2020年09月25日
7月末に発売以降、注目を集めているキヤノンのフルサイズミラーレスカメラEOS R5。EOS R システム初の“5”シリーズを受け継ぎ、約4500万画素フルサイズCMOSセンサーとDIGIC Xで高画質を実現。さらにデュアルピクセルCMOS AFが改善され、AF速度、被写体検出性能・瞳検出が向上した。今回、渡辺宏樹さんにはロケでのファッションフォト撮影でAF性能の実力を試してもらった。
より素早く、高精度に進化したAF性能
ST:入江陽子(TRON) HM:岩田美香(mod’s hair) Model:nontobeko(WIZARD) 衣装協力:ISSEY MIYAKE/ボディスーツ SOMARTA(ESTEEM PRESS)
──今回、ロケでのファッションフォト撮影でEOS R5のAF性能を体験していただきました。
渡辺 ロバート・ロンゴの「Men in the Cities」をオマージュにしたファッションフォトを撮りたかったんです。この撮影では、被写体が体をくねらせて踊るような動きを追っていくので、今回のR5での撮影にぴったりだと思い提案しました。
モデルに自由に動いてもらい、AF性能を試しましたが、本当にバッチリ瞳に合いますね。後ろを向いたり、手で顔を隠したりと顔が隠れた状態でも、頭部を追従し続けていて、瞳がカメラの方に向いた瞬間、ピントがバシッと合っていました。AFサーチ速度がとにかく速いし、迷わないです。
成熟したAFアルゴリズム
渡辺 動きを連写した時でもずっと瞳を追っているのは驚きました。EOS R5のサーボAFでは、もっと動きが速い被写体でも充分追ってくれそうです。EOS-1D X Mark IIIのAFアルゴリズムを搭載したとのことでしたが、とても成熟したアルゴリズムだと感じました。この精度なら現場で随時ピントチェックする手間が減り、効率的に撮影ができます。撮影時間が短く、ピントをはずせないタレント広告の撮影でも重宝すると思います。
ST:入江陽子(TRON) HM:岩田美香(mod’s hair) Model:nontobeko(WIZARD) 衣装協力:ISSEY MIYAKE/ボディスーツ SOMARTA(ESTEEM PRESS)
──R5では「顔+追尾優先AF」時、最大横100%×縦100%と測距エリアが大幅に拡大されています。
渡辺 この写真(右上掲載)のように、画面端であっても優に合いました。これは一眼レフカメラではできないし、EOS Rと比べても測距エリアがかなり広くなりました。
ファッション撮影の場合、当日のモデルのテンションに合わせて撮りながら絵を決めることが多いので、どんな動きにも対応できるのは嬉しい。ファインダーをのぞけば、パッといい絵が撮れます。自由度が増すことで、撮影に集中できるし、イマジネーションが広がります。
──レンズはRF24-70mm F2.8 L IS USMを使っていただきました。
渡辺 ボケが綺麗に出ますね。高画質レンズはボケがうるさくなりがちな印象がありますが、RFレンズは滑らかで綺麗。
今までEFレンズとEOS Rの組み合わせで使っていましたが、やっぱりRFレンズの方が気持ち良い絵が撮れますね。色の濁りもないし、ディテールを求められる撮影に向いていると思います。撮影後、RFレンズを使ったデータの方が色作りがしやすかったのも印象的でした。
EOS史上最高解像性能
ST:入江陽子(TRON) HM:岩田美香(mod’s hair) Model:nontobeko(WIZARD) 衣装協力:ISSEY MIYAKE/トップス、スカート hana yagi
──RFレンズ、新CMOSセンサー、DIGIC X、この3つによって、EOS史上最高解像性能と言われています。画質はいかがでしたか?
渡辺 僕は撮影後フィルムライクに仕上げることが多いですが、R5のデータはトーンが作りやすいです。フィルムにも近いような濃密さを感じました。今まで高解像度カメラにはあまり興味を持てませんでしたが、実際データを触ってみてメリットを実感しました。
画素数はEOS 5Dsの方が多いですが、モニターで見た印象ではR5の方が上回っているように思います。線が繊細というか 。シャープネスも自然で、肌色も綺麗に出るし、濃密且つバランスの良いデータですね。
R5は5Dシリーズの流れを組んだ操作設計なので、5Dユーザーも戸惑うことなく切り替えられると思います。Rに比べてグリップがとても握りやすくなったこと、ダイヤルが戻ったのは嬉しいです。軽量なのでロケハン用に気軽に持ち出しやすいし、画素数やAF性能、高画質という面では仕事で活躍する頼もしいカメラですね。一度使うと手放せなくなりそうです。
今回の撮影は全てRF24-70mm F2.8 L IS USMを使用した。
撮影は8月中旬、都内施設屋上で行なわれた。撮影中はCapture One 20を使ってのテザー撮影ではデータ転送もスムースだった。現像もCapture One 20を使用。「R5はCapture One20との相性もいいかも」と渡辺さん。
渡辺宏樹(わたなべ・ひろき)
1985年仙台生まれ。建築設計に従事後、アマナにて青山たかかず氏に師事。2014年より独立。2020年6月よりトロンマネジメントに所属。
www.hirokiwatanabe.net
www.tronmanagement.com
EOS R5
約4500万画素35mmフルサイズCMOSセンサーと映像エンジンDIGIC Xを搭載。 進化した高速・高精度AF、デュアルピクセルCMOS AF IIによってAF性能が大幅に向上。人物の瞳・顔に加え、頭部検出も可能に。さらに縦横ともにAFエリアが映像表示範囲の最大約100%×約100%に拡大。映像エンジンDIGIC Xにより、最高約20コマ/秒の高速連続撮影(電子シャッター時)や8K動画など先進機能を実現した。
※この記事はコマーシャル・フォト2020年10月号から転載しています。
- 伊藤彰紀|EOS R3の視線入力機能を活かしたファッションフォト
- KAZUKI TAKANO|EOS R3の最高約30コマ/秒の 高速連続撮影で動体を止める
- 皆川 聡|ズーム、望遠、超望遠 3つのRFレンズで動きを捉える
- てんてん|RFレンズで自分の新しい表現を見つける
- 福島典昭 ポートレイト、スチルライフ、風景...、オールラウンダーカメラR5の実力
- 小田駿一|EOS R5で環境光のみの「夜の街」を撮り下ろす
- 高梨遼平|ボケ描写を自在にコントロールできるRFマクロレンズ
- 伊藤彰紀|EOS R5のサーボAFの実力を試す
- 吉田多麻希|EOS R5の動物検出の実力を試す
- 平野タカシ|EOS R5のAF性能・高感度性能の実力を試す
- 渡辺宏樹|EOS R5のAF性能の実力を試す