吉田尚記のあさっての話

時代が必要とする起業家とはどんな人ですか?|千葉功太郎

まとめ:粟野亜美

今回の対談相手は、よっぴーと同じ麻布中学・高等学校の卒業生であるという共通項がある千葉功太郎さん。創業間もない企業に投資をする“エンジェル投資家”であり、慶應義塾大学SFC特別招聘教授の顔も持ち、さらにはパイロットでもあり、ホンダジェット国内1号機オーナーでもあるという多彩な顔を持つ人物だ。よっぴーとPodcast『千葉功太郎 Angel Radio for Visionary Startups』をスタートさせたばかり。千葉さんが投資したいと思うポイントはどこなのか。自分の中の「好き」の蓋を開けたくなる濃密な対談です。

20220715_asatte_3.jpg吉田尚記

吉田 千葉さんと始めたPodcastが、手前味噌ですがめちゃくちゃ面白くて。とにかく、千葉さんのお話が衝撃的でした。普通の人は「そんな簡単に起業できない」と思いがちですけど、千葉さんは「起業家には特殊な能力があるわけでも、ずば抜けた頭の良さがあるわけでもない。ただ、夢があり、その夢を人生かけてでも実現させるという使命を持っている」と仰っていて。

20220715_asatte_4.jpg千葉功太郎

千葉 夢とやる気と気合いがあれば、お金がなくても起業家になれる時代なんです。というのも、資本が0円でも、投資家がお金を付けてくれる時代になった。投資家はいわば伴走者なんですよね。

20220715_asatte_2.jpg

投資家がお金を
付けてくれる時代だから
お金がなくても
起業家になれるので

吉田 起業家になるには志がめちゃくちゃ高い人じゃなきゃいけないなど、なんとなく自分でアッパー(上限)を決めてしまう気がしています。自分の能力や置かれた環境から考えると、これぐらいのことをやっておけば充分だよねと人は思いがち。それはものすごくもったいないことなんじゃないかと。そのリミッターを外せる人が起業家なのかなと。

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みんな自分でアッパーを
決めてしまう気がして
それがものすごくもったいない
そのリミッターを外せる人が
起業家なのかなと

千葉 結局、“好き”を追求できていれば、リミッターを外せると思うんです。自分の中にある偏執的な愛をもう一回掘り起こして、思いっきり蓋を開けていく。

吉田 そこが意外と普通の人は難しいのかもと思うんです。一度、普通の相場感のある人生を歩もうとして、そこから突然、それまで蓋をしていた「好き」を開ける。それに気が付ける人とそうでない人の違いってなんだと思いますか?

千葉 いわゆる“自分探しの作業”なのかもしれませんね。僕が運営する起業家コミュニティの「千葉道場」では、過去に所属する起業家が集まる合宿で、自分の人生の棚卸の年表を作ってもらうワークショップを開催した事があります。0歳から今の年齢までを横軸にして、0とプラス、マイナスというシンプルなモチベーショングラフを作る。0が基本で、+10は最高に幸せ、−10がどん底。それで波のグラフを作って、そこにコメントを書いていく。「中学受験成功して幸せ」、「入学したらビリで落ち込む」とか。結構それが面白くて、普段忘れていた自分を掘り起こすわけです。そこの何かが必ず今やっている原動力に無意識でつながっている。僕もやってみると、幼いころに僕の骨格を作ったのは科学雑誌の『Newton』だとわかるし、それが今の「宇宙へ行きたい気持ち」に間違いなくつながっている。

吉田 ガンダムの富野由悠季監督が、「10歳ぐらいまでの間に夢中になったものにしか本物はない」と話していて。富野監督は10歳までにずっと宇宙のことばかり考えていたからガンダムが作れたと。

千葉 面白い! 確かにふと考えると、確かに小中高大とずっと宇宙を追いかけていた。でも、それに一度、蓋をした。宇宙に行く最短ルートが金を稼ぐことだと、一段階ブレイクダウンさせて。宇宙に行くには金がかかる→ならば人生最短でレバレッジかけてお金を稼がなければならない。人と違うやり方じゃないと、宇宙旅行に行くお金は稼げない。どこかのタイミングで宇宙に行くための資金を20億と頭のなかに置いた。それを余裕で出せるぐらいに稼がないといけないんだなと。で過去を振り返ったグラフのように未来についても考えて、「これからはこのぐらいのスピードでお金を稼がないと」と思ってそれをやって今に至っている感じです。

吉田 それで投資家になられた面はすごく理解できたんですが、パイロットも同じなんですか?

