【「注ぎカット」は
ワインをグラスに注ぐカット。
撮影時の傾きで印象を変える】
グラスを斜めにセットしてワインを注ぐと、注ぎやすく、
液面にも動きが出て目を引く写真になります。
撮影の際にはカメラも斜めにセットしています。
レードルからスープを注ぐカットの撮影でも、カメラの位置を水平ではなく、
やや高いアングルで撮影すると、
レードルにスープがたっぷりと入っているように見えます。
広告の商品撮影の演出では、こうした角度とアングルの工夫が大切です。
ワイングラスの注ぎカットはグラスとカメラを斜めにする



ボトルの中身を半分にすることでボトルの傾きを調整。
赤ワインは色が濃いので、水で半分ほどの濃さに薄めて、ワインの色を表現。
注ぐ勢いと角度でも表情は変わるが、
グラスを斜めにセットすることで、表現が良いカットの確率が高まる。
レードルの注ぎカットはアングルを少し高くする


レードルからスープなどを注ぐカット。
カメラアングルを水平のまま、レードルを傾けてしまうと、
スープはレードルからこぼれてしまう。
カメラ位置を少し高くすると、
レードルの傾きはそのままで中の液体を多く見せることができる。
カメラのアングルを変える工夫だけで表現が変わる。
黒川隆広
くろかわ・たかひろ/amanaにて、30年間、商品撮影を中心に活動。2016年退社後、アライアンス社員として連携。現在は大手ECサイト商品撮影講座講師、写真の学校特別講師他、セミナー、イベントなどで写真の学びの場を提供。プロからアマチュアまで、また企業から個人向けまで、プライベートレッスンも受け付けています。
kuro1868@icloud.com
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黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit バックナンバー 一覧
04 円形のカラーサンプル撮影方法/同じ形の「こぼれカット」を撮る
10 ライティングが上達するコツはモノクロで確認すること/写真を見るときの背景色に注意
12 クリップを使い、小さな被写体を斜めにセットする/耐震マットで小物を吊して撮影
13 指輪の背景にシルバーマットを使う/ビーズクッションを背景として利用
14 スープの具材を液面に並べる/被写体を傾け真俯瞰のアングルをつくる

コマーシャル・フォト 2025年7月号
【特集】レタッチ表現の探求
写真を美しく仕上げるために欠かせない「レタッチ」。それはビジュアルを整えるだけでなく、一発撮りでは表現しきれないクリエイティブな可能性を引き出す工程でもある。本特集では、博報堂プロダクツ REMBRANDT、フォートンのレタッチャーがビジュアルの企画から参加し、フォトグラファーと共に「ビューティ」「ポートレイト」「スチルライフ」「シズル」の4テーマで作品を制作。撮影から仕上げまでの過程を詳しく紹介する。さらに後半では、フォトグラファーがレタッチを行なうために必要な基本的な考え方とテクニックを、VONS Picturesが実例を通して全18Pで丁寧に解説。レタッチの魅力と可能性を多角的に掘り下げる。
PART1
Beauty 石川清以子 × 亀井麻衣
Portrait 佐藤 翔 × 栗下直樹
Still Life 島村朋子 × 岡田美由紀
Sizzle 辻 徹也 × 羅 浚偉
PART2
フォトグラファーのための人物&プロダクトレタッチ完全実践
講師・解説:VONS Pictures (ヴォンズ・ピクチャーズ)
基礎1 フォトグラファーが知っておくべきレタッチの基本思想
基礎2 レタッチを始める前に必ず押さえておきたいポイント
人物レタッチ実践/プロダクトレタッチ実践
ほか