液晶モニターQ&A

Q11 キャリブレーション用ツールの違いを教えてほしい

小島勉

「液晶モニターQ&A」の連載が終了して3年以上が経ちました。この間、モニターやキャリブレーションをとりまく状況も大きく変わってきましたので、改めてこの連載を再開することにしました。どうぞよろしくお願いします。

さて再開第1回目のQ&Aは、モニターキャリブレーションのツール(センサーとソフトウェア)についてです。キャリブレーションツールには、そのモニター専用のものと、汎用タイプがあります。いま使用しているモニターがキャリブレーションモニターであれば専用ツールを使ってキャリブレーションをしますが、一般的な液晶モニター、ノートPC、モニター一体型デスクトップPCなど、専用ツールを持たないこれらのモニターをキャリブレーションするには汎用ツールを利用します。

専用ツールとは、たとえばColorEdgeであれば「ColorNavigator」というソフトウェアとそれに対応したセンサーがこれにあたります。いっぽう汎用ツールとは、ColorMunki、i1 Pro 2シリーズ、Datacolor Spyderなどの外付けセンサーと、それに付属しているソフトウェアのことを指します。

注意が必要なのは、新しくキャリブレーションモニターを購入した時です。既にこのような汎用の外付けセンサーを持っている場合、よく「センサーに付属しているソフトウェアだから」という理由で汎用ソフトウェアを使い続けているケースを見受けますが、これは正しい使い方ではありません。汎用ソフトウェアでは、せっかくのキャリブレーションモニターでも、その性能を充分に引き出すことができません。センサーそのものは使い続けても構いませんが、ソフトウェアに関してはぜひとも専用ソフトウェアに乗り換えてください。

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専用ツールと汎用ツールの違いで、もう一つ知っておいてほしいことがあります。専用ツールではモニターキャリブレーション(モニタープロファイルを作る)が主な機能となりますが、汎用ツールにはプリントプロファイルの作成機能まで備えたものがあります。たとえばサードパーティの用紙でカラーマッチングさせたい時などは、使用しているプリンターの機種により、用意されているプリントプロファイルがまだまだ少なかったりするので、汎用ツールを使ってプリントプロファイルを自作しなければなりません。

最近のColorEdgeシリーズはキャリブレーションセンサーがモニター内部に組み込まれたモデルもあり、これらの機種では専用ツールの「ColorNavigator」を使ってきちんとモニターキャリブレーションすることができます。最初に買ったモニターがこのタイプのColorEdgeであれば、外付けセンサーはなくてもかまいません。

しかし、作品プリントづくりを重視する人の場合はちょっと事情が違います。作品プリントでは純正紙以外の用紙を使うことも多いので、プリントとのマッチングを目的としたプリントプロファイルを自作することになります。このような場合は、外付けセンサーと汎用ソフトウェアを使う必要があります。

このように、目的に応じて専用ツールと汎用ツールを使い分けるのが、賢い使い方と言えるでしょう。

写真:小島勉

小島勉 Tsutomu Kojima

株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ所属。インクジェットによるアートプリント制作(プリマグラフィ)のチーフディレクター。1987年、旧・株式会社トッパンプロセスGA部入社。サイテックス社の画像処理システムを使った商業印刷物をメインとしたレタッチに従事。1998年よりインクジェットによるアート製作(プリマグラフィ)を担当し現在に至る。イラスト、写真、CGなど、様々なジャンルのアート表現に携わっている。

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