千葉 宇宙飛行士は過去、ほとんどの人がパイロット出身なんです。なので、宇宙に行くのに、パイロットライセンスを持っていて損はない。なぜなら自分の命を守るのは自分だから。なので、パイロットになろうと決めたわけです。

吉田 そうなるとやっぱり「普通の人の人生ってこんなもの」という相場観は不要な感じがしますよね。

千葉 よく「生涯年収は3億円です」とか言いますけど、自分が決めた人生は自分が決めた道を歩むのであって、日本人はこうあるべきみたいな言葉にも聞こえてしまってイヤだなと思います。

吉田 自分でストーリーを描く力も必要だなって思うんです。前回、この連載に登場していただいた矢野和男先生も易の話の中で仰っていました。

千葉 つまりは“未来に対する解像度”なんですよ。ストーリーと解像度、これが重要です。最初はボヤッとしていてもいいと思うんです。でも、できるだけちょうどいいところに、僕で言う「宇宙に行くぞ」みたいなわかりやすい目標を置く。それを解像度高くイメージして、そこから逆算してストーリーを作っていく。人生、時間が限られているので。大きなことをしようとすると5年、10年単位でかかってしまう。その間に年齢を重ねて物理的に劣化してしまう。社会的にできることは増えるけど、肉体的にできることが少なくなってしまう。こういう相反関係にある。

吉田 衝撃的だったのが、起業家って命をかけているのかと思っていたら、「命はかけていない」と。

千葉 うん、ぬるい。実際、僕は体験してみて“ぬるかった”ということに気が付いたんです。命かけていると思っていたから、誰よりもリスクを背負って頑張っていると、当時の自分は思っていたんですけど、パイロットと比べたら、全然命かけてないし、身ぐるみはがされるわけでもない。昭和の感覚だと、親から借金をして株式会社作って、それでもお金がまわらなくて、個人で借入してというイメージですけど、今は投資家がぽんとお金を出してくれる。金銭的な借金を負う必要がない。信じられない時代だなと。10年前までは、起業して失敗したら大きな借金が残っていたけれど、今は翌日からやり直せちゃう。なのに、命をかけているというのはまったく不釣り合いだなと改めて思った次第です。

吉田 では、起業と後継だったら、どっちが難しいですか?

千葉 後継かもしれない。起業は自分のわがままでできる。創業者は二代目を作るのがすごく難しい。自分と同じ熱量と同じ責任感と、同じレイヤーで持ってくれる人はなかなかいない。

吉田 この対談、Podcastと合わせて聞いてもらうとより理解が深まるので、是非、聞いてみてください!

千葉 実際にビジョンを持っている起業家の方々も登場しますし、聞いた人が「俺でも起業できるかも」と思える内容になると思います。

よしだ・ひさのり
1975年12月12日東京生まれ。ニッポン放送アナウンサー。第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞受賞。「マンガ大賞」発起人。現在、『ミューコミVR』と週10本前後のPodcastを担当。最新刊は石川善樹氏との共著『むかしむかし あるところにウェルビーイングがありました』(KADOKAWA)。ほか著書多数。

ちば・こうたろう
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、リクルートに入社。2009年コロプラに参画し、取締役副社長に就任。2012年東証マザーズIPO、2014年東証一部上場。退任後は個人エンジェル投資家、ドローン・エアモビリティ前提社会を目指す分野特化型VC「DRONE FUND」や、「千葉道場ファンド」の代表を務める。慶應義塾大学SFC特別招聘教授としてスタートアップ教育に従事。今年8月、米国NASDAQへ自身が取締役をするSPAC「PONO CAPITAL」社を上場させる。


※この記事はコマーシャル・フォト2021年12月号から転載しています。


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