2022年08月15日
何もない宇宙の始まり
創造主ゼウスのように
光を操って宇宙を 創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界 楽しい夢
2020年に事務所を設立。現在、広告フォトグラファーとして活躍している松井友輝さん。学生の頃、東京写真研究倶楽部(ゼウスクラブの前身)によく来ていた。今日は久々に彼を呼んで、オーデトワレのボトルをテーマに「プロ技」対決。松井さんは高井スタジオに機材一式を持ち込んで、複雑な多灯ライティング。ゼウス高井はアクリル水槽に水を張ってボトルを置く。赤と青、動と静のコントラスト。
松井友輝 matsuiyuki.com
1996年生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、博報堂プロダクツ入社。現在はフリーに転向し、広告撮影を中心に活動中。
霧雨の中のラブストーリー
うっ なんだこれ クソ重い
なんと まるで ちいさな引越し
黒いセンチュリー 5本 ブロンカラー一体型ストロボ 5灯
ジナーP3に パソコン2台
よくこんなの タクシーに詰め込めるな? 移動は 筋トレだな
松井くんが 写真倶楽部に 連れて来られて もう 6年ぐらいか
学生の時から ブロン 買って 毎日 訓練撮影してたみたいだな
卒業して 博報堂プロダクツで働き その後 フリーで活動
もう スチルライフ ポートレイト
仕事案件が しっかり 動いてるみたい
きょうは 香水
それにつけても 立派すぎる機材だ
気楽に遊べよって 言ったんだけどなぁ
スタジオのライトも追加して
メインライト3灯 後ろから2灯
霧吹きで作るミストに1灯 花に1灯か
よく コントロールできるな
セットアップした後に
クライアントの要望に 応えるために
完成後の 先を見越したライティング方法
考え方が 柔軟だ
香水の中身のグラデーションを 演出するため
銀紙レフの代わりに 空中でミストを作るらしい
これは 見ものだ
PS:撮影後の片付けも終わり 大きな荷物 いっぱい
タクシーに運び込んだ その時 白い美しい姿が スッ と
助手席に飛び込んだ ん? AQUA だ
霧雨の中のラブストーリー 爽やかに 風のよう
いいね 楽しい 写真生活
Ph.1
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Photo:松井友輝
Ph.1のセット
ライト:❶❷❸❻❼broncolor siros 400ws+L40 standard reflector ❹broncolor Picolite+Picobox ❺broncolor Striplite 60 Evolution ❽broncolor Pulso G Head+P70 standard reflector/カメラ:Sinar P3+PhaseOne IQ250/レンズ:Sinar Sinaron Digital Macro 120mm F5.6/1/125秒 f16 ISO100
球状のボトルキャップになめらかなハイライトを入れるため、薄手の乳白アクリル板で商品全体を覆ったセット。透過光用撮影台には透明アクリルと乳白アクリルを重ね、下からライトを入れている。
ライティングの組み立て
ライト❶❷❸。乳白アクリル越しのトップライト。ライトにはアートレとアンバーフィルターを貼っている。
ライト❹❺でボトルのエッジにハイライトラインを作る。ライトにはアートレとアンバーフィルターを貼っている。
撮影台の下からブルーフィルターをかけたライト❻。ボトル内部が明るくなると同時に、被写体上の乳白アクリルに反射して、ボトルに青のハイライトが入る。さらにグリッドをつけたライト❼を手前の花にあてる。
オレンジのフィルターをかけた❽を背後から入れる。ライトのセッティングはこれで完成だが、商品背後に霧を吹くと、その水滴がライトの光を拡散にして、ボトル内部を明るくするレフの役割をする。
霧吹きを使ったパフュームの演出。ミストに反射した光がボトル内部に輝きを入れる。
水の寓話 水が語る物語
そんな名前の オーデトワレ
AQUA ALLEGORIA
水の寓話 水が語る物語 そんな名前の オーデトワレ
パルファンParfum
オーデパルファン Eau de Parfum
オーデトワレ Eau de Toilette
オーデコロン Eau de Cologne
エタノール濃度が高く 高額な パルファンは
フランス語で まさに 香水
Eau de とは 水の という意味 まぁ 水で薄めたってとこね
オーデコロンは ケルンの水
ドイツの都市 ケルンで イタリア人調香師が 1709年に製造
世界最古の 香水らしいね これが 語源ね
Toilette とは 化粧 という意味
Eau de Toiletteは 化粧水 って とこかな
商品撮影は 知識力 大事
香りを 感知する嗅覚は 他の感覚とは 異なり
脳に ダイレクト そのため 記憶と 香りは かなり 密接な関係
写真は ダイレクトに こないんだな
瞬間で 知覚に キャッチするけど 感覚は 動物的でない
知覚のフィルターを 通す
過去の 知覚の記憶をね
感覚と知性の違いだな
文字を 読ませるほどでないけど 知性が 記憶を辿る
匂いは 本能を揺さぶる ダイレクトにね
そうなんだよ あの時の匂い あの時の笑顔
瞬間的に ワープする
ふっ と
喧騒の中 出逢い 夜の散歩 あてもなく ピッタリ 寄り添った
深夜映画 座席シート 朝焼けの 千鳥足帰還
そんな日の ベッドに残る やさしい 残り香
マンダリン バジル 濃密な時間の 記憶
揺れ動く 水のよう 白い雲 ゆったりと ゆめごこち
ここちよい匂いに よみがえる
香りは 濃密な秘密 ちいさな虹も しあわせの 夢
密月の関係
Ph.2
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Ph.2のセット
ライト:❶❷ broncolor Boxlite 40/❷❸broncolor Pulso G Head+standard reflector P70/❹broncolor Pulso Spot 4+Optical snoot
カメラ:Canon EOS 5D Mark II/レンズ:EF50mm F2.5 コンパクトマクロ/1/100秒 f13 ISO100
ライティングの組み立て
左右のボックスライト❶❷で商品を描写。
トップライト❸。水面に模様を作り、水面に反射した光がボトル内部を明るくする。
セット全体を覆う乳白アクリル板Aには、波型に切ったフィルターが貼ってある。
水槽下からのフットライト❹を入れる。❸と❹の光量のバランスで背景の明るさ、濃さを調整する。
アクリル水槽は底も透明。水槽の下に5mmほどのスペーサーを入れて、上から順に、透明ブルーのアクリル板、乳白アクリル板、ガラス板の順に重ね、下からライトを入れると、水面が青くなる。
フロントライト❶❷と背景用ライト❸❹を合わせた状態。
アクセントとして虹色フィルターを仕込んだスポットライト❺を、手前の乳白アクリル板Bの下面にあてる。アクリル板に反射した虹を銀のボトルキャップ上と商品の肩の部分に映り込ませた。水面に波を立てると、模様が滲み、自然な感じに仕上がる。
高井哲朗 たかい・てつろう
1978年 フリーとして活動開始。1986年高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
※この記事はコマーシャル・フォト2022年8月号から転載しています。
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- リアルなディテール表現と多重露光のリアリティー表現
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- グラスと水とライトだけで「酔える」オリジナルカクテル
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