2009年03月07日
撮影データをきちんとした色でモニター表示させるにはまず、そのデータに埋め込むICCプロファイルを設定しておく必要があります。使用するのは汎用プロファイルとして世界的に広く普及しているAdobe RGBかsRGBのどちらかです。
カメラによってはメーカー独自のプロファイル(汎用プロファイルからカスタマイズされたもの)がありますが、いずれにせよカメラ本体やRAW現像ソフトで、プロファイルの設定をしておくことが重要です。画像データにプロファイルを埋め込んでおくと、Adobe Photoshop等で画像を開く際に、自動的に適切な色で表示してくれるからです。
またモニターの選択ですが、色調や階調の厳密さを追求するのであればハードウェアキャリブレーション対応モニターを選択して下さい。そしてこのタイプのモニターの性能をきちんと引き出すためには、それぞれのモニターに対応するキャリブレーションセンサーを用意する必要があります。
ナナオのハードウェアキャリブレーション対応モニターといえばColorEdgeシリーズですが、sRGBタイプ(CG211、CG19)と、Adobe RGB対応・相応タイプ(CG221、CG301W、CG242W、CG241W、CG222W)があります。Adobe RGBの広い色域をsRGBモニターで正確に表示することはできないので、sRGB以上の色域を持っている(彩度の非常に高い)被写体を撮影することが多いのであれば、Adobe RGB対応・相応のモニターでデータを観察する必要があります。
ただし印刷物制作においては、必ずしもAdobe RGB対応・相応モニターを使わなくても差し支えないと思います。sRGBでは印刷の色域を一部再現できないなどの課題はありますが、私の経験で言うとsRGBタイプのColorEdgeでも十分に印刷物とのマッチングが取れるからです。いたずらに色域の広さを追求するよりも、撮影データにきちんとプロファイルが埋め込まれているのかどうかの方が重要です。
画像データにプロファイルが埋め込まれてないと、Adobe Photoshopで画像を開いた時に上の警告が表示される。このとき適切なプロファイルを指定しないと、モニターに表示される色は正しい色とはならない。
小島勉 Tsutomu Kojima
株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ所属。インクジェットによるアートプリント制作(プリマグラフィ)のチーフディレクター。1987年、旧・株式会社トッパンプロセスGA部入社。サイテックス社の画像処理システムを使った商業印刷物をメインとしたレタッチに従事。1998年よりインクジェットによるアート製作(プリマグラフィ)を担当し現在に至る。イラスト、写真、CGなど、様々なジャンルのアート表現に携わっている。
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