キヤノンEOS Rシステムの世界

小田駿一|EOS R5で環境光のみの「夜の街」を撮り下ろす

ポートレイトを中心に広告・雑誌で活動している小田駿一さん。今回はEOS R5と3本のRFレンズを使って、夜の街を撮影してもらった。この作品は、小田さんにとって初めてのフルサイズミラーレスカメラ体験でもある。Rシステムは夜の街をどう捉えたのか。

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※画像はクリックで拡大
RF100mm F2.8 L MACRO IS USM

Interview

──パーソナルワークとして夜間の街のスナップを撮影していただきました。

小田 僕はパーソナルワークを撮る上で、「Socio-Photography」という考え方を軸に据えています。これは僕が作った造語で、社会とのつながりの中で感じたことや起きたことからテーマや被写体を決めて写真で記録していく作品作りを指しています。その時しか撮れないものを撮り、社会に対しての問題提起を作品に込めていく。そうすることで、作品としての意味が深まり強度が増すと思っています。

今回はEOS R5を使って夜の街を撮影しましたが、昨年新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下での“秩序ある夜の街”を被写体にした「Night Order(邦題:秩序ある夜)」という作品を制作していました。

その延長線にある作品として1年を経て、改めて夜の街の撮影に臨みました。前回は、混沌とした現実を記録するという思いが強く、ドキュメンタリー的に撮っていましたが、今回は夜の街に佇む特に僕が魅力を感じた部分をクローズアップして、より主観的に切り取っています。

20210921_eosr2.jpgRF15-35mm F2.8 L IS USM


──小田さんは、フルサイズミラーレスカメラを使うこと自体、初めてだったそうですね。

小田 仕事では中判デジタルやデジタル一眼レフをメインに使っています。キヤノンのカメラでは、EOS 5D Mark IVやEOS-1D X Mark IIIをシチュレーションに合わせて選んでいます。

ミラーレスを初めて使うこともあって、まず驚いたのがボディとレンズの軽さです。今回の撮影では、事前にロケハンをせず、街を歩きながら撮影ポイントを探しています。5日間毎日3〜4時間ほど歩いて、本当にいいと思ったところだけを狙って撮影しているので、EOS R5の軽さはとても助かりました。身体に負担がかからない分、妥協せず突き詰めて被写体を探すことができました。

また、初めて体験したEVFも便利でした。脳内で仕上がりイメージを想像しなくても、EVFならシャッターを切る前に仕上がりのイメージが出来上がっているので、ファインダーをのぞいただけで撮りたい世界と出会えますね。

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RF15-35mm F2.8 L IS USM

20210921_eosr4.jpgRF24-70mm F2.8 L IS USM


小田 僕がEOS R5で特に印象的だったのは、長時間露光撮影でのノイズの少なさですね。この撮影では、地明かりのみで、三脚に据えて長時間露光で撮影しています。シャッタースピードは1秒から1/4秒ほどで、ISO100~800。そんな環境下でもホワイトノイズもカラーノイズも少ないことに驚きました。

画質面でも、路地に灯るネオンの色を発色良く出してくれますね。癖がなくとても素直に出してくれるので、イメージ損なわずに風景を切り取れます。

また、通常は暗がりで撮影する場合は、スマートフォンのライトをアイランプ代わりにして置きピンで撮影しますが、EOS R5はその手間がなく、ピントがパシッと合ってくれました。夜間撮影でのAF性能の精度が高く速度も早いです。


攻めの姿勢でアングルを探れる

──3本のRFレンズを使われていますね。

小田 RF15-35ミリ F4 L IS USM、RF24-70mm F2.8 L IS USM、RF100mm F2.8 L MACRO IS USMの3本です。特にRF100mm F2.8 L MACRO IS USMは歪みが少なく、優秀なレンズですね。今回は被写体に対して迫るような画角を狙うのが作品意図でもあったので、尚更重宝しました。

撮影では、RF100mm F2.8 L MACRO IS USMでクローズアップのアングルを探り、EVFで仕上がりの絵を確認しながら、新しいアングルを発見させてもらったような感覚です。今回は街のスナップフォトでしたが、ポートレイトや風景でも使ってみたい。このレンズでしか撮れない見たこともないような絵が見られるかもしれません。

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RF100mm F2.8 L MACRO IS USM

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RF100mm F2.8 L MACRO IS USM

──今後どんな撮影でEOS R5を使いたいですか?

小田 旅、風景などロケ撮影で使いたいですね。長時間ロケでも、常にフレッシュな状態で撮影に臨めて、積極的にアングルを探れると思います。もっとアクティブに動きながら撮る現場で使うのもいいですね。キヤノンらしい堅牢性を保ちつつ、小型で軽く重さから解放してくれるので、タフな現場の撮影でも期待に応えてくれると思います。



小田駿一(おだ・しゅんいち)
1990年生まれ。2012年に渡英し独学で写真を学ぶ。 2017年独立。2019年symphonic所属。アートワークでは2020年緊急事態宣言下、東京の夜の街を撮影した「Night Order」シリーズを、2021年「Gallery of Taboo」を主催し、「OTONA性 - 百面相化する自己意識の果てに」をそれぞれ発表した。社会との繋がりの中から着想を得て、人の心と行動を動かす「Socio-Photography」を志向する。
https://www.shunichi-oda.com/

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EOS R5
約4500万画素35mmフルサイズCMOSセンサーと映像エンジンDIGIC Xを搭載。静止画での常用ISO感度は100〜51200を達成した。デュアルピクセルCMOS AF IIによってAF性能が大幅に向上。人物の瞳・顔に加え、頭部検出も可能に。映像エンジンDIGIC Xにより、最高約20コマ/秒の高速連続撮影(電子シャッター時)やカメラとレンズの協調により、最高8.0段の手ブレ補正効果を実現。


製品の詳細:https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/product/eosr/r5/

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