ColorEdge 特集

ColorNavigator 5 徹底研究 PART1(前編)

解説:茂手木秀行

2007年12月、ColorEdgeシリーズのキャリブレーションソフトウェア「ColorNavigator」 がVer5.0にアップデートされた。「ColorNavigator 5.0」の基本から新しいバリデーション機能の使い方、インクジェットプリントとのカラーマッチングに至るまで、モニターキャリブレーションを実践的に紹介する。

ColorNavigator 5.0の概要

12月7日、ColorEdgeシリーズのキャリブレーションソフトウェアである「ColorNavigator」 が、「ColorNavigator 5.0」にアップデートされた。Mac版先行であるが、Win版も続いて12月14日にアップデートされている。


ColorNavigator 5.0

一番大きな変更点は「ColorNavigator CE」との統合である。これまで、ColorEdge CEシリーズおよびCG241Wには「ColorNavigator CE」、その他の機種には「ColorNavigator」と、2系統のキャリブレーションソフトウェアがあったわけだが、ColorNavigator 5.0で一つに統一され、それに伴いColorNavigatorを使うことのできる機種が増えた。

ColorEdge CEシリーズの一部では6色調整機能を使えないなどの機能制限はあるが、今後のアップデートで対応予定だ。ColorEdge CEユーザーにとっては朗報である。またデュアルモニターとしてColorEdge CG、ColorEdge CEの双方を使っているユーザーにとっては、キャリブレーション時の手間を減らせて好都合だ。

さらに、単なる統合だけではなく、様々な新機能が追加された。主なところでは、広色域モニター対応センサーの追加、さまざまな色空間や他のモニターの表色をシミュレーションできる「エミュレーション機能」対応機種の追加、作成したモニタプロファイルを検証できる「バリデーション機能」の追加、RGB個別のガンマ設定(目標値)の追加、プロファイルカスタマイズ機能の追加などが行われた。ユーザーインターフェースも変更となったが、簡潔で手早いキャリブレーションが可能である「ColorNavigator」の理念は引き継がれ、野心的でかつ簡潔なソフトウェアに仕上がっている。時、まさに12月。すべてのColorEdge ユーザーにとって嬉しいクリスマスプレゼントになったことは間違いない。

ダウンロードと機能説明はこちら。

本稿では、「ColorNavigator 5.0」の基本的な使い方について、手順を追いTipsも織り交ぜながら解説したいと思う。今回のターゲットはインクジェットプリントである。ただし、CMSの目的であるデバイス間のカラーマッチングは、いかに同一のものに「見えるか」であるので、そこには個人差があるということをまず前提とさせて頂きたい。つまり、具体的な数値はあくまで筆者「茂手木秀行」にそのように「見える」数値であることをお断りしておく。


カラーマネージメントの第一歩は光源色温度の統一


まずは使用した機材を列記する。

カメラストロボPCOSモニター
ニコン
D2X
ブロンカラー
Grafit A 1200w
Apple PowerMac G5 2.3GHz DualMac OS X 10.4.11ナナオ
ColorEdge CG221

ソフトソフトキャリブレータプリンタ
Photoshop CS3 & Camera Raw 4.2ナナオ
ColorNavigator 5.0
エックスライト
i1 Pro測定器
エプソン
PX-5800

CMSの基本は光源色温度を統一することである。ヒトの目には、色温度が違えば違った色と認識されるからだ。最終的なプリント物や印刷物の観測光源色温度は、日本印刷学会の推奨値であるD50(色温度5000K)である。補助標準イルミナントD50光源は、理想光源を数学的に表現したものであって、現実には存在しない。しかし理想光源に近いかどうかという指標は、演色指数(Ra)という数値で表され、Ra90以上が推奨されている。最終成果物の光源はこのように規定されているので、撮影光源、モニター、モニター設置場所の環境光、プリントの観察光源を統一する。その基準もD50・Ra90以上である。

撮影時の設定と環境光についてお話ししようと思う。まずは撮影に使用したニコンD2X。D2Xは、比較的素直な色再現でカラーマッチングしやすい。カメラの設定はRAWデータ記録、ISO100、ホワイトバランスは「太陽光」(5200K)。

