黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit 13

指輪の背景にシルバーマットを使う

指輪のテープルトップ撮影。
背景と指輪の分離が簡単にできるように、シルバーマット紙を使います。
通常の白いペーパーの背景では、指輪を適正露光で撮ると背景は白くならず、

リングにペーパーの白が均一に映り込み、立体感が表現できないのです。


指輪の背景にシルバーマットを使う

シルバーリングをシルバーマット紙に置いて撮影。

背後とフロントの2灯撮影。背景からのライトで指輪全体と背景(地)を明るくして、
フロントで石(宝石)の明るさを補っている。
反射率の高いシルバーマットペーパーは、同じ光量でも白ペーパーより白く写り、
またシャープな光を反射するため、リング(シルバーの部分)に
明暗のコントラストがついて、立体感が出る。




指輪の立て方と傾き加減

❶リング全体をカメラ側に傾ける
❷リングを回して石をカメラに向ける(この場合、左回転)。

指輪は指輪用ワックスで立てて撮影をしますが、
その際、指輪全体をカメラ側に倒し、
リングを回転して石をカメラ側に向けると、
全体のバランスがよく見えます。

石を真上にすると手前のリングが長く見えてしまう。
また傾向けすぎると手前に転がりそうな写真になってしまう。
バランスよく見える位置を探そう。



ビーズクッションを背景として利用

ビーズクッションも商品イメージの背景に使えます。
クッションに布を被せて、商品を置き俯瞰から撮影。
クッションの膨らみがあるので、布はきれいに被せることができます。
商品の重さで形を作り、周囲にシワをよせるのも簡単です。
大きな洗面器などに綿を盛って、布を被せる方法もあります。
ビーズクッションに布を被せ、日本酒のボトルを置いて撮影。
商品を置いた後、ハイライトの入り方を見ながら布にシワを作る演出を加えている。
洗面器に綿を敷き、オーガンジーの布を被せて、ビンを置いて撮影。






黒川隆広
くろかわ・たかひろ/amanaにて、30年間、商品撮影を中心に活動。2016年退社後、アライアンス社員として連携。現在は大手ECサイト商品撮影講座講師、写真の学校特別講師他、セミナー、イベントなどで写真の学びの場を提供。プロからアマチュアまで、また企業から個人向けまで、プライベートレッスンも受け付けています。
kuro1868@icloud.com
LINE ID:kuro390714


黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit バックナンバー 一覧

01 ワインボトル撮影のポイントとアイデア

02 スプラッシュの合成用素材は水に墨を混ぜる

03 缶を水に落とす時の隠し技

04 円形のカラーサンプル撮影方法/同じ形の「こぼれカット」を撮る

05 ハーフミラーによる反射物の平面撮影

06 ペーパーを丸めて背景を暗くおとす

07 ハイライトの「後のせ」合成

08 撮影素材からハイライトを拾い合成する

09 骨白アクリルの背景で影に色をつける

10 ライティングが上達するコツはモノクロで確認すること/写真を見るときの背景色に注意

11 黒バックで商品を浮かせて撮る時のポイント

12 クリップを使い、小さな被写体を斜めにセットする/耐震マットで小物を吊して撮影

13 指輪の背景にシルバーマットを使う/ビーズクッションを背景として利用

14 スープの具材を液面に並べる/被写体を傾け真俯瞰のアングルをつくる

15 テーブル面に映る壁の白かぶりを抑える

16 鏡面の被写体は シルバーペーパーを床背景に使う

17 「注ぎカット」は撮影時の傾きで印象を変える

18 スケールダウンした 風景を 被写体に映し込む

19 ライティングで浮遊感を出すアイデア

コマーシャル・フォト 2024年10月号

■特集「令和の時代に、フィルムで写真を撮るということ。」
写真家・石田真澄がフィルムを使い、ハウススタジオやフェリー、海辺で自然体の齋藤飛鳥を11Pにわたって撮り下ろした。また、これまで石田が積み重ねてきた仕事の数々から一部を抜粋して紹介する。

また、中森 真、大野隼男、木村和平、竹中祥平、三部正博という5人のフォトグラファーがフィルムを使って撮影した仕事例、作品を紹介。フィルム撮影に関する考え、使用機材やよく利用する現像所などを伺った。

■連載「撮影を楽しむスペシャリストたち」
写真業界には数多くの撮影ジャンルがあり、それぞれの分野で活躍するスペシャリストたちがいる。この連載では、フォトグラファー中野敬久氏が毎回気になるスペシャリストにインタビューを行ない、その分野ならでは魅力や、撮影への向き合い方を聞くことで、“撮影を楽しむ”ためのヒントを探っていく。今回のゲストは新津保建秀氏。

■連載「GLAY CREATIVE COLLECTION 2024- VOL.03」
GLAY 30年間のクリエイティブを網羅した書籍「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」が好評につき連載化!今回紹介するのは9月18日発売の「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 in BELLUNA DOME Blu-ray & DVD」のアートワーク。アートディレクターの吉野晋弥氏、フォトグラファーの岡田祐介・田辺佳子氏に取材した。