2009年03月07日
現在販売されているキャリブレーションセンサーには様々な価格帯、方式の製品がある。
まず測色器の種類ですが、フィルター式と分光(スペクトル)式に区別されます。フィルター式はRGBなど複数のカラーフィルターを使い、それぞれのフィルターを透過した光をセンサーで受け、演算によって測定結果を出すというもの。センサーによっては7枚ものフィルターを使って精度向上を狙ったものもあります。一方の分光式は、プリズムと同じ働きをする回析格子という素子によって各波長成分に分光し、数十個のセンサーで測色するというもので、きわめて高精度な測色を可能としています。
具体的な製品名で言うと、i1(Eye-One)DisplayやSpyderなどはフィルター式、i1(Eye-One)やColorMunkiは分光式です。いずれもColorEdgeのハードウェアキャリブレーションにも対応しています(ColorMunkiシリーズはColorNavigator Ver.5.1.2以降で対応しています)。
価格面で言えばフィルター式は購入しやすく、分光式はそれなりに初期投資がかかります。分光式は精度の高いキャリブレーションが可能なことに加えて、環境光を測定したり、反射物(物体、印刷物など)の色を直接測定できるなど機能面も豊富なので、ワークスタイルによっては投資するメリットがあると思います。一方のフィルター式も最新機種では環境光の測定が可能になっているので、モニター環境の整備に役立ちます。
性能面で言えば、前述したように分光式のほうが高精度です。特にAdobe RGB対応・相応モニターのように色域の広いモニターでは、分光式とフィルター式の精度の違いが出やすくなります。広色域モニターを導入する場合は、予算が許す限り、分光式センサーでキャリブレーションするようにしましょう。
小島勉 Tsutomu Kojima
株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ所属。インクジェットによるアートプリント制作(プリマグラフィ)のチーフディレクター。1987年、旧・株式会社トッパンプロセスGA部入社。サイテックス社の画像処理システムを使った商業印刷物をメインとしたレタッチに従事。1998年よりインクジェットによるアート製作(プリマグラフィ)を担当し現在に至る。イラスト、写真、CGなど、様々なジャンルのアート表現に携わっている。
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