2023年07月03日
スタジオスチルライフ撮影の
アイデアと 愉しみを 伝授
創造主ゼウスのように
光を操って 宇宙を創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界
四谷にある「スタジオD21」でスタジオスタッフの木内優稀さんと自転車の撮影。連載初の白ホリスタジオ。「スタジオD21」勤務4年目の木内さんは白ホリのメリットを存分に活かしたプロダクトカット。ゼウス高井は新型LEDライトを使ったアートイメージに挑戦する。
撮影協力:スタジオD21(studiod21.co.jp)
自転車は綺麗にディテール出すのが難しいけど
スタジオD21の中田さんから 電話があった
“ゼウスクラブ やるんだったら
うちのスタジオ 使っていいよ” ってね
タイミング いいなぁ
次は 自転車 撮ろうと思っていたけど
ゼウスのスタジオだと ちょっと狭くて
“それならD21の スタジオスタッフに
撮影してもらうのもいいな” って ことで
スタジオのライトを知り尽くしている
ベテランスタッフの 木内くんと 撮影することになりました
さすがだね 木内くん スタジオD21に 4年か
モデル撮影でよくやる バック飛ばし
白ホリに反射した光を レフで受けて 全体に回す
光量 足りない時は ストロボのパワー 調整
天面に白ボード 天バンして ハイライト入れるんだ
スタジオの光の回し方 知り尽くしてるね
自転車 縦置きにするのは ライト調整 やりやすいからだね
カタログ的写真のお手本
綺麗に 光を回すこと 基本的なライト設計 完璧
Photo:木内優稀
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セッティング
白ホリ背景に自転車を置きカポックで囲ったセット。自転車周囲のカポックは白面を内側に向け、カメラ両サイドのカポックは黒面でスタジオの写り込みをカット。
自転車はハンドル部分をセンチュリースタンドで固定。縦位置で撮影して横位置写真に仕上げる。ハンドル部分は別撮りカットを合成して、固定の仕掛けを消す。
ライト:❶〜❹ Photona Hero Head
カメラ:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF24-70mm F2.8L II USM 1/125秒 f11 ISO100
ライティングの組み立て
左右両サイドから背景用ライト(バック飛ばし用ライト)❶❷をトレペ越しに打つ。ライト❶は上から下に向けて、❷は下から上に向けて、背景全体を均等に明るくする。セット全体を白で囲っているため、ホリにバウンスした光が自転車前面にも回ってくる。
自転車の上に渡したバウンスボードに向けてライト❸を打つ。いわゆる天井バウンス(天バン)のライティング。
ライト❹は白ホリの床に向けて打ち、床からの反射で後輪部分を中心に明るくする。
同じライティングで、自転車を手で支えてハンドル部分の合成用カットを撮影。Ph.03とPh.04を合成して、背景の明るさ、床の影などをレタッチして完成。
星空サイクリング
自転車に 乗ったのって いつ頃だったっけ
小学生3、4年生の頃か?
子供自転車 買ってもらえなくて
大人の自転車で 三角乗り やっていたんだ
いま 考えてみると まるで 曲芸してるような
不思議な 乗り方で よくまぁ 乗れたもんだと
高校になったら ドロップハンドルが
すごくカッコよく見えたので 親に頼んで買ってもらった
あの頃は 自転車 乗ること とっても好きで
岐阜から 伊豆半島 長野と
自転車旅行 なんてのも やったもんだ
山道を 登る 峠を越え 谷に降り
いくつかの 山を越えたころ
遠く 先のほうに ドーン と 大きな 海原がみえた
丘の上から 光る海への道は
キラキラと 輝いて いまでも 記憶に残る
風を切って ヒューン 心地よく 気持ちが 沸き立つ
天気のいい 夏の初めは 毎日 どこかに
自転車で お出かけだった
その時の気分で 近くから 遠くまで
好きなように 自分の足で 進める
雨の日は つらいけど 晴れた日に 乗るときは
青や緑 赤や黄 通り過ぎていく景色 素晴らしい世界だった
沸き立つ 浮遊感 そんなこと 考えて
自転車を 浮かせてみた 太い テグスでね
車輪を 回す カメラを ブラす
ストロボ発光 ズラす LEDライトを 振り回す
キラキラの めくるめく 高揚感と
ボワんとした 浮遊感
記憶の記録を 一発の シャッターで 切り「撮」ってみた
記憶は いつまでも 心 浮き立つ 美しい 花色の世界
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Photo:高井哲朗
セッティング
スタジオの電動スカイフレームにバトンを渡し、極太ナイロンテグスで自転車を吊る。テグスがライトの光を反射して、漫画の効果線のように自転車の疾走感を出すのが狙い。
後輪を上に吊して撮影するが、仕上がりは写真を180度回転。前輪を上にして、空に向け駆け上がるようなイメージを作る。
ライト:❶ broncolor Striplite 120 Evolution ❷❸ broncolor Pulso G Head+Standard Reflector P70 ❹❺Aputure amaran PT 4c
カメラ:Canon EOS R6/レンズ:EF24-105mm F4L IS USM(マウントアダプター使用)/1/4秒 f8 ISO100
ライティングの組み立て
ライト❶。ストロボ。低い位置からの横長ボックスライトで前輪を描写。
ライト❷。左サイドからブルーのフィルターをかけたストロボ。やや下向きに打ち、床面にも青いグラデ−ションを作る。
ライト❸。右サイドからグリーンのフィルターをかけたストロボ。
ライト❶と同じ方向からLEDライト❹。LEDは設定でレンボーカラーに発光させ、前輪フレームにカラフルな色を入れる。
自転車の右サイドにLEDライト❺をあてて、サドル、フレーム、自転車を吊ったナイロンテグスに色を入れて、ライティング完成。
ライト❶❷❸を0.09秒間隔で発光するように設定。シャッター速度1/4秒で、カメラを動かしてブレを作る。
スタジオD21代表、中田さんが車輪の回転係を買って出てくれた。1/4秒の長時間露光で撮影。3灯のストロボは、遅延発光機能で発光タイミングをコンマ数秒ずらし、右のチューブタイプのLEDは手で持って振り回している。
カメラは手持ちで、シャッターの瞬間、素早く上下させる。遅延発光設定をした3灯のストロボによる3重の像ができ、定常光のLED光はブレて、レインボーカラーの帯を作る。
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アザーカット Photo:高井哲朗
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アザーカット Photo:高井哲朗
高井哲朗 たかい・てつろう
1978年 フリーとして活動開始。1986年高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
※この記事はコマーシャル・フォト2023年7月号から転載しています。
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