デジタルフォト達人への道

プロのようにスタジオを使いこなす 第4回

解説:スコット・ケルビー 日本語版監修:早川廣行

写真:デジタルフォト達人への道 3
アメリカで大ベストセラーとなった書籍「The Digital Photography」が日本語に翻訳されて発売された。この「デジタルフォト達人への道」(発行:ピアソン桐原)、著者は全米Photoshopプロフェッショナル協会(NAPP)会長のスコット・ケルビー氏、日本語版の監修は日本におけるデジタルフォトの第一人者・早川廣行氏だ。Shuffle読者のために、第1巻から第3巻まで各巻のハイライトを特別公開する。

これまでの連載のようにゼロから作り上げたスタジオは、さらに充実させることができます。「デジタルフォト達人への道」第3巻からは、「第2章 プロのようにスタジオを使いこなす」を公開します。

レフ板:シルバーと白の使い分け

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レフ板(リフレクター)にはさまざまな色がありますが、おそらく最もよく使われるのは白、シルバー、ゴールドでしょう。ただし、ゴールドは通常は屋外で使用されます。暖色系の黄色の光をストロボの白い光と混ぜると奇妙な色合いになるからです。そこで、ここではシルバーと白について考えてみましょう。どちらの色をいつ使うとよいのでしょう?

一般的な考え方は次のとおりです。シルバーのほうが光をより反射するので、レフ板を被写体から離して置く場合にはシルバーを使用します。レフ板を近くに置く必要があるときは、白を使用します。シルバーほどには光を反射しないためです(上のセッティングでの最終的な画像は「デジタルフォト達人への道」第3巻・231ページに掲載しています)。

Column

眼鏡への反射を減らす

被写体が眼鏡をかけていると、その眼鏡にソフトボックスが映り込むことはめずらしくはありません。しかし、目を見えにくくするか覆ってしまうような強い反射は避けたいものです。その場合には、反射が消えるまでメインライトを横にずらします(みなさんが思っているより簡単です。眼鏡に反射している光を見ながらできるからです)。しかし、重要なのは、カメラがセットされている場所から見て反射が消えることであって、ライトを動かしている場所からではありません。したがって、友人やアシスタントにライトを動かしてもらい、みなさんがカメラ位置から指示を出すほうが早いでしょう。「もう少し……もう少し……」と、カメラから見て反射がなくなるまで動いてもらいます。


グレーカードで正しい色設定をする

img_tech_kelby10_02.jpg SCOTT KELBY

PhotoshopやPhotoshop Elementsのようなソフトで画像の後処理をする場合、色補正を非常に簡単に、ほとんど自動的にできる方法を教えましょう。照明機材のセッティングを終えたら、被写体にグレーカードを持たせてください。ミディアムグレー、ライトグレー、ブラック、ホワイトの4色でできているカードです(上の写真のグレーカードは私の著書『The Adobe Photoshop Book for Digital Photographers(デジタル写真家のためのアドビ・フォトショップ・ブック)』に無料で付いています)。そして、グレーカードがはっきり写るように撮影します。それで終わり─被写体が持ったグレーカードの写真を1枚撮るだけです。

次にPhotoshop(あるいはPhotoshop Elements)で画像を開き、「レベル補正」のダイアログボックスにあるグレーの「カラーサンプラー」をクリックし、グレーカードのミディアムグレー部分をクリックします。次に黒の「カラーサンプラー」でグレーカードの黒をクリック、白の「カラーサンプラー」でホワイトをクリックします。これでその写真の色補正は終了です。

同じライティングで撮ったほかの写真も、キーボードの「Command+Option+L」(またはCtrl+Alt+L)を押すと、同じ色補正を適用できます。また、同じカードを使ってRAW画像のホワイトバランスの調整もできます。PhotoshopのCamera Raw(またはPhotoshop Lightroomの「現像モジュール」)で同じ写真を開き、ツールボックスから「ホワイトバランスツール」を選び、ライトグレーの色見本をクリックします。これでホワイトバランスの設定が終わり、コピー&ペーストで同じホワイトバランスをすべてのRAW画像に適用できます。何枚でも好きなだけ写真を選んで一度に調整できるため、大きな時間の節約になります。

*訳注:グレーカードを持つ位置は重要です。なるべく顔に近い(顔を隠しても良い)場所でレンズに正対するようにします(理由は、次項の作例にチャートを入れることを考えればわかりますね)。


