黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit 08

撮影素材からハイライトを拾い合成する

被写体と同じ(または近い)素材を撮影して、Photoshopでハイライト部分を拾い、
白黒のハイライト用マスクを作れば、素材本来のツヤ感で瑞々しさを感じさせられる。
また光沢のある黒の塩化ビニール板を変形させてシワを作り、

ハイライト素材として撮影すれば、背景などの素材として使うこともできます。

ファンデーションの撮影。
商品を並べ120cmと60cmのバーライト2灯で撮影した写真。
黒い容器のシャープなハイライトはライティングで入れているが、
ファンデーション面のハイライトは合成で入れた。

左が合成後拡大。右が合成用素材。合成用素材は、ハイライトが拾いやすいように
ファンデーションをかき混ぜたもの。
何パターンか撮影し、実際のライトの方向と合わせて合成。
(かき混ぜていない)ファンデーションの、平らな面にのせても違和感は出ない。


背景に光沢のある布でドレープを作り、
メインの被写体と合わせて一発で撮影するのは大変。
ライティングも複雑になる。また布の目が見えてしまうと、
被写体とのスケール感にも違和感が生じる。

上の作例はゴルフクラブを別撮りして背景と合成したが、
背景はツヤのある黒い塩化ビニール板を撮影して作ったもの。

布のドレープに見えるように塩ビ板を
プラジェット(プラスチック用熱風加工機)で変形(熱湯でも変形可能)。
それをライティングして、ハイライトを拾っている。
後のせのハイライトなので、色やサイズなども自由に変えることができる。





黒川隆広
くろかわ・たかひろ/amanaにて、30年間、商品撮影を中心に活動。2016年退社後、アライアンス社員として連携。現在は大手ECサイト商品撮影講座講師、写真の学校特別講師他、セミナー、イベントなどで写真の学びの場を提供。プロからアマチュアまで、また企業から個人向けまで、プライベートレッスンも受け付けています。
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LINE ID:kuro390714


黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit バックナンバー 一覧

01 ワインボトル撮影のポイントとアイデア

02 スプラッシュの合成用素材は水に墨を混ぜる

03 缶を水に落とす時の隠し技

04 円形のカラーサンプル撮影方法/同じ形の「こぼれカット」を撮る

05 ハーフミラーによる反射物の平面撮影

06 ペーパーを丸めて背景を暗くおとす

07 ハイライトの「後のせ」合成

08 撮影素材からハイライトを拾い合成する

09 骨白アクリルの背景で影に色をつける

10 ライティングが上達するコツはモノクロで確認すること/写真を見るときの背景色に注意

11 黒バックで商品を浮かせて撮る時のポイント

12 クリップを使い、小さな被写体を斜めにセットする/耐震マットで小物を吊して撮影

13 指輪の背景にシルバーマットを使う/ビーズクッションを背景として利用

14 スープの具材を液面に並べる/被写体を傾け真俯瞰のアングルをつくる

15 テーブル面に映る壁の白かぶりを抑える

16 鏡面の被写体は シルバーペーパーを床背景に使う

17 「注ぎカット」は撮影時の傾きで印象を変える

18 スケールダウンした 風景を 被写体に映し込む

19 ライティングで浮遊感を出すアイデア

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【特集】視点を変える。記憶に残す。「ブツ撮り2.0」
「ブツ撮り」には2種類ある。ひとつは誰がどう見てもその被写体だとわかるもの。被写体に正面― あるいはその被写体がもっとも美しいとされる位置―から捉え、被写体の質感や色を正しく写す撮影。そしてもうひとつは、視点を変えて、被写体に新しい価値を見出すもの。今回は後者の「ブツ撮り」を特集。見慣れた物の見方を変えて、静物に新しい命を吹き込む6名のフォトグラファーのアイデアの源泉を探るため、誰もが1日に一度は目にする「ティッシュ」という同一テーマを撮り下ろしてもらい、被写体との向き合い方、こと〞ブツ撮り〝への考え方について聞いた。
泊 昭雄/Kaz Arahama/水野谷維城/瀧本幹也/望月 孝/李 有珍

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