アメリカ付記

現代のアメリカ アメリカのプロ写真家の「写真学校で教えて欲しかった!」

プロになって、「これ、学校で教えといてくれればよかったのに」と思うこと、ありませんか? 今回のアメリカ付記は趣向を変えて、現代のアメリカのプロ写真家がツイッターで募集した「学校で教えておいて欲しかった!」つぶやきベスト11をお伝えします。

11位 他者への対応の方法
「人を尊重することがいかに大切かプロになってシミジミわかった。でも、そんなこと学校じゃ教えてくれない。親がどう育てたか、それがどれほど大事で、それ次第だってことがプロになってよくわかるよ」「君、どれだけプロが他の人達と関係を築くのに苦労してるかわかる? カメラを向けることが人を傷つけることもあるってことをプロが知らないとでも? 技術以上に人にどう対応するかのほうが、よほど大事だってことだよ」

10位 どうやって人生のバランスを保つか
「狂ったように忙しくなる、急にガーンと暇になる。その中でクリエイティブであり続けなきゃいけない」

9位 めまぐるしく変わる技術革新の中でどのように写真家としての位置づけを保つか
「特にジャーナリズムの中でスチールを撮り続けることをどう周囲に納得させるか、個人の理論が必要」

8位 写すに価するストーリーをどこで見つけるか
「旅に出なければストーリーのあるものは撮れないという浅はかな考えを捨てたほうがいい。身近なところにいくらでもストーリーは転がっている。自分自身を見つめ直すこと」

7位 完璧である必要はない
「学校を卒業したてのころは強気だ。自分にもすごく期待してる。学校の歴史の時間にはそれまでまだ生み出されていないベスト中のベストのイメージばかりを見せられる。だから、自分に対する期待値を上げすぎるんだ。事前に知っておいたほうがいい。完璧を求め過ぎるとダメになる」

6位 前向きでいるために、気持ちの障害を取り除くことと拒否に対する対応
「写真家は自分が肯定されないような状況に対応できない強力なエゴを持っている。拒否される状況をどうやって受け入れられるようになるかは、学校で習うよりセラピストに行け。でも、そこから学ぶんだ。それを乗り越えない自分をそのままにしておくと、次の時点でそれは障害になって取り除けなくなる。写真家には自分自身の気持ちに起こるこうした障害を克服する方法を知っておく必要があるんだ。それが自信にもつながるし、将来も変える」

5位 どうやってキャリアを成長させるか
「産業はめまぐるしい速さで変化して、さまざまなものを簡単に古臭いものへと追いやってしまう。つまり、新しいチャンスがどんどん生み出されている。新しいものを取り入れることに積極的であること。今、君が満足できていたとしても、明日はどうなるかわからないんだから。安住するな」

4位 自分と作品をどうやって売り込むか
「君が営業しない限り、君の写真が君を売り込んでくれたりはしない。マーケティングは撮影することと同じ比重で重要だ」「写真家のためのマーケティングクラスがあれば絶対とってたぜ!」「マーケティングとファイナンシャルプランもな!」

3位 カメラじゃない写真家だ
「カメラにレンズ、コンピュータにソフトウェア、みんなたしかに写真家にとって重要だ。そして、ほとんどの場合それに期待しすぎてる。でも機材は写真家を生まない」

2位 価格の設定
「イメージにどれだけの価値があるのか? 労働時間の価値は? いったいどうやってクライアントに説明するべきなのか」「クライアントにライセンス(使用範囲)をどう交渉するかもね」

1位 写真はビジネスだ!
「写真学校には行かなかったけど、僕は17歳から写真を職業にしている。その中で僕が学んだ最も大切なことは、写真家という健全なビジネスマンであるべきだ、ということだ」「写真家として今まで一番役に立ったクラスは実のところ、写真のクラスじゃない。会計や税金の関するクラス。基本的なことだけど、これがわかってなかったら、写真でビジネスを行なうことは無理だ」

さて、日本のプロ写真家のみなさんにとって、「教えておいて欲しかった!」と思われることはなんですか?

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安友志乃 Shino Yasutomo

文筆家。著書に「撮る人へ」「写真家へ」「あなたの写真を拝見します」(窓社刊)、「写真のはじまり物語 ダゲレオ・アンブロ・ティンタイプ」(雷鳥社刊)がある。アメリカ在住。

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