レタッチの基本ワザ

第12回 高度なプラグインソフトを活用する

画像処理・解説:大里宗也(VONS pictures)

ここ最近は、高度なレタッチを行なうPhotoshop用プラグインソフトがいくつか発売されている。かつてのプラグインソフトは、アマチュア向けと思われがちなものが多かったが、今回取り上げるものはプロの目から見ても侮れない画像処理が可能になっている。

img_soft_retouch12_01.jpg PHOTO:片岡竜一


HDR画像を加工し、自然画像にはない強さを表現する

HDR(High Dynamic Range)は、段階露出で複数枚の画像を合成したダイナミックレンジの広い画像のこと。画像のハイライト部分を飛ばさず、シャドー部もつぶれていない画像が必要な場合、このHDR画像を作成する。Photoshopでは、3枚以上の露出を変えた画像ファイルを用意し、「32bit HDR」 という機能でHDR画像を作り出すが、1枚の画像からでもHDR画像風のイメージを作り出すことができる「Photomatix Pro」というソフトもある。このソフトではHDR画像の「細部強調」や「トーン圧縮」などが選択でき、調整を行なうパラメータも豊富なので細かな絵作りができる。

ここでは建築物の緻密さをより細かく表現するために3枚の露出を変えた画像から「Photomatix Pro」でHDR画像を作り出し、さらにインパクトを加えるために Photoshopでレタッチを加えてみた。

露出を変えて撮影した素材画像

img_soft_retouch12_02.jpg
2段アンダー露出
img_soft_retouch12_03.jpg
適正露出

img_soft_retouch12_04.jpg
2段オーバー露出

ブラケット[-2、0、+2EV]で撮影。上段右の画像が適正露出だが、上段左の2段アンダーでは、ディテールが暗くつぶれ気味になっている。

上の3枚の画像を使い、「Photomatix Pro」でHDR処理した画像

img_soft_retouch12_05.jpg HDR処理画面
img_soft_retouch12_06.jpg HDR処理にパラメータで調整

「Photomatix Pro」には様々なパラメータが用意されており、調整次第でより強い印象の絵作りが可能。上の画面より下の画面のほうが建築物の立体感がより強調されたのが解るだろうか。

HDR処理した画像をPhotoshopで「モノクロ変換」したレイヤー画像に、描画モード「輝度」を適用

img_soft_retouch12_07.jpg
「Photomatix Pro」でHDR処理した画像。
img_soft_retouch12_08.jpg
左の画像を複製し、「モノクロ変換」を行なう。

img_soft_retouch12_09.jpg モノクロ変換した画像にレイヤー画像で描画モード「輝度」を適用。

Photoshop CS5のHDRトーン

またPhotoshopもCS5になり、HDRトーンという新機能を搭載した。これを使えばPhotomatixと同様に、1枚の画像からでも手軽にHDRイメージを生成できる。Photomatixに比べれば調整できる項目は少ないので、Photomatixユーザーは物足りなく感じるかもしれないが、いわゆるHDRライクな画像はこのHDRトーンでも十分作成可能だ。どのスライダーを調整していいか分からない場合は、あらかじめ用意されたプリセットでイメージを膨らませてみよう。

img_soft_retouch12_22.jpg HDRトーンは色調補正のメニューの中にある。

img_soft_retouch12_23.jpg HDRトーンの調整項目。

img_soft_retouch12_24.jpg プリセットを画像に適用したところ。

合成イメージにクロスプロセスフィルターでひと味加えてみる

レタッチでは人物と背景の合成などは多いが、合成した画像にあと少しアレンジを加えたい、バリエーションを試してみたいという場合にお薦めなのが「Alien Skin Exposure 2」だ。「Cross Processing(クロスプロセス)」は、本来指定のフィルム現像処理とは異なる方法で現像することで独自のイメージを作る銀塩フィルムの手法。このソフトではその手法のシミュレーションが可能で、フィルム銘柄と効果の種類を選ぶだけで、簡単にフィルムライクな表現が得られる。フィルターを切り替えながら大体のイメージした感じが掴めたら微妙な調整がしたくなるはずだ。

そんなときはタブを切り替えてパラメータを調整し、独自のテイストを追求してみよう。

オリジナルの素材と合成イメージ

img_soft_retouch12_10.jpg
img_soft_retouch12_11.jpg
img_soft_retouch12_12.jpg

img_soft_retouch12_13.jpg 上の3枚の画像を合成して右画像を作成。少し味気ないノーマルな印象。

クロスプロセスのシミュレーションフィルターを搭載した「Alien Skin Exposure 2」でイメージを変える

img_soft_retouch12_14.jpg
クロスプロセスだけでも20種類以上のフィルターがあり、それ以外にも さまざまな効果のプリセットが揃っている。
img_soft_retouch12_15.jpg

img_soft_retouch12_16.jpg 今回は「Kodak Royal Gold400,Milder」のプリセットを使用。さらに「Color」 「Tone」のパラメータを微調整して仕上げた。

リアルイラストレーション風やビューティーフォト調を瞬時に作る

すでに海外のデジタルフォトグラフア−には定評のある「Topaz Adjust」というプラグインソフトがある。このソフトでは、写真をドラマチックに演出したり、イラストタッチに仕上げたい場合に良い効果が得られる。

プリセットメニューが多彩で、パラメータのスライダを動かすだけで幅広い表現が可能。

下の作例1 でもプリセット一発で劇的に変化させてから、プレビュー画像を見ながらスライダを直感的に動かし欲しいイメージに近づけていった。

またWebサイトへの掲載など、比較的解像度の低い画像や拡大して使わない場合の肌のレタッチには、時間をかけず素早く効果が得られるので便利だろう。

オリジナルイメージ

img_soft_retouch12_17.jpg

「Topaz adjust」の画面

img_soft_retouch12_18.jpg 画面左に並んだプリセットを選びながらイメージに近い効果を探す。プリセットで大まかなイメージを選んだら、画面下のパラメータのスライダを動かしてさらに微調整。

img_soft_retouch12_19.jpg

「Topaz adjust」による作例01

img_soft_retouch12_20.jpg
「Psychedelic」のプリセットを使用。「Details」や 「Color」のパラメータを微調整してイラスト風に仕上げた。

「Topaz adjust」による作例02

img_soft_retouch12_21.jpg
「Details」の「Boost」スライダをマイナス方向に動かすと肌がスムーズになるが、目や唇、アゴのラインなどのシャープに残したい部分はボケない。

冒頭でも述べた通り、最近のPhotoshop用プラグインソフトはかなり高度な画像処理が可能になっている。今回紹介したものはその一部だが、プラグインとPhotoshopとの連携はフォトレタッチの表現力をさらに高めていく可能性を秘めていると思う。数多あるプラグインソフトの中から自分に合った製品を探し出すのも、Photoshopを使う楽しみの一つではないだろうか。


大里宗也 Souya Ohsato

熊本工業大学附属情報技術専門学校メディアデザイン学科卒。2000年より株式会社VONSpictures所属。チーフCGデザイナー。http://www.vons.co.jp

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