2020年12月24日
発売以降、人気を集めているキヤノンのフルサイズミラーレスカメラEOS R5。EOS R システム初の“5”シリーズを受け継ぎ、約4500万画素フルサイズCMOSセンサーとDIGIC XでEOS史上最高解像性能を実現。高度な被写体検出性能・瞳検出性能など、進化したAF性能はプロの現場にどのような可能性をもたらすのか? 伊藤彰紀さんには、動きの早い被写体にも追従するサーボAFの実力を試してもらった。
激しい動きでも瞳を追い続けるAF追従性能
ST:YOSHI MIYAMASU(SIGNO) Make:MACHIKO YANO Hair:EIJI SATO(SIGNO) Model:Jane Shishlyannikova(Donna) 衣装協力:VIVIANO(ドレス)・flake(ピアス)
──今回はスタジオでの動きのあるファッションフォト撮影ということで、R5のサーボAF性能を試していただきましたが、いかがでしたか?
伊藤 モデルに上下左右、回ったりと大きく動いてもらいましたが、常に顔を追い続けてくれました。僕自身もカメラを動かしながら撮りましたが、追従性能はかなり安定していたと思います。スポーツ撮影でも充分対応できますね。
シャッター音がすごく静かなので、撮影中、本当に撮れているのか? なんて少し不安になりましたけど、上がりを見たらほぼ100%近い確率で瞳にフォーカスがきていました。これほど撮れているとは思っていなかったので正直とても驚きました。現場で使えたら、とても心強いですね。普段の広告撮影で、せっかく良い表情が撮れても、フォーカスが甘くてセレクトから外されることが何度かあったんです。でも、このAF性能ならフォーカスの心配がなくなるので、より撮影に集中できます。
薄暗い環境でも瞳にしっかりピントがくるので、フォーカスライトが必要ないのも嬉しい。通常、ライティングに加えてフォーカスライトとしてLEDを当てますが、色が干渉してしまって、肉眼で見る色と上がりの色が変わってしまうのも悩みだったんです。自分の眼で確認したライティングそのままの色で撮れるのは、僕にとって大きなメリットです。
──仕事の撮影で、ミラーレスを使ったのは初めてだそうですね。
伊藤 以前パーソナルワークとしてドキュメンタリーフォトを撮った時、EOS Rを使いましたが、スタジオ撮影では初めてです。
今回はCapture One 20でのテザー撮影でしたが、連写しても一度も落ちなかったのも良かった。プロが広告の現場で使うカメラとしても、とても優秀だと感じました。
以前、ビューティや広告の撮影で中判デジタルを使っていた時期があったんです。ただ、僕は良いと思ったらすぐシャッターを切るタイプなので、中判だと転送も追いつかないし、毎回マニュアルでピントを合わせるのも結構大変で 。
今、メインで使っているEOS 5D Mark IVは、画素数の面に多少心配がありつつも、僕としてはかなり満足して使っていたんです。でも、R5で撮影したら、衝撃を受けました。AF性能や画素数、画質などあらゆる面で不安を一気に解消してくれます。
圧倒的な高画質・高感度性能
──撮影中、モニタに映し出された写真の画質に驚かれていましたね。
伊藤 今まで見てきたEOS 5Ds RやEOS 5D Mark IVの画質とは全く違うレベル 別物と言っていいほどだったので、素直に感動しました。
シャープネスもデジタル特有のシャープ感もなく、良い塩梅のフォーカスがきている。フィルムライクにも、デジタルらしい絵にも振れるので、表現の幅がすごく広がると思います。
伊藤 特に画質面で驚いたのは、絞り値4、ISO3200で撮ったカット(↑)です。高感度なのにノイズもなく、この表現力を保っているのは、本当にすごい。
雑誌の撮影で、アジのある絵を狙って高感度で撮ることもありますが、そういった意味での高感度撮影とは全く別物。ISO3200でも充分、広告写真として使えるレベルです。
伊藤 今回はテストも兼ねて、ヒキの写真をトリミングしてヨリのカット(↑)を作りましたが、問題なくビューティフォトに仕上がっていました。
ビューティや表情を狙う広告の撮影ですぐにでも使いたいです。一度手にしたら、手放せないカメラですね。
伊藤彰紀(いとう・あきのり)
Aosora所属。1977年生まれ。1996年渡米後、2001年ニューヨーク州立大学バッファロー校卒業。2003年独立、帰国。
aosora.info/akinori-ito
EOS R5
約4500万画素35mmフルサイズCMOSセンサーと映像エンジンDIGIC Xを搭載。静止画での常用ISO感度は100〜51200を達成した。デュアルピクセルCMOS AF IIによってAF性能が大幅に向上。人物の瞳・顔に加え、頭部検出も可能に。さらに縦横ともにAFエリアが映像表示範囲の最大約100%×約100%に拡大。映像エンジンDIGIC Xにより、最高約20コマ/秒の高速連続撮影(電子シャッター時)やカメラとレンズの協調により、最高8.0段の手ブレ補正効果を実現。また8K動画など先進機能を搭載している。
キヤノン Your EOS. https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/
※この記事はコマーシャル・フォト2021年1月号から転載しています。
- 伊藤彰紀|EOS R3の視線入力機能を活かしたファッションフォト
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