

親友のアンディ・グリーンウェルが使っている裏技は、モデリングライトを全部点灯したままにして、手のひらを被写体の額の前に(光から守るように)かざす方法です。手のひらを額に近づけてから、手を後ろに引いてみます。ヘアライトが適切なポジションに置かれていたら、手を動かしても被写体の鼻に当たる光はまったく変わりません。変化が見られた場合はヘアライトが鼻に漏れているということですから、ライトを少しだけ後退させる必要があります。

ヘアライトが漏れないようにする方法

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ブームスタンド以外で最もよく使われているヘアライト用のアクセサリーは、おそらくエッグクレートでしょう。面ファスナー(マジックテープ)を使ってストリップバンクの表面に装着する格子状の布で、ヘアライトからの光を狭めて、脇に漏れないようにするために使います。光をねらいどおりの場所に届けてくれるすぐれものです。

さまざまなサイズが揃っているので、ストリップバンクのサイズと形にぴったり合う製品が見つかりますが、サイズに関係なく、エッグクレートは高価です。きっと「エッグクレート・カルテル」のような組織がヒナの価格を操作しているにちがいありません。実物を見ても$30程度にしか思えないのに、30×90cmの小型ストリップバンク用でさえ、$140もするのです。悲鳴を上げたくなってしまいます。それでも、へアライトには理想的な道具ですから、一度使ったら手放せなくなるでしょう。


※この記事は「デジタルフォト達人への道」第2巻から抜粋しています。

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スコット・ケルビー Scott Kelby

『Photoshop User』誌の編集者兼発行人。『Layers』誌(Adobe社製品に関するハウツー雑誌)の編集者兼発行人。人気ウィークリービデオショー『Photoshop® User TV』の共同司会者。全米フォトショップ・プロフェッショナル協会(NAPP)の共同創設者兼会長で、ソフトウェアのトレーニング・教育・出版会社ケルビー・メディア・グループの会長。写真家、デザイナーで、著書は50冊を超える。
・ブログ(英語) Scott Kelby's Photoshop Insider
・トレーニングビデオ(英語) Photo Recipes Live by Scott Kelby


早川廣行 Hayakawa Hiroyuki

電塾塾長/株式会社電画代表/東京藝術大学大学院非常勤講師/日本写真学会会員/日本写真芸術学会会員。デジタルフォトの黎明期から画像処理に取り組み、デジタルフォトの普及啓蒙・教育活動に努める。デジタルフォト関連の雑誌への寄稿、講演活動、書籍執筆(Photoshopプロフェッショナル講座シリーズ他多数)など幅広く活動している写真家・フォトディレクター。

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