Photoshop CS6の新機能

使い勝手のよい「コンテンツに応じた移動ツール」

解説:御園生大地

今回から4回に分けて、レタッチャーやデザイナーに向けたアップデートのポイントを紹介したい。精度の高まった「コンテンツに応じる」ツールと、自然なぼかしを実現する「ぼかしギャラリー」関連機能、そしてロゴなどの作成に役立つ「3D」関連機能。いずれも即戦力たりうる機能だ。

「移動」と同時に「埋める」機能

元画像
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ツールを使って作成した範囲を、ドラッグ&ドロップで移動させれば、背景の様子を汲んだ上で自然に移動ができる
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中央の人物を移動したところ
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Photoshopの最近のアップデートでは徐々に、「コンテンツに応じた◯◯◯」というツールが増えている。CS4で「コンテンツに応じた拡大・縮小」が登場したのを皮切りに、CS5では「コンテンツに応じた修復ブラシツール」、「コンテンツに応じた塗りつぶし」が追加。今回のCS6では、さらに二つの機能が追加された。それが「コンテンツに応じた移動」と「パッチツール」の「コンテンツに応じる」オプションだ。

筆者の個人的感想としては、「コンテンツに応じたシリーズは、CS6で真に実戦で多用できるツールとして仕上がったな」という思いである。

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「コンテンツに応じた移動ツール」は、ツールバーの、「スポット修復ブラシツール」と切り替えて使用するようになっている

「コンテンツに応じた移動ツール」は、写真の中の主題の場所を移動するのに適したツールだ。一筆書きの要領で囲んだ選択範囲を移動したい先にドラッグすると自然な移動ができる。そしてそれだけではなく、もとの場所を「空気を読んだ」かのように、周囲となじむように埋めてくれる。ちなみにこのツールでは、元の場所を埋めてくれる際にコピーソース元の指定ができないので、後述の「パッチツール」の「コンテンツに応じる」オプションに比べると、成功率がやや落ちる面がある。

「移動」と「拡張」の違い

img_soft_pscs6_10_05.jpg 「コンテンツに応じた移動ツール」を選択している時に、オプションバーの「モード」で「拡張」を選ぶと、元画像を残したままにしておくことができる。コピー元の画像の領域を広げたい場合に利用できる。

さらにプラスアルファの使用方法としては、画面上部の「モード」の設定項目を「移動」から「拡張」に切り替えることで、もとの場所を埋める機能が働かなくなり、画像がそのまま残る。こちらは写真の一部分を伸ばすようなケースで使用することができるので、用途に応じて使い分けると作業効率向上に役立つだろう。

POINT!

画像によっては実践的なツール。「空気を読んだ」かのようにきれいに仕上がることも。

なお、オプションとして用意されている「適応」を「厳密に」すると元画像をなるべく崩さない力が働き、「ゆるく」するとコンテンツに応じた改変、臨機応変度合いが上がるようだ。


元画像
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水面を拡張したところ
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「コンテンツに応じた移動ツール」を「拡張」で使用し、元画像の水面の領域を広げた。ソース元と背景がうまく合成して自然に仕上がっている。

[コンテンツに応じた機能一覧]

機能 搭載されたバージョン 概要
コンテンツに応じた移動 CS6 選択した範囲を周囲になじむようにして別の場所へ移動できる
コンテンツに応じたパッチ CS6 従来あったパッチツールを周囲になじむ形で行なってくれる
コンテンツに応じた修復ブラシ CS5 スポット修復ブラシツールでなぞった部分を自動的に周囲になじませてくれる
コンテンツに応じた塗りつぶし CS5 選択した部分を周囲となじむように塗りつぶしてくれる
コンテンツに応じて拡大・縮小 CS4 画面の中の、どこを保護し、どこを多めに変形させるかを判断してくれる

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