2015年10月27日
昨今ではムービー業界でも使用されているColorEdge。そこで、4KモニターのColorEdge CG248-4Kをムービー撮影現場に持ち込んでみた。
23.8インチの画面の大きさは4Kのピント合わせに最適
状況撮影:三嶋義秀
時代の流れからフォトグラファーである筆者にも、ムービー撮影の機会は多くなってきた。しかし、いつも苦労するのは、ピント合わせである。一眼ムービーらしいボケを生かした撮影をすると当然ながら被写界深度が浅くなるからだ。そういう時、筆者は5インチから7インチ程度のビューモニターを使用してきた。
しかし、これも時代の流れから最近は4Kでの撮影に移行したため、それらのビューモニターでもピントに苦労するようになっている。そこで、実質的な視聴環境と同一視できる大きさである、23.8インチのCG248-4Kを撮影現場に持ち込んだ。
結論を言ってしまえば、ピント合わせには物理的な大きさが大事なのだ。このことはフォトグラファーの多くが感じていることと思うが、APSよりフルサイズ、フルサイズより中判のファインダーのほうが解像力が高く、ピントの山を拾いやすい。ファインダーの拡大倍率よりも物理的な大きさが大事なのだ。これまでも経験的に知ってきたことであったが、電子的なモニターであっても、それは一緒のことであったのだ。
4K対応カメラとCG248-4Kを持ち込んだのは、大型工作機械である300トンプレスを被写体とした撮影現場だ。撮影の内容としては、プレス機本体前に置いたプレス金型のアップから、プレス機本体にピントを移動させていく。この間、同時に電動スライダーで視点も移動させていく。視点の動きにピントの移動が加わるので、浅い被写界深度ではピントのコントロールが難しいのだ。
そこで、アシスタントに電動スライダーの操作を任せ、筆者はCG248-4Kでの表示を見ながら電動フォローフォーカスでピントを移動させた。結果は以下に掲示するが、狙い通りのシャープで滑らかな動きとピント送りを実現できたのである。
撮影協力:ナカ工業株式会社
http://www.naka-kogyo.co.jp
撮影時のプレビューにもムービー編集にも使えるCG248-4K
上の動画を撮影した際の機材のセットアップについて説明しよう。まず電動スライダーを設置し、アシスタントと筆者の作業位置を決めてから、CG248-4Kを設置した。CG248-4Kは三脚に取り付けたアルミプレートの上に置いた。
実はあまり大きな話題にならない部分だが、ColorEdgeは年々軽量化している。CG248-4Kはフードなしなら8.5キロであり、ムービー撮影の現場に持ち込む機材としては、重いものではない。
可動範囲の広いスタンドもCG248-4Kの美点である。左右上下に回転する角度、および上下に昇降する範囲が広く、どんな場所に設置しても作業者から見やすい角度に調整できる。また、軽いのに安定性が高く、設置後も不安なく、三脚ごと移動が可能であった。
撮影にはパナソニックのLUMIX GH4を使用した。自作の電動フォローフォーカスを取り付けている。
CG248-4Kの接続ポートはDisplayPort 2系統とHDMI 2系統である。GH4の出力がHDMIであるので、3mのケーブルを用いてカメラを直接接続した。
事前にMacでモニターキャリブレーションを行なっているが、カメラにモニタープロファイルが割り当てられるわけではない。しかし、ColorEdgeシリーズはハードウェアキャリブレーションであるため、一度キャリブレーションを行なってしまえば、モニター単体としても正しい色合いで表示できるため、カメラと直接接続であっても実用上問題ない。
接続ポートは4系統で十分なものであるが、ムービー撮影を考えると、SDI接続が可能な、さらなる上位機種もほしい。
手持ちカメラでも、大きなモニターを見ながらピントを調節すれば、浅い被写界深度を実現できる。モニター用の電源さえ取れるところであれば、このような運用も可能だ。筆者が手に持っているのは3軸ジンバルで、手持ち撮影時のブレを吸収してくれる。
撮影後の編集はAdobe Premiere Proで作業を行なうが、メイン画面には4Kネイティブで映像をプレビューできるCG248-4Kを割り当てた(写真右がCG248-4K。左は編集作業用のCX271)。昨今は納品がフルHDであっても、撮影・編集は4Kで行なうことの方が多くなった。現況はフルHDで十分であっても、アーカイブしておくためだ。
モニターの表色についてであるが、撮影現場でカメラから直接モニターに出力した色と、編集時の色にほぼ違いは出てこない。普段編集作業に使っているCG248-4Kを撮影現場のモニターに使い回しても、快適に使うことができる。ムービー制作の現場でも、信頼性が高く使い勝手の良いCG248-4Kであった。
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茂手木秀行 Hideyuki Motegi
1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。雑誌「クロワッサン」「ターザン」「ポパイ」「ブルータス」の撮影を担当。2010年フリーランスとなる。1990年頃よりデジタル加工を始め、1997年頃からは撮影もデジタル化。デジタルフォトの黎明期を過ごす。2004年/2008年雑誌写真記者会優秀賞。レタッチ、プリントに造詣が深く、著書に「Photoshop Camera Raw レタッチワークフロー」、「美しいプリントを作るための教科書」がある。
個展
05年「トーキョー湾岸」
07年「Scenic Miles 道の行方」
08年「RM California」
09年「海に名前をつけるとき」
10年「海に名前をつけるとき D」「沈まぬ空に眠るとき」
12年「空のかけら」
14年「美しいプリントを作るための教科書〜オリジナルプリント展」
17年「星天航路」
デジカメWatch インタビュー記事
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/culture/photographer/
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