レタッチの基本ワザ

第2回 合成の馴染ませ方

画像処理・解説:大里宗也(VONS pictures)

マスクがうまく出来ていても、合成したい素材が背景に馴染んでいなければ 違和感が出てしまう。今回は風景写真に人物を合成したシンプルな作例で、 合成素材の馴染ませ方について考える。

img_soft_retouch02_01.jpgPhoto:片岡竜一 ST:曽我部将人 HM:中山夏子 モデル:VIKA.D(ブラボーモデルズ)

人物と風景を別撮りする場合の撮影

img_soft_retouch02_02.jpg合成用の背景というとブルーバックなどを考えがちだが、スチルの場合は、背景の色が顔や服に色が映りこまない白やグレーが良い。この撮影では太陽光をイメージして右斜め上から、1200Wsのストロボをディフューザー無しで1灯でライティング。

img_soft_retouch02_03.jpg背景は24mmレンズで撮影した風景。可能であれば人物を入れたカットも撮影しておくと、影の落ちる方向、形、足元の接地の具合などの参考になる。

「別撮りした人物を合成する」というレタッチは、最もベーシックな作業のひとつだ。広告写真に人物を使用する場合、スケジュールの調整が難しいタレントを複数使いたい場合、それぞれ別撮りし、後処理で商品と合成することもよくある。

またロケ撮影の場合も、当日の天候悪化で思いどおりの撮影が出来なくなるリスクを考えると、時間的にも予算的にも「タレントだけをスタジオで別撮りして、合成する」というワークフローが広告制作において確立され、レタッチが活躍する場となる。

img_soft_retouch02_04.jpg

撮影現場に立ち会いできる場合は、ライティングやパース感などに少しでも疑問を感じたらフォトグラフア−やADにその場で確認しよう。そういったコミュニケーションを取ることは相互理解を深め、その会話の中で絵作り、画像処理のヒントを得られることも良くある。コミュニケーションもレタッチ作業の一部と考えて、積極的に取るようにしたい。

img_soft_retouch02_05.jpgimg_soft_retouch02_06.jpg 木や鳥などの写真は別の場所で撮ったカットを使用。素材カットは 急な変更に柔軟に対応するため、多めに撮っておくと便利。

人物のコントラストを調整し、背景と合わせる

img_soft_retouch02_07.jpg背景に切り抜いた人物を乗せただけの画像

img_soft_retouch02_08.jpgコントラストを調整した画像。濃度差は近づいたが色調が合っていない。

スタンドイン撮影画像img_soft_retouch02_09.jpg
合成画像img_soft_retouch02_10.jpg
実際の風景の影と、合成した人物の影を比較しながら調整する。 右上画像の合成の影は濃度が足りない。


人物の足元の馴染み具合に注意せよ!

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肌のトーンを調整し、髪の毛を馴染ませる

img_soft_retouch02_12.jpgコントラストを強くした画像。コントラストを強くし過ぎると彩度の高い画像になりやすい。

img_soft_retouch02_13.jpg左の画像の肌を色調補正した画像。彩度を抑え落ち着いたトーンに調整した。

img_soft_retouch02_14.jpgパーツ別にマスクを取り個別に調整している。これは肌のマスク。

img_soft_retouch02_15.jpg髪の毛はどんなに柔らかいマスクを取ったとしても、髪の毛の間に白い隙間が出てしまうことが多い。

img_soft_retouch02_16.jpg対処法として、髪の毛部分だけを余裕を持って切り抜いたレイヤーを「乗算モード」で人物の下に配置。この時、髪以外の白バック部分は完全な白(RGB 各数値が255 の状態)にする必要がある。

img_soft_retouch02_17.jpg
人物レイヤーの下に髪の毛用のレイヤーを置く。



ノイズを加える「粒子合わせ」

img_soft_retouch02_18.jpg背景にはノイズがあるが、人物にはそれほど見られない。こうした画像はB倍ポスターなどの大きなサイズの媒体に使われると違和感を感じる。

img_soft_retouch02_19.jpg人物にもノイズを加えた画像。ノイズの数値や各パラメータは画像によって調整しよう。

img_soft_retouch02_20.jpg

最終的に合成の馴染みを良くする作業として、「粒子合わせ」という作業がある。フィルムからスキャンした画像はそのサイズや現像などによって粒状性が異なる。

合成素材がフィルム全盛の時代、それら素材を組み合わせて合成する場合は粒状性の差異による違和感を緩和するために粒子合わせという作業を行なっていた。

デジタルカメラの画像はその粒状性とは別物の質感だが、素材を拡大・縮小したり、ISO感度の極端に違う素材を混在させる場合に、「粒子合わせ」は1枚絵としての馴染みを持たせるための有効な手段と言えるだろう。




大里宗也 Souya Ohsato

熊本工業大学附属情報技術専門学校メディアデザイン学科卒。2000年より株式会社VONSpictures所属。チーフCGデザイナー。http://www.vons.co.jp

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