2023年01月16日
何もない宇宙の始まり
創造主ゼウスのように
光を操って宇宙を 創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界 楽しい夢
大阪芸大写真学科2年の立松侑也君。月に1度は大阪から深夜バスに乗って、東京のゼウスクラブに遊びに来ている。今日は彼のルアーコレクションを題材した撮影。ライトを細かくコントロールして、ルアーのディテールを描写していく立松君に対し、ゼウス高井はブロンカラーストロボの遅延発光機能を使った「ワンシャッター多重露光」。リアルを越えたリアリティーで大物を狙う。さて釣果はいかに。
現物をリアルに、そこから出発だ
ゆうや が 大阪から 深夜バスで 来た
“大変だったんですよ 前 後ろ 大阪弁
考えなしの スカタンで 大阪ノリのおふざけ
寝れなかったです”
なんて 言いながら おみやげ ゼウスへの 貢ぎ物
持ってきてくれたものは フルーツセット
甘い貢ぎ物 ばっかりで 困っていたところだったから
気を利かせたね いい奴だ
最初会った時は 銀髪の イケイケ
チャラい奴 だと 思ってたが
育ちがいいのか しっかりしてる
インスタの写真 見ると ずいぶん スッキリと
動物の写真 撮ってるし
ポートレイトの 写真みたいに
シャープな 切り取り クール だ
きょうは ルアーに 挑戦だ
キラキラものが いろいろある 針も 引っかかる
どう撮るんだろう
映り込み 考えながら シャープに 黒バックでやるのか
部分 部分に 光 加えていくのか
さて どうなるか?
説明的表現
それが 最初の基本撮影だね
現物を リアルに そこから 出発だ
ライト:❶❹ broncolor Pulso G Head+Standard Reflector P70+Honeycomb Grid/❷broncolor Pulso G Head+Conical Snoot/❸broncolor Striplite 60 Evolution
カメラ:Phaseone 645DF/レンズ:Mamiya sekor AF 120mm f4 D マクロ 1/125秒 f22 ISO50
右斜め上からディフューズ越しのライト❶でベースとなるルアー中心部を描写。
スヌート❷でルアー下に光を入れ、背後からのボックスライト❸で、背の部分にハイライトを入れる。
ライト❹は直接被写体に向けずに、周囲に広がる光だけでルアー先端部と針にハイライトを入れて完成。
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写真に時間軸を入れるリアリティ
独立したとき 写真を ライスワークにしようと あちこち 営業に行った
そのとき リアルな写真を撮っているだけだと
もうすでに 職業として 写真を撮ってる人たちから
撮影仕事を奪いとるのは 難しい と 感じた
専門職 数々の 経験 信用されてる
こちらは 実績 何もない リアルは 時間かかる
そこで考えた
リアリティー これは まだ 未知の領域
写真は 現物がないと 撮れない
でも 現物を 普通に撮ったら リアル だけだ
写真の領域を 広げる リアリティーの研究 してみた
ちゃんとした形 と 曖昧な形
写ってしまう色 と 自分が感じた色
瞬間の切り取り と 時間軸を入れる多重露光
今回は その時間軸の実験
ブロンカラーのジェネレーターに 遅延発光機能 が ある
1回のシャッターで 多重露光が できそうだ
0.01秒から セットできる
空中 接地 水中 これを 1枚で撮る
ルアーが 飛ぶ 跳ねる 泳ぐ
タイミング 色 光の方向性 ズレ
人間の目は 機械ではない 一瞬は 見えない
頭で確認視 するからだ
一瞬で 凍りついた写真
それは とても美しいけど 別世界 瞬間時間の体験
時間軸で ずれ込んでいく写真
人間の眼には それの方が
あぁ そんな感じ と リアリティー 感じるんじゃない?
なんて 実験だね
写実主義から 印象表現に 拡張していく
それも 写真を感じさせる表現
ゼウス 頭で リアルを感じる
時間を泳ぐ リアリティー
無意識に 心揺さぶるもの
実験は まだ これから先に
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ジェネレーターの遅延発光機能で各ライトの発光タイミングをずらしたワンシャッター多重露光。上の作例は多重露光による3つの像と、下から水面に映り込んだ鏡像、計4つの像をワンシャッターで写している。下の作例は背景ライトをOFFにして科学実験写真のように仕上げた。
ジェネレーター3台を使い(ジェネ1〜3)、遅延発光機能で発光タイミングをずらして撮影。
【ジェネ1】ライト❶❷:発光遅延0秒
【ジェネ2】ライト❸❹:発光遅延0.03秒
【ジェネ3】ライト❺:発光遅延0.09秒
シャッター速度は1/8秒に設定。遅延時間の間隔はルアーを水槽に落とした時の動き方(沈み方)に合わせて設定。
ライト:❶❹ broncolor Pulso G Head+Standard Reflector P70+Honeycomb Grid/❷broncolor Pulso G Head+Conical Snoot/❸broncolor Striplite 60 Evolution カメラ:Phaseone 645DF/レンズ:Mamiya sekor AF 120mm f4 D マクロ 1/125秒 f22 ISO50
ライティングの組み立て
上からのスヌートスポット❶と右前方からライト❷。【ジェネ1】に接続してシャッターと同時に発光。なお画面上の鏡像のルアーは、水面への映り込み。
前方からのライト❸と背景ライト❹。背景ライト❹は乳白アクリルにバウンスさせ、ブルーのアクリボードの色がわずかに感じられる程度の弱い光に調整。ライトはシャッターから0.03秒後発光する【ジェネ2】に接続。
下からのライト❺。シャッターから0.09秒後に発光する【ジェネ3】に接続。
【ジェネ1〜3】に接続した各ストロボがコンマ1秒内で順次発光。1/8秒のシャッターの間に、このルアーのように動く被写体では3つの像が多重露光される。
ジェネレーターの遅延発光機能の設定。
水槽の下には青、緑、黄、赤のフィルターを並べて敷き、下からの透過光を入れる。
水槽下からの透過光ライト。バーンドアの開きで横長の照射範囲を作っている。
水槽への映り込みを防ぐためにカメラ、三脚の前には黒いボードをセット。レンズは黒ボードに開けた穴から覗かせている。
高井哲朗 たかい・てつろう
1978年 フリーとして活動開始。1986年高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
※この記事はコマーシャル・フォト2023年1月号から転載しています。
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