黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit 17

「注ぎカット」は
撮影時の傾きで印象を変える

ワインをグラスに注ぐカット。
グラスを斜めにセットしてワインを注ぐと、注ぎやすく、

液面にも動きが出て目を引く写真になります。
撮影の際にはカメラも斜めにセットしています。

レードルからスープを注ぐカットの撮影でも、カメラの位置を水平ではなく、

やや高いアングルで撮影すると、
レードルにスープがたっぷりと入っているように見えます。

広告の商品撮影の演出では、こうした角度とアングルの工夫が大切です。

ワイングラスの注ぎカットはグラスとカメラを斜めにする

グラスを垂直に立ててワインを注ぐと、写真のように液面の動きが少ない。
グラスを斜めにして注ぐと、液体の大きな動きを作りやすい。
グラスを斜めセット、カメラも斜めにして撮影。

ボトルの中身を半分にすることでボトルの傾きを調整。
赤ワインは色が濃いので、水で半分ほどの濃さに薄めて、ワインの色を表現。

注ぐ勢いと角度でも表情は変わるが、
グラスを斜めにセットすることで、表現が良いカットの確率が高まる。



レードルの注ぎカットはアングルを少し高くする

カメラと水平のアングル。
やや高めのアングル。

レードルからスープなどを注ぐカット。
カメラアングルを水平のまま、レードルを傾けてしまうと、
スープはレードルからこぼれてしまう。

カメラ位置を少し高くすると、
レードルの傾きはそのままで中の液体を多く見せることができる。

カメラのアングルを変える工夫だけで表現が変わる。











黒川隆広
くろかわ・たかひろ/amanaにて、30年間、商品撮影を中心に活動。2016年退社後、アライアンス社員として連携。現在は大手ECサイト商品撮影講座講師、写真の学校特別講師他、セミナー、イベントなどで写真の学びの場を提供。プロからアマチュアまで、また企業から個人向けまで、プライベートレッスンも受け付けています。
kuro1868@icloud.com
LINE ID:kuro390714


黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit バックナンバー 一覧

01 ワインボトル撮影のポイントとアイデア

02 スプラッシュの合成用素材は水に墨を混ぜる

03 缶を水に落とす時の隠し技

04 円形のカラーサンプル撮影方法/同じ形の「こぼれカット」を撮る

05 ハーフミラーによる反射物の平面撮影

06 ペーパーを丸めて背景を暗くおとす

07 ハイライトの「後のせ」合成

08 撮影素材からハイライトを拾い合成する

09 骨白アクリルの背景で影に色をつける

10 ライティングが上達するコツはモノクロで確認すること/写真を見るときの背景色に注意

11 黒バックで商品を浮かせて撮る時のポイント

12 クリップを使い、小さな被写体を斜めにセットする/耐震マットで小物を吊して撮影

13 指輪の背景にシルバーマットを使う/ビーズクッションを背景として利用

14 スープの具材を液面に並べる/被写体を傾け真俯瞰のアングルをつくる

15 テーブル面に映る壁の白かぶりを抑える

16 鏡面の被写体は シルバーペーパーを床背景に使う

17 「注ぎカット」は撮影時の傾きで印象を変える

18 スケールダウンした 風景を 被写体に映し込む

19 ライティングで浮遊感を出すアイデア

コマーシャル・フォト2024年8月号

【特集】視点を変える。記憶に残す。「ブツ撮り2.0」
「ブツ撮り」には2種類ある。ひとつは誰がどう見てもその被写体だとわかるもの。被写体に正面― あるいはその被写体がもっとも美しいとされる位置―から捉え、被写体の質感や色を正しく写す撮影。そしてもうひとつは、視点を変えて、被写体に新しい価値を見出すもの。今回は後者の「ブツ撮り」を特集。見慣れた物の見方を変えて、静物に新しい命を吹き込む6名のフォトグラファーのアイデアの源泉を探るため、誰もが1日に一度は目にする「ティッシュ」という同一テーマを撮り下ろしてもらい、被写体との向き合い方、こと〞ブツ撮り〝への考え方について聞いた。
泊 昭雄/Kaz Arahama/水野谷維城/瀧本幹也/望月 孝/李 有珍

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