2019年08月07日
今回のビジュアルは飲料水をイメージしたシズルカット。カメラはSONY α9。ライトはストロボではなくHMIを定常光にし、高速シャッター、高速連写にてピッチャーの水の動きを撮影した。
撮影協力:中島孟世(THS)
ロゴデザイン:井元友香(凸版印刷)
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機材の進化から新しい撮影スタイルを生み出し、それをビジュアルとして昇華させていくというのはいつの時代もフォトグラファーの仕事だと思う。
今回のビジュアルはパッと見てほとんどの人が高速ストロボでの瞬間撮影だと思うのではないだろうか。実はこの撮影、定常光と高速シャッター、高速連写による撮影なのである。光源はHMI、カメラはSONYのα9だ。
α9は、35mmフルサイズカメラとしては最速の20コマ/秒連写と1/32000秒の高速シャッターを誇る。1/32000秒といえばもはや高速ストロボの閃光時間に匹敵するスピードであり、水の動きがガラスのようにピタリと止まる。それを秒20コマで撮影できるのだから歩留まりは向上し、やってみようかという気を起こさせる。高感度での画質も重要で今回はISO6400を使用したが、α9は驚くほどノイズの無いクリアな画像を叩き出した。
ライティング図
【使用機材】
カメラ&レンズ(Sony)
α9
[1]
FE 135mm F1.8 GM
[2]
HMI(broncolor〈アガイ商事取扱製品〉)
DWP800
[3]
撮影の流れ
今回のビジュアルをどのように撮影するのか順を追って説明していく。前出のライティング図と合わせて見ていこう。
1. セットを組む
水受けの大きなアクリルのプールの真ん中にアクリルの筒をたて、その上に被写体となるライムとミントを仕込んだ水の入ったピッチャーを乗せる。レンズは135mmを使用して被写体からの距離を確保し、水しぶきがあまり被らないようにした。レンズを長くしてもっと離したいぐらいだが、被写界深度を深くとりたかったのでこのレンズを選択、画質も素晴らしいレンズだ。
水を大量に撒くのでセットの下にシートを敷く
光源はHMIを3灯、ここまで被写体に近づけるとかなりの熱量になる、被写体が水なので燃えることはないがLEDで光源が用意できればベターだろう。
南雲暁彦 Akihiko Nagumo
凸版印刷 ビジュアルクリエイティブ部 チーフフォトグラファー
1970年神奈川県生まれ。幼少期をブラジル・サンパウロで育つ。世界約300都市以上での撮影実績を持つ。日本広告写真家協会(APA)会員。多摩美術大学、長岡造形大学非常勤講師。
- 第17回 専門誌のキービジュアルを想定してバイオリンを撮る
- 第16回 メーカーのイメージビジュアルを想定してバイクを撮る
- 第15回 飲料水のイメージビジュアルを想定してシズルカットを撮る
- 第14回 ブランド広告を想定して香水瓶を撮る
- 第13回 Photo Worksとしてアンモナイトの化石を撮る
- 第12回 カタログのイメージカットを想定してコーヒー器具を撮る
- 第11回 広告媒体のキービジュアルを想定してスニーカーを撮る
- 第10回 Photo Worksとしてパウダーが舞う瞬間を撮る
- 第9回 Photo Worksとして水面の煌めきを撮る
- 第8回 専門誌のグラビアページを想定してミニチュアカーを撮る
- 第7回 モーターサイクルイベントの大型ポスターを想定してヘルメットを撮る
- 第6回 ファッションブランドのルックブックを想定して洋服を撮る
- 第5回 キッチンツールフェアのキービジュアルを想定してメタリックツールを撮る
- 第3回 デジタルサイネージを想定してハーバリウムを撮る
- 第2回 雑誌広告を想定してブランドバッグを撮る
- 第1回 商品カタログを想定してアンティークカメラを撮る