2015年01月15日
2014年11月19日〜21日に開催された国際放送機器展 Inter BEE 2014のために来日したサイモン・ウォーカー氏に、Adobe Premiere Proでのカラーグレーディングについて話を聞いた。
カラーグレーディングとは色でストーリーを語ること
カラーグレーディングとは、写真で言うとすれば、Photoshopで色彩や階調を調整する作業に相当するが、映像の世界では高価なカラーグレーディング専用ツールがいくつもあって、難しそうな印象がある。しかし中には、映像の専門家でなくても使えるツールもある。Adobe Premiere Proのプラグイン「Magic Bullet Looks」がそれだ。
このツールに精通するのが英国出身のカラリスト、サイモン・ウォーカー氏だ。11月のInter BEE 2014のために来日したウォーカー氏に、Premiere Proでのカラーグレーディングについて話を聞いた。
アドビ - インテル共同出展のブースでカラーグレーディングのセミナーを行なうウォーカー氏(右)。
「カラーグレーディングで重要なのは、色を変えるだけでストーリーまで変えられるということです。カラーグレーディングには大きく分けると2種類あって、1つは技術的な問題を解決するもの。たとえば朝と午後では光の色が違いますが、ハイライトの色を調整することで、あたかも同じ時間帯に撮ったかのように見せることができます。
もう一つはストーリーテリングのために適用する場合で、色で感情を表現することができます。女性をアップで捉えた映像に黄色やピンクを加えると、恋人を待っているかのようなロマンティックでポジティブな感情を表現できます。逆にピンクを青に変えたり、コントラストを強くしたりすると、待っている人が来ないという不安な感情に変わります」。
Magic Bullet Looksにはハイライト、シャドウ、ミッドトーンの3つのカラーホイールで調整する基本的な機能のほかに、1クリックで元素材を様々な色調に調整できる100種類以上のプリセットがあったり、肌の範囲だけを検出して質感を調整できるツールなど、様々な機能が備わっているという。
「このプラグインのいいところは、Premiereで使えるところです。編集作業と並行してカラーグレーディングを行なえるので、ポスプロにかける時間がなくてもストーリーに集中できます。いわばクリエイティブと効率を両立できるわけです。
開発元のRed Giant社はアドビのパートナーでもあるので、Premiereのマスクにネイティブにアクセスすることが可能です。Premiereのタイムライン上で、カラーグレーディングができるのはとても楽しいことだと思います」。
サイモン・ウォーカー氏によると、Premiere Proは映像編集のスキルを学びやすいソフトだという。合成などを伴わない映像制作であれば、Premiere ProとMagic Bullet Looksの使い方さえマスターすれば、編集からカラーグレーディングまでをカバーできるので、本格的に映像制作に取り組もうと考えているフォトグラファーにもオススメのツールだ。
サイモン・ウォーカー氏
イギリス出身のカラリスト/映像クリエイター。映像業界において18年以上のキャリアを持ち、現在はAdobe Premiere Pro認定トレーナー、アップル Final Cut Pro 認定トレーナー、ICA(International Colorist Academy)の講師などとして活躍している。サードパーティのプラグインソフト「Magic Bullet Looks」を使い、Premiere Proで映像作品を作成する方法を伝授している。
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