液晶モニターQ&A

Q2. モニターの色温度は5000Kなのか6500Kなのか、ガンマは1.8なのか2.2なのか悩みます。どちらにすべきでしょうか?

解説:小島勉

モニターの色温度は、用途別に考え方が異なります。私のような印刷物の制作に携わっている場合は、例外なく5000Kとするべきです。これは印刷学会が推奨する設定値を採用するほうがトラブルが少ないと考えられるからです。

印刷物のための写真撮影、レタッチの仕事をしている場合も同様です。しかし、Webやその他電子メディアの仕事では6500Kが適していることもあるようです。用途によって設定する色温度は異なるということを理解しておいてください。

モニターのガンマ値に関しては、人によって考え方が異なります。なぜならガンマ値というのは、人の目の特性に合わせてシャドウからハイライトまでを自然に見せるためのもので、どうしても個人差があるからです。印刷用途ならMac OSのモニターガンマ1.8に合わせるべきだという意見もありますが、Photoshop上で画像を確認する場合は、画像に埋め込まれているプロファイルに記載されているガンマ値(sRGB, Adobe RGBなら2.2)が適用されるので、1.8にこだわる必要はないということを知っておいて下さい。

私がこれまで検証してきた結果で言うと、モニターやプリンタなどの各デバイス間でカラーマッチングをするには、ガンマ2.2が比較的マッチングしやすい値だと思います。ColorEdgeのキャリブレーションソフトColorNavigatorにはモニターガンマの調整機能があるので、プリント物とモニターを見比べて、1.802.4の範囲で、両者が同じように見えるガンマ値に調整するのがよいと思います。(ColorNavigatorのガンマ調整機能は、特集「ColorNavigator 5 徹底研究」を参照してください)


ColorNavigatorのモニターガンマ調整機能

またモニターの色温度と同じくらい重要なのが、モニターが置いてある環境の光源です。普段の生活の中で使用されている蛍光灯などは、白色系から昼白色系が多いですね。白色や昼白色蛍光灯の色温度はだいたい400005000K前後ですから、日常生活での環境光は5000Kが一般的と言えるのではないでしょうか?

ただし、制作側が校正する環境では光源の色温度もさることながら演色性が大事です。演色性のよい光源は自然光に近い性質を持っているとされており、いっぽう演色性のよくない光源を使っていると自然光で見たときの色と大きく違って見えてしまいます。市販されている蛍光灯の種類、色温度、演色評価数などを下の表にまとめましたので、参考にしてください。


色評価を行なう場合、演色AAA・昼白色タイプ(上の表の赤色部分)を推奨。印刷学会では演色評価数を95以上と定めています。最低でも3波長型の昼白色タイプ(上の表の青色部分)を導入すると良いと思います。

社団法人 日本印刷産業機械工業会(http://www.jpma-net.or.jp/)は平成18年5月に「印刷産業用液晶カラーモニタ標準化作業報告書」を発表し、WebサイトでPDF書類を公開しています。印刷用途で液晶モニターを使う場合の環境光、モニターなどの条件について非常に細かくまとめられたガイドラインですので、参照してみてはいかがでしょうか?


ISO規格はCRTモニターを前提としたもので、液晶モニターにおける明確な基準はまだありませんが、印刷産業カラーモニタースペック検討委員会によるガイドライン(表の右端)では、ISO3664のP2条件が推奨されています。
追記 その後、液晶モニターによるソフトプルーフの基準としてISO12646 : 2008 が策定されていたことが分かりました。ISO12646 : 2008の内容についてはQ7をお読みください。 2009.07.03


日本印刷産業機械工業会のWebサイト

写真:小島勉

小島勉 Tsutomu Kojima

株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ所属。インクジェットによるアートプリント制作(プリマグラフィ)のチーフディレクター。1987年、旧・株式会社トッパンプロセスGA部入社。サイテックス社の画像処理システムを使った商業印刷物をメインとしたレタッチに従事。1998年よりインクジェットによるアート製作(プリマグラフィ)を担当し現在に至る。イラスト、写真、CGなど、様々なジャンルのアート表現に携わっている。

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