黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit 09

骨白アクリルの背景で影に色をつける

通常、乳白アクリルを撮影台にして下からライトを入れる撮影では、
台(乳白アクリル)自体が透過光で明るくなり、台に置いた被写体の影は出ません。
ここでは「骨白アクリル」を使い、被写体のシャープな影を作り、

さらにその影に色をのせる方法を紹介します。
下からの光で色をつけているため、被写体(商品)の色味には影響しません。
シャープな影で日差し感を出しつつ、影自体に色のグラデーションを作った作例。
少し昔の4×5フィルム撮影の写真。
今ならPhotoshopで影に色をつけることも簡単だが、「骨白アクリル」でも
強い光をあてると透過するということに気づけば、さまざまな撮影に応用できる。

ガラス板と骨白アクリル板を重ねた二階建てのセット。骨白アクリル板には商品を置き、
ガラス板の上には短冊状のカラーフィルターを置く。

ベアバルブ状態のライト❶で商品のシャープな影を作る。

ライト❷で商品内部を明るくするが、ライト❶で作った影を消さないように注意する。
グリッドを使い床面(骨白アクリル面)にあたらないようにするのもよい。

ライト❸で下から強い光を入れると骨白アクリルでも光を透過するので、
影に下のフィルターの色がのってくる。
フィルターの色、位置を調整して、影の中に色のグラデーションを作る。

ガラス板の上に置いた短冊状のカラーフィルターはサンプル帳から外して使用。
色のバリエーションが多いので、1冊あると便利。

*乳白アクリルと骨白アクリルの違い。

光をある程度透過し、ディフューザーなどで使用される白いアクリル板の
正式名は「乳半アクリル(乳白半透明アクリル)」だが、
撮影現場では慣例的に「乳白アクリル」と呼ばれることが多い
(記事中でも「乳白アクリル」と表記)。
一方、半透明ではない白い素材は「骨白アクリル」で、光の透過が少ない。





黒川隆広
くろかわ・たかひろ/amanaにて、30年間、商品撮影を中心に活動。2016年退社後、アライアンス社員として連携。現在は大手ECサイト商品撮影講座講師、写真の学校特別講師他、セミナー、イベントなどで写真の学びの場を提供。プロからアマチュアまで、また企業から個人向けまで、プライベートレッスンも受け付けています。
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黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit バックナンバー 一覧

01 ワインボトル撮影のポイントとアイデア

02 スプラッシュの合成用素材は水に墨を混ぜる

03 缶を水に落とす時の隠し技

04 円形のカラーサンプル撮影方法/同じ形の「こぼれカット」を撮る

05 ハーフミラーによる反射物の平面撮影

06 ペーパーを丸めて背景を暗くおとす

07 ハイライトの「後のせ」合成

08 撮影素材からハイライトを拾い合成する

09 骨白アクリルの背景で影に色をつける

10 ライティングが上達するコツはモノクロで確認すること/写真を見るときの背景色に注意

11 黒バックで商品を浮かせて撮る時のポイント

12 クリップを使い、小さな被写体を斜めにセットする/耐震マットで小物を吊して撮影

13 指輪の背景にシルバーマットを使う/ビーズクッションを背景として利用

14 スープの具材を液面に並べる/被写体を傾け真俯瞰のアングルをつくる

15 テーブル面に映る壁の白かぶりを抑える

16 鏡面の被写体は シルバーペーパーを床背景に使う

17 「注ぎカット」は撮影時の傾きで印象を変える

18 スケールダウンした 風景を 被写体に映し込む

19 ライティングで浮遊感を出すアイデア

コマーシャル・フォト 2025年5月号

【特集①】
「ソニーα1 II×映画『SUNA』スチル&ムービーシューティング」


2025年5月公開を控える加藤シゲアキ監督映画「SUNA」。スチル・ムービーの撮影に使用されたソニーα1 IIの高画素、高感度耐性、AF性能を遺憾なく発揮した現場からレポート。(撮影:末長 真)
W主演を務める加藤シゲアキ・正門良規(A ぇ! group)がカバー&巻頭を飾る。

【特集②】
「フォトグラファーを目指す人のためのQ&A特集」


プロフォトグラファーがフォトグラファーを目指す人の素朴な疑問に答えます。撮影機材、仕事方法、ライフスタイルなどプロへの道を解説!

回答者:小暮和音/瀧本幹也/長山一樹/南雲暁彦/吉田明広/李 有珍

【連載】
長山一樹流 違いを生むコマーシャル・ポートレイト
「 ポートレイトisブラックアンドホワイト」
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Vol.9 「風景写真」 金村美玖

ほか