Final Cut Pro 編集の基本

「挿入」と「上書き」を使いこなす

解説:斎賀和彦 作例映像:南雲暁彦(凸版印刷)

Final Cut Proではクリップをつなぐときのイン点の有無や、ドラッグ&ドロップで放す場所によって編集結果が異なる。そこを理解しないままだと意図と違う結果やミスが起こり、思うような編集ができない。このやや複雑に見える編集方法は、逆に言えば面倒な手順を経ずに様々な編集結果を実現できるプロ仕様なものだ。Final Cut Proの挙動ルールを理解して、思い通りの編集を行えるようになろう。

どの位置に編集されるかを意識して操作する

再生ヘッドがクリップの最後にある場合
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イン点アウト点が打たれていない場合、編集はタイムラインの再生ヘッド位置に対して行われる。このようにクリップの最後にある場合は順番につながれる。

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再生ヘッドがクリップの最後にある場合
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再生ヘッドの位置でそのクリップは分割され、その間にビューアのクリップが「割り込む」ように編集されるので注意。基本は再生ヘッドはクリップの最後に置く。

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再生ヘッドよりタイムラインのイン点が優先される
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再生ヘッドがクリップの途中にあってもイン点がクリップの最後にあれば編集はそこに対して行われる。編集はつねにイン点アウト点優先なので意識しよう。

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イン点は「キャンバス」の「イン点をマーク」で設定
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タイムラインへのイン点設定は、「キャンバス」の「イン点をマーク」ボタンで行う。(もしくはショートカット「 I 」)

「挿入」と「上書き」の違いを理解する

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同じイン点設定でも、「挿入」と「上書き」では挙動が異なる。台詞やアクション重視でストーリー編集に向いた「挿入」。音楽に合わせて映像を切りかえるなど流れるような展開に向いた「上書き」をその時々にあわせて使い分ける。
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「挿入」では右側のクリップを押し出して配置。再生時間はその分延びる

「挿入」は映画フィルム的な編集スタイル。イン点でクリップを分割して間を拡げ、そこに新クリップが「割り込む」。映像は1コマも失われず、その分シーケンスは長くなる。
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「上書き」では追加するクリップ分、右隣のクリップを上書き消去。再生時間は変化なし

「上書き」はテープ的な編集スタイル。タイムラインのイン点と新クリップのイン点をシンクロさせ、右側のクリップを上から潰していくように新クリップの長さ分上書きする。シーケンス時間は同じ。
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再生ヘッドの移動には「編集点へ移動」を使ってミスを防ぐ

タイムライン上でイン点を打つとき、再生ヘッドが正確に編集点(クリップとクリップの継ぎ目)に乗っていないと編集後、1〜2フレーム残っていたり、切れてしまうというミスが起こる。「編集点へ移動」ボタンを使うと、正確に編集点単位で前後にジャンプできるのでスピーディなだけでなくミスも防ぐことができる。

 
 

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クリップの途中にある再生ヘッド
「前の編集点へ移動」
をクリック

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前方のつなぎ目に再生ヘッドが移動
「次の編集点へ移動」
をクリック
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後方のつなぎ目に再生ヘッドが移動

※この記事は「Final Cut Pro 実践講座」から抜粋しています。

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斎賀和彦 Kazuhiko Saika

CM企画/演出時代にノンリニア編集勃興期を迎える。現在は駿河台大学メディア情報学部、デジタルハリウッド大学院等で理論と実践の両面から映像を教えながら、写真、映像作品を制作。
ブログ http://mono-logue.air-nifty.com/
ツイッターアカウント http://twitter.com/SAIKA

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