撮影光源であるブロンカラーはその高演色性と色温度調整機能に定評がある。発光部単体では、Ra99という驚くべき数値であるのだ。ライトボックスなどでディフューズしても5000K・Ra95程度以上を確保でき、現時点で最も理想光源に近い機材である。

撮影後には、Adobe Camera Raw 4.2 で RAWデータを現像した。このとき、チャートをいれた別カットから、グレーバランスをとっている。

次にモニターの設置場所における環境光だ。ISO規格ではカラーモニターの設置環境として32 lxもしくは64 lxを規定している。薄暗い環境である。ここでも、D50・Ra90以上が条件である。私の場合は12畳の部屋にAAA色評価用高演色蛍光灯40wを天井に1本設置することで、実測約4800K、D50に対する演色指数90以上、照度約60 lxを得ている。

さらにISOでの規定をお話しすると、モニター輝度は80cd、印刷物を観測する条件は2000 lxもしくは500 lxと規定されている。2000 lxは複数の印刷物を比較し、色の評価をする環境であり、500 lxは一枚の画像を評価するために採用される規定だ。モニターとの比較では明るさの差が大きいと正確な比較ができないので、500 lxという条件がよいと思われる。今回採用した数値をまとめると、以下の表になる。

モニター設置環境64 lx
プリント評価500 lx
モニター80 cd / ㎡

現時点では印刷会社やレタッチャーが多く採用している基準である。しかし、今回の基準は比較観測においてやや無理があるのではないかという意見も多く出ている。そのため、新たな基準の策定も動き出しているので、以下の資料も参照して頂きたい。こうした新たな基準が決定されれば、同じ基準を採用すべきであるのもまたCMSの基礎である。

参考資料
「印刷産業用液晶カラーモニタ標準化作業報告書」
「RGBワークフローガイド」APA 日本広告写真家協会


キャリブレーションの基本 ①


さて前置きが長くなってしまったが、ここから先はいよいよColorEdge ユーザーのために「ColorNavigator 5.0」を使った、ワンランク上の安心感を持てるモニターキャリブレーションを実践してみたいと思う。準備はよろしいだろうか。

ここから先は、繰り返して申し上げるが、カラーマッチング、色の観測において個人差があり、私「茂手木秀行」がマッチングすると感じた数値を申し上げることをご理解いただきたい。ただし、本稿の検証に当たって、プロ機材販売店、代理店、大手印刷会社、ソフトウェア開発会社の方々からご協力とご助言を賜った。それでも、検証および運用は自己責任でお願い申し上げる。もし、結果が自身の環境に不都合があっても、ほんのひと手間で元の状態に戻せることも「ColorNavigator」の良さであることも合わせてお伝えしておきたい。


STEP1:まずはダウンロードとインストール
ダウンロードは下記から行なえる。
http://www.eizo.co.jp/support/download/ce/index.html
ColorNavigatorのインストール先は、デフォルトではユーティリティフォルダになっている。日常的に使い倒すのもお勧めであるので、Dockにも登録しよう(先に述べたマシン環境での検証なので、Mac OS Xでの状況である)。


STEP2:センサーの準備
ColorNavigator 5.0を起動すると、まず使用しているキャリブレーションセンサーが何であるかを聞いてくる。ColorNavigator 5.0では8種類のセンサーを使うことができるが、私はi1 Proを使用することを強くお勧めする。

現在のセンサーは測色機構の違いにより、スペクトル検出タイプとフィルターによる分光タイプに分かれているが、i1 Proはスペクトルタイプに属している(他にはi1 Monitorもスペクトルタイプ)。スペクトルタイプは、可視光380ナノメートルから730ナノメートルまでを10ナノメートルごとに測定することができ、フィルターでLabに分解するフィルタータイプとは、検出精度においてワンオーダー違う。だからこそ生産性や安心感に結びつき、それゆえに強くお勧めするのである。i1の現行ラインナップでは、i1 Design LT以上のパッケージとなる(i1 Design LTの詳細)。

