2021年10月30日
フルサイズミラーレスをファッションや広告撮影で使用している皆川聡さんにRF70-200mm F2.8 L IS USM・RF400mm F2.8 L IS USM・RF600mm F4 L IS USMの3つのレンズを使って「動きのあるファッション」を撮影してもらった。ファッション+望遠+動きの要素が入ったシューティングは皆川さん自身も初めての経験だったという。
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焦点距離 200m(70-200mm) 1/5000 f2.8 ISO400
──撮影テーマを教えてください。
皆川 被写体に近寄らず、ただ遠くからその人を見ているような視点で撮影するファッションフォトです。いわゆるファッションフォトや、フォトグラファーと被写体の対峙の中で生まれるポートレイトとは真逆の、ファッション的なポーズや表情ではなく、ポーズ感のない動き、舞台やパフォーマンスっぽい動きを狙いました。 80〜90年代は長いレンズを使ったファッションやグラビア、ポートレイトがよく発表されていたんですよね。今回は90年代の『VOGUE ITALIA』から発想したファッションシューティングになりました。
以前からトライしてみたい撮影だったので「動きのあるファッション」というテーマをもらった時には、まさにこれだ! と。僕の中でビジュアルイメージが先にできていたので、モデルや撮影スタッフには「喜怒哀楽の感情に翻弄された1人の女性が感情の赴くままに 動き回る。それを遠くの視点から捉えたい」と伝えて、現場でアイデアを出しながら撮影しています。難しいテーマでしたが、モデルの平田さんは役に入り込み見事に演じてくれました。
焦点距離 400m 1/2500 f2.8 ISO400
──R5の瞳AF性能と高速連続撮影機能を活かした撮影でした。
皆川 僕が普段の仕事である広告やファッションの現場では、被写体とここまで離れて撮影することがほとんどないんですよ。僕自身初めての経験でしたが、R5は充分期待に応えてくれました。
まず瞳AF性能が素晴らしいです。かなり距離が離れた被写体の瞳を検出してくれた時は、感動しました。しかも、激しい動作でも追従し続けていたし、後ろを向いて目が隠れた状態でも、頭部の部分を追いかけ続けている。目が現れた瞬間には、きちんとピントが合う。この瞳→頭部→瞳への移動もとてもスムーズです。 測距可能エリアがとても広いので、画面の隅に被写体の顔がくるような構図でも、全く問題なく追いかけてくれる。今回のような撮影ではとても役立ちました。 高速連続撮影での最高約20コマ/秒はスポーツ写真も問題なく撮影できるはず。ミラーレスカメラでの連写撮影時起こりやすいブラックアウトも軽減されていると思います。今回600mmを手持ちで撮影する場面がありましたが、手ブレ補正効果が威力を発揮してくれましたね。──RF70-200mm F2.8 L IS USM・RF400mm F2.8 L IS USM・RF600mm F4 L IS USMの3種類のレンズで撮影しています。
皆川 今回の撮影テーマには長いレンズが必須だったし、興味もあって試してみました。普段だと、長くても200mm程度。ここまでの長いレンズで動き回る被写体を追いかけたことがなかったのでとても新鮮でした。400mmや600mmはどちらも200mmでは出ない良さがあります。
特に、600mmはボケがとても綺麗で気持ちいいですね。被写体とはかなり距離があったのでパース感も出ないし、動きだけを切り取れる。その感じが気持ちがいいです。今回使用した3本はどれも描写がすごく綺麗でシャープなことにも驚きました。
<写真上>焦点距離 600m 1/1600 f4.0 ISO200
<写真下>焦点距離 200m(70-200mm) 1/2000 f2.8 ISO200
皆川 撮影後、この作品は僕好みの質感に仕上げるため、味付け程度の調整をしていますが、もともとのスタンダードな設定での画質がナチュラルに出るのがすごく良い。ミラーレスカメラの場合、独特な色味や画質によっていかにも映像を切り取ったような感覚になることがあるんです。R5はその違和感を感じさせない写真的な画質とでも言いますか 、違和感のあるビビッドさや誇張もなく、自然な色味が嬉しいです。
焦点距離 200m(70-200mm) 1/1250 f2.8 ISO320
──R5とRFレンズで今後撮影するとしたら、どんな撮影をしたいですか?
皆川 動きのある撮影でピントを外さずシャープに撮れるのならスポーツフォトと考えがちだけど、このカメラ性能があれば、フォトグラファーのアイデアをミックスさせた作品がたくさん生まれると思います。僕の場合、元々動きのある写真が好きなので、また長いレンズを使ったファッションフォトを自分の作品を撮ってみたいですね。
Model:平田かのん (TOMORROW TOKYO)
ST:Toshio Takeda(Mild)
HM:KOUTA(GLASSLOFT)
衣装協力:MM6・JUNYA WATANABE・ROMBAUT・Alexander Wang・N21・WINDOWSEN・doublet・STRONGTHE・ALYX
皆川 聡(みなかわ・さとし)
東京生まれ。 Mild所属1990年に渡米しThe Art Institute of Colorado写真学科を卒業。 フリーのアシスタントとして、写真家Norbert SchoernerやStefan Ruizの撮影サポートを経験し、1999年独立。
主な仕事:UNIQLO、FamilyMart、CUT(雑誌) ほか多数
https://satoshiminakawa.com/
EOS R5
約4500万画素35mmフルサイズCMOSセンサーと映像エンジンDIGIC Xを搭載。静止画での常用ISO感度は100〜51200を達成した。デュアルピクセルCMOS AF IIによってAF性能が大幅に向上。人物の瞳・顔に加え、頭部検出も可能に。映像エンジンDIGIC Xにより、最高約20コマ/秒の高速連続撮影(電子シャッター時)やカメラとレンズの協調により、最高8.0段の手ブレ補正効果を実現。
製品の詳細:https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/product/eosr/r5/