2009年08月03日
液晶パネルには構造の違いが3種類あります。一番安価で普及している TNパネル( Twisted Nematic )とVAパネル( Vertically Aligned )、そして高級機に使われる IPSパネル( In - Plane Switching )です。TN → VA → IPS という具合に価格が高くなりますが、ColorEdge シリーズでは、VA と IPSパネルを採用しています。
液晶パネルは、液晶分子やフィルターなどの精度によって、独特なキラキラした感じが見受けられますが、これが多少、目の疲れやすさに影響を与えるかもしれません。しかし、IPSパネルだから疲れにくいとか、VAパネルだから疲れやすいということはないと思います。
私の作業環境では、VAパネルの ColorEdge CG241W と IPSパネルの CG21(現在は製造終了)を、デュアル接続して使用していますが、経験として疲れの差を感じることはあまりありません。もっとも個人差による違いはあると思いますが
。
それよりも注意したい点は、モニターの輝度を上げすぎない(まぶしく感じない)ようにすることです。部屋の明るさなどを考慮しながら、モニターの輝度を設定しましょう。室内の照明環境と液晶モニターの輝度差に気を配ることで、眼の疲れも軽減できるはずです。
輝度の設定範囲は、液晶モニターによって異なります。印刷や写真の現場に適したモニターでは 80〜120 cd/㎡ 程度まで輝度を落とせるものが多く、中でもColorEdgeシリーズは80 cd/㎡ 以下に設定することも可能です。一方、安価なタイプや高輝度を謳うものの中には、あまり輝度を落とせないものがありますが、そういうモニターは一般的なオフィスではまぶしすぎるので注意が必要です。
輝度設定の手順ですが、ColorEdgeシリーズでは付属ソフトのColorNavigatorで輝度を設定できるようになっています(下図参照)。まず最初に 80 cd/㎡に設定し、照明環境に合わせて適度な値に微調整していくのがよいでしょう。ちなみに80 cd/㎡という値は、sRGBで規定されている輝度であり、Q7で紹介した国際標準規格「ISO12646 : 2008」におけるモニターの最低輝度でもあります。
小島勉 Tsutomu Kojima
株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ所属。インクジェットによるアートプリント制作(プリマグラフィ)のチーフディレクター。1987年、旧・株式会社トッパンプロセスGA部入社。サイテックス社の画像処理システムを使った商業印刷物をメインとしたレタッチに従事。1998年よりインクジェットによるアート製作(プリマグラフィ)を担当し現在に至る。イラスト、写真、CGなど、様々なジャンルのアート表現に携わっている。
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