 本当に大事なTips その1 光を扱うセンサーは温度でゲインが変わる
 本当に大事なTips その2 i1 Pro の健康診断ソフトウェア


STEP3:ColorNavigator 5.0起動せよ
なにも、格好つけて言うほどのこともない。アイコンをダブルクリックするだけのことだ。インストールの項で述べたが、デフォルトはアプリケーションフォルダ → ユーティリティフォルダの中である。インストール後もドラッグ&ドロップで移動が可能だ。けれども、そんな奥底にしまうよりDockに登録して、モニターキャリブレーションを日常のものとしよう。モニタプロファイルは旬なものほど良いのだ。対応センサーをColorEdge のUSBコネクターに接続したら、ソフトウェア起動!である。

 本当に大事なTips その3 キャリブレーションは電源を入れて30分経ってから


キャリブレーションの基本 ②


STEP4:調整目標を考える
ColorNavigator 5.0を起動して、使用しているセンサーを選ぶと調整目標設定画面が現れる。最初の起動時には「写真・デザイン用一般設定」「印刷用一般設定」の二つの設定目標が入っているはずだ。諸説あるが、「写真・デザイン用一般設定」はウェブ用、「印刷用一般設定」は印刷およびインクジェットプリント用と割り切って考えて欲しい。であるので、ここでは調整目標を「印刷用一般設定」とする。

調整目標の選択(クリックで画像拡大)

しかし、のちのちプロファイルを管理しやすくするために、「調整目標を作成する」ボタンをクリックして新たな調整目標を作成する。

 本当に大事なTips その4 色温度は6500Kか、5000Kか


STEP5:調整目標を作成する。
「調整目標を作成する」ボタンをクリックすると「調整目標の新規作成」ダイアログが現れる。まず、それぞれの設定は「印刷用一般設定」に準拠する。
1、「色再現域」は「モニターネイティブ」
2、「輝度」は「80 cd/平方メートル」、「白色点」は「D50」
3、「黒レベル」は「目標黒レベルを設定する」チェックボックスをオフ。
4、「ガンマ」は「1.8」、「RGBはすべて同じ値にする」チェックボックスをオン。「優先度」は「グレイバランス」


色再現域の設定(クリックで画像拡大)

輝度・白色点の設定(クリックで画像拡大)


黒レベルの設定(クリックで画像拡大)

ガンマの設定(クリックで画像拡大)


STEP6:測定
「調整目標の新規作成」が終わり、「完了」ボタンをクリックすると「調整目標名」を聞いてくる。自動的に設置目標値のわかる名前がついてくるので、そのままOKするのもよし、自動設定された名前のあとに日付などを追加しておくのもよし。日付を追加すると、のちのち便利である。

調整目標名の設定

ここまでできたら、後は画面の指示に従って、センサーを初期化、モニター上に示されたセンサー位置にセンサーを合わせて「実行」ボタンをクリックするだけである。なんと簡単! この簡単さはColorNavigator の美点なのである。また、測定が早いことも特徴だ。私のマシン環境では、実行ボタンをクリックしてから測定終了まで、2分以内だ。


センサーの初期化

センサーを取り付けて「実行」ボタンをクリック


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写真:茂手木秀行

茂手木秀行 Hideyuki Motegi

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。雑誌「クロワッサン」「ターザン」「ポパイ」「ブルータス」の撮影を担当。2010年フリーランスとなる。1990年頃よりデジタル加工を始め、1997年頃からは撮影もデジタル化。デジタルフォトの黎明期を過ごす。2004年/2008年雑誌写真記者会優秀賞。レタッチ、プリントに造詣が深く、著書に「Photoshop Camera Raw レタッチワークフロー」、「美しいプリントを作るための教科書」がある。

個展
05年「トーキョー湾岸」
07年「Scenic Miles 道の行方」
08年「RM California」
09年「海に名前をつけるとき」
10年「海に名前をつけるとき D」「沈まぬ空に眠るとき」
12年「空のかけら」
14年「美しいプリントを作るための教科書〜オリジナルプリント展」
17年「星天航路」

デジカメWatch インタビュー記事
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/culture/photographer/

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