黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit 01

【ワインボトル撮影のポイントとアイデア】

「ガラス瓶の光沢感」「瓶の立体感」「液体の透明感」「前面のラベルの描写」
「色のある瓶、液体の正確な色再現」「切り抜きカットのエッジ表現」などが、
ワインボトルや洋酒などの商品撮影、切り抜きカット撮影のポイントです。
基本的なライティングは3灯。
メインライトはラベルの部分が明るくなるようにトップやや手前から入れます。
サイドからのハイライトは、通常、ボトルの左側に縦長に入れ、光沢感を出します。
背景はアクリルボードをセットして、その後ろからライトを入れ、透過光で瓶の内部を明るくします。




ワインボトルの基本ライティング

トップ、サイド、背景(バックライト)3灯、「白バック」の基本ライティング。
背景を飛ばす場合、ボトルと背景の明るさ比はボトル1:背景2〜2.5(ボトルf11適正の場合、背景f16.5)。

ボトルのレンズ効果により背景が広く写るため、背景の乳白アクリルボードは、横長のものを使用。
片面マットのアクリルを使うと、手前のライトが映り込まない。


被写体のエッジを出すために、黒ボード(黒ケント紙など)で被写体の周囲を囲む。
ラベル下側が暗くなってしまう場合、ボトル手前にレフ板を入れる。
トップライト(メインライト)がサイドライト(ハイライト)の
グラデーションに影響するので黒ボードでカットする。




切り抜き写真の「黒締め」のポイント

背景ライトで被写体のエッジが滲むため、ボトルなどの切り抜き撮影では
商品の形に切り抜いた黒ケント紙などのボードで
余分な光の回り込みをカットして(黒締めして)、エッジを出していく。

黒ボードは真横に入れない

ボードを真横に平面で入れると輪郭のシャドーが太くなる。
上図のように斜めにするとシャドーが細くなる。




黒いボトルの肩のハイライトは後からレタッチで消す方が簡単

この形状の赤ワインのボトルは、 トップからライトを打ちラベルを明るくすると、
肩の部分にハイライトが必ず映り込んでしまう。

左:赤丸部分がトップライトのハイライト。ハイライトをなくそうとすると、
  トップライトがボトルよりも奥に行ってしまい、ラベルを明るくできない。
  レタッチで消す方が簡単。
右:ハイライトを消して完成。作例のように黒ボトルの階調のない部分ならば、
  ハイライトは簡単に消せる。


黒川隆広
くろかわ・たかひろ/amanaにて、30年間、商品撮影を中心に活動。2016年退社後、アライアンス社員として連携。現在は大手ECサイト商品撮影講座講師、写真の学校特別講師他、セミナー、イベントなどで写真の学びの場を提供。プロからアマチュアまで、また企業から個人向けまで、プライベートレッスンも受け付けています。
kuro1868@icloud.com
LINE ID:kuro390714

黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit バックナンバー 一覧

01 ワインボトル撮影のポイントとアイデア

02 スプラッシュの合成用素材は水に墨を混ぜる

03 缶を水に落とす時の隠し技

04 円形のカラーサンプル撮影方法/同じ形の「こぼれカット」を撮る

05 ハーフミラーによる反射物の平面撮影

06 ペーパーを丸めて背景を暗くおとす

07 ハイライトの「後のせ」合成

08 撮影素材からハイライトを拾い合成する

09 骨白アクリルの背景で影に色をつける

10 ライティングが上達するコツはモノクロで確認すること/写真を見るときの背景色に注意

11 黒バックで商品を浮かせて撮る時のポイント

12 クリップを使い、小さな被写体を斜めにセットする/耐震マットで小物を吊して撮影

13 指輪の背景にシルバーマットを使う/ビーズクッションを背景として利用

14 スープの具材を液面に並べる/被写体を傾け真俯瞰のアングルをつくる

15 テーブル面に映る壁の白かぶりを抑える

16 鏡面の被写体は シルバーペーパーを床背景に使う

17 「注ぎカット」は撮影時の傾きで印象を変える

18 スケールダウンした 風景を 被写体に映し込む

19 ライティングで浮遊感を出すアイデア



コマーシャル・フォト 2024年10月号

■特集「令和の時代に、フィルムで写真を撮るということ。」
写真家・石田真澄がフィルムを使い、ハウススタジオやフェリー、海辺で自然体の齋藤飛鳥を11Pにわたって撮り下ろした。また、これまで石田が積み重ねてきた仕事の数々から一部を抜粋して紹介する。

また、中森 真、大野隼男、木村和平、竹中祥平、三部正博という5人のフォトグラファーがフィルムを使って撮影した仕事例、作品を紹介。フィルム撮影に関する考え、使用機材やよく利用する現像所などを伺った。

■連載「撮影を楽しむスペシャリストたち」
写真業界には数多くの撮影ジャンルがあり、それぞれの分野で活躍するスペシャリストたちがいる。この連載では、フォトグラファー中野敬久氏が毎回気になるスペシャリストにインタビューを行ない、その分野ならでは魅力や、撮影への向き合い方を聞くことで、“撮影を楽しむ”ためのヒントを探っていく。今回のゲストは新津保建秀氏。

■連載「GLAY CREATIVE COLLECTION 2024- VOL.03」
GLAY 30年間のクリエイティブを網羅した書籍「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」が好評につき連載化!今回紹介するのは9月18日発売の「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 in BELLUNA DOME Blu-ray & DVD」のアートワーク。アートディレクターの吉野晋弥氏、フォトグラファーの岡田祐介・田辺佳子氏に取材した。