【鏡面の被写体は
全体が鏡面の鍋の撮影。
シルバーペーパーを床背景に使う】
周囲の映り込みを防ぐために両サイドに乳白アクリルのディフューザーをセットして、
その間からレンズを出して撮影をします。
床面も鍋に映り込みますが、通常の白ペーパーだと
両サイドのディフューザーの映り込み(ハイライト)よりも、
床面の映り込みが暗くなってしまうため、
反射率が高いシルバーペーパーを使ってハイライトの明るさを揃え、
境界を馴染ませます。
またハイライトをつなげるためには、
左右のディフューザーを撮影台下まで垂らすことも重要です。
シルバーペーパーの場合、ペーパーにも被写体が映り込んでしまうため、
影イキの写真に仕上げる場合、白ペーパーで撮影した影のみを合成します。

シルバーペーパーで撮影後、鍋部分を切り抜き、白ペーパーで撮影した影と合成。

❺は背景を飛ばすためのライトアクリルボードの後ろから。
❻は斜め上より、柄の部分のハイライト用。
ポイント
床背景を反射率の高いシルバーペーパーにして、左右のハイライトと床面の
映り込み(ハイライト)の明るさを、ライト❶❷❸❹の距離と高さを調整。
ハイライトの境界線を馴染ませる。
左右のディフューザーは撮影台下まで垂らす。
撮影台手前を斜めにカットすると、左右のディフューザーの間を
狭くできる(鏡面被写体のセンターに入る黒の幅を狭めることができる)
五條製紙のスペシャリティーズペーパー
五條製紙のスペシャリティーズペーパーは、メタリック、パール調などに
加工をされた特殊紙で、パッケージなどに使われるが、
様々な種類があり撮影でも利用できる。
上の鍋の撮影では明るめのシルバー「No319-1」(12μダルペットシルバー)を使用。
下の時計の作例は、暗めのシルバー艶ありの「No381」(特殊蒸着PET)を
使用して被写体を映り込ませ、画像編集で背景全体を暗くしている。
五條製紙:https://www.gojo.co.jp/

黒川隆広
くろかわ・たかひろ/amanaにて、30年間、商品撮影を中心に活動。2016年退社後、アライアンス社員として連携。現在は大手ECサイト商品撮影講座講師、写真の学校特別講師他、セミナー、イベントなどで写真の学びの場を提供。プロからアマチュアまで、また企業から個人向けまで、プライベートレッスンも受け付けています。
kuro1868@icloud.com
LINE ID:kuro390714
黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit バックナンバー 一覧
04 円形のカラーサンプル撮影方法/同じ形の「こぼれカット」を撮る
10 ライティングが上達するコツはモノクロで確認すること/写真を見るときの背景色に注意
12 クリップを使い、小さな被写体を斜めにセットする/耐震マットで小物を吊して撮影
13 指輪の背景にシルバーマットを使う/ビーズクッションを背景として利用
14 スープの具材を液面に並べる/被写体を傾け真俯瞰のアングルをつくる

コマーシャル・フォト 2025年7月号
【特集】レタッチ表現の探求
写真を美しく仕上げるために欠かせない「レタッチ」。それはビジュアルを整えるだけでなく、一発撮りでは表現しきれないクリエイティブな可能性を引き出す工程でもある。本特集では、博報堂プロダクツ REMBRANDT、フォートンのレタッチャーがビジュアルの企画から参加し、フォトグラファーと共に「ビューティ」「ポートレイト」「スチルライフ」「シズル」の4テーマで作品を制作。撮影から仕上げまでの過程を詳しく紹介する。さらに後半では、フォトグラファーがレタッチを行なうために必要な基本的な考え方とテクニックを、VONS Picturesが実例を通して全18Pで丁寧に解説。レタッチの魅力と可能性を多角的に掘り下げる。
PART1
Beauty 石川清以子 × 亀井麻衣
Portrait 佐藤 翔 × 栗下直樹
Still Life 島村朋子 × 岡田美由紀
Sizzle 辻 徹也 × 羅 浚偉
PART2
フォトグラファーのための人物&プロダクトレタッチ完全実践
講師・解説:VONS Pictures (ヴォンズ・ピクチャーズ)
基礎1 フォトグラファーが知っておくべきレタッチの基本思想
基礎2 レタッチを始める前に必ず押さえておきたいポイント
人物レタッチ実践/プロダクトレタッチ実践
ほか