被写体に均一な光を当てない

img_tech_kelby10_03.jpg SCOTT KELBY

見る人の視線が最初に向くのは、写真の中で最も明るい部分と最もシャープな部分です。スタジオ撮影やロケーション撮影のときには(小型の外部ストロボでの撮影でも)、このことを覚えておいてください。全体に光を均等に当てると、見てほしいところに視線を誘導できません。

ポートレートでは大抵の場合、見てほしいのは被写体の顔です。プロのような写真にしたいのであれば、顔にしっかり光を当て、体の下にいくほど光が弱まるようにします。どのくらい暗くするかはあなたしだいです(下の方の光を完全に消して真っ暗にすることもできます。繰り返しますが、それは自分の判断です)。とにかく、重要なのは、写真を見たときにどの部分に目を向けてほしいかをライティングによってはっきりさせることです。

光をコントロールする方法の1つは、全身に均等な光が当たらないようにライトを配置することでしょう。あるいはファブリックグリッドを使って光の拡散を防ぐこともできます。光を遮るために何か物を使ってもよいでしょう。私はブラックフラッグ(約60×90cmの布製の旗)をライトの下に置きます(通常はブームスタンドに取り付けます)。こうすると、光は被写体の顔に集中します。体を完全に黒く消し去るつもりでないかぎり、すべての光を遮る必要はありません。顔以外の部分に当たる光の量を減らせばよいのです。自分の好きなポートレート写真家の作品を観察してみれば、見る人の視線を引きつけ、写真の中にドラマをつくり出すためにこのライティング手法が何度も使われていることに気づくはずです。


メインライトとフィルライトの違い

img_tech_kelby10_04.jpg SCOTT KELBY

複数のストロボを使って撮影するときに、メインライト(キーライトとも呼ばれる)とフィルライトという用語が使われているのを聞いたことがあると思います。どのライトであれ、被写体をおもに照らすのがメインライト(主灯)です。簡単ですね。背景用やヘアライト用ではなく、メインライトほどは明るくないライトをもう1灯使うとすると、これがフィルライト(補助灯)になります。フィルライトは写真にほんの少し明かりを加えるために使うのが普通です。

たとえば、横顔のポートレートを撮影しているとしましょう。メインライトは被写体の横、少し後ろ方向に置きます。ほとんどの光が後ろから来るので、カメラ側の横側にはほんの少ししか当たりません。こちら側が少し暗すぎると思ったときは、どうするでしょうか? そう、もう1灯のストロボを正面に置きます(背後のストロボの反対側に置くことになります)。ただし、このストロボは光量を抑えて、ほんの少しだけ光が当たるようにします。影が暗すぎない程度にするだけで十分です(このセッティングでの撮影画像は、www.kelbytraining.com/books/digphotogv3で見ることができます)。これがフィルライトです。さあ、これでメインライトとフィルライトの違いがわかりました。


ストロボ撮影と同調スピード

img_tech_kelby10_05.jpg SCOTT KELBY

スタジオ撮影や外部ストロボでの撮影で、写真の下側か左右どちらかの側に黒い線まはた黒いグラデーション部分ができるのは、シャッタースピードが速すぎてカメラがストロボに同調できていないためです。通常、カメラがストロボに同調できる最大のシャッタースピードは1/200秒ないしは1/250秒です(カメラのメーカーや機種によります)。“恐怖の黒線”が現れたときは、シャッタースピードを1/200秒ないしは1/250秒まで落としてください。これで解決します。


※この記事は「デジタルフォト達人への道」第3巻 から抜粋しています。

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スコット・ケルビー Scott Kelby

『Photoshop User』誌の編集者兼発行人。『Layers』誌(Adobe社製品に関するハウツー雑誌)の編集者兼発行人。人気ウィークリービデオショー『Photoshop® User TV』の共同司会者。全米フォトショップ・プロフェッショナル協会(NAPP)の共同創設者兼会長で、ソフトウェアのトレーニング・教育・出版会社ケルビー・メディア・グループの会長。写真家、デザイナーで、著書は50冊を超える。
・ブログ(英語) Scott Kelby's Photoshop Insider
・トレーニングビデオ(英語) Photo Recipes Live by Scott Kelby


早川廣行 Hayakawa Hiroyuki

電塾塾長/株式会社電画代表/東京藝術大学大学院非常勤講師/日本写真学会会員/日本写真芸術学会会員。デジタルフォトの黎明期から画像処理に取り組み、デジタルフォトの普及啓蒙・教育活動に努める。デジタルフォト関連の雑誌への寄稿、講演活動、書籍執筆(Photoshopプロフェッショナル講座シリーズ他多数)など幅広く活動している写真家・フォトディレクター。

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