2009年03月07日
予算的な問題で、ハードウェアキャリブレーション対応システムまでは構築できないということは確かにあると思います。モニターキャリブレーション自体、意識して取り組んでいる方もまだまだ少ないと思いますので、ソフトウェアキャリブレーションをしているだけでも先進的と言えるでしょう。
さて、キャリブレーション方式による精度の違いがどの程度なのかというお話ですが、ソフトウェアキャリブレーションの場合、PCに搭載されているビデオカードのRGB出力をコントロールすることで、モニターの表示を目標値に近づけていくことになります。この方法だと当然ながらビデオカードやモニターの性能差によって、キャリブレーションの精度はバラバラになります。
Windowsマシンの場合はビデオカードの性能やモニターの種類(液晶パネルの違い)による組み合わせでそれこそ千差万別ですが、Macの場合は標準で搭載されているビデオカードの性能はまずまず優秀で、表示の傾向が比較的同じですから、モニターの基本性能が良ければソフトウェアキャリブレーションでもある程度実用的な精度が得られると思います。ナナオの液晶モニターで言えばFlexScan シリーズとMacの組み合わせなら、コストパフォーマンスのよいシステムを組めると思います。
ただし、モニターに求めるクオリティがかなり高いのであれば、やはりハードウェアキャリブレーション対応のColorEdgeを選択すべきだと思います。最近はColorEdgeでも手頃な価格の製品も出てきているので選択肢は広がっていると思います。
ColorEdgeの製品ラインナップ(2009年2月末現在)
なお、ColorEdgeの専用のキャリブレーションソフト(ColorNavigator 5)には、キャリブレーション後に各色パッチをもう一度表示・測定して、モニタープロファイルがどのくらいの精度なのかを検証する機能がついています。これを見ることによってキャリブレーションの精度が一目で分かるようになっています。
ΔE4以上の色差がある場合は黄色の警告が表示されますが、正しい手順でハードウェアキャリブレーションを行なっていれば、ほとんど警告が表示されることはありません。ColorEdgeシリーズのハードウェアキャリブレーションの精度は、それくらい高精度なのです。
ColorNavigator 5のプロファイル検証機能
小島勉 Tsutomu Kojima
株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ所属。インクジェットによるアートプリント制作(プリマグラフィ)のチーフディレクター。1987年、旧・株式会社トッパンプロセスGA部入社。サイテックス社の画像処理システムを使った商業印刷物をメインとしたレタッチに従事。1998年よりインクジェットによるアート製作(プリマグラフィ)を担当し現在に至る。イラスト、写真、CGなど、様々なジャンルのアート表現に携わっている。
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