黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit 02

スプラッシュの合成用素材は水に墨を混ぜる

「水のスプラッシュ(しぶき)を背景にした飲料やコスメなどの撮影では、
商品と水を別撮りして、後から合成するという方法がよく行なわれます。
スプラッシュは透明感を出すために、アクリルボード越しの逆光で撮りますが、

その際、背景を飛ばしてしまうと、水の輪郭やディテールも飛んでしまいます。
逆にライト出力を下げて背景をグレーにしてしまうと、

後からスプラッシュ部分を細かく切り抜かなくてはなりません。
そこで水に墨汁を少しだけ混ぜます。黒く色のついた水を撮ることで、

背景を白く飛ばしてもしぶきの輪郭、ディテールは飛びません。
黒くなりすぎても白くすること(透明にすること)は簡単ですし、

水に色がついている方が、ハイライトやカラーライトの映し込みもはっきりと出ます。
商品に水のスプラッシュを重ねた作例。左の商品はローションなので透明の水、
右は乳液なのでミルクで作ったスプラッシュ素材を合成。下の写真はスプラッシュ素材の一部。




スプラッシュ撮影のセッティング例


●透明の水は墨汁で薄い色をつけると、ライティングで背景を飛ばしても、スプラッシュの輪郭やディテールは飛ばない。

●背景のライトにカラーフィルターをかけると、液体に色をのせることができる。色が強すぎないカラークリアファイルで代用してもよい。

●コンパクトストロボをアクリル背景の手前下から入れて、飛び散った水滴に点光源でハイライトを入れる。


投げた水は頂点で一瞬止まるので、そのタイミングでシャッターを切る。




黒川隆広
くろかわ・たかひろ/amanaにて、30年間、商品撮影を中心に活動。2016年退社後、アライアンス社員として連携。現在は大手ECサイト商品撮影講座講師、写真の学校特別講師他、セミナー、イベントなどで写真の学びの場を提供。プロからアマチュアまで、また企業から個人向けまで、プライベートレッスンも受け付けています。
kuro1868@icloud.com
LINE ID:kuro390714

黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit バックナンバー 一覧

01 ワインボトル撮影のポイントとアイデア

02 スプラッシュの合成用素材は水に墨を混ぜる

03 缶を水に落とす時の隠し技

04 円形のカラーサンプル撮影方法/同じ形の「こぼれカット」を撮る

05 ハーフミラーによる反射物の平面撮影

06 ペーパーを丸めて背景を暗くおとす

07 ハイライトの「後のせ」合成

08 撮影素材からハイライトを拾い合成する

09 骨白アクリルの背景で影に色をつける

10 ライティングが上達するコツはモノクロで確認すること/写真を見るときの背景色に注意

11 黒バックで商品を浮かせて撮る時のポイント

12 クリップを使い、小さな被写体を斜めにセットする/耐震マットで小物を吊して撮影

13 指輪の背景にシルバーマットを使う/ビーズクッションを背景として利用

14 スープの具材を液面に並べる/被写体を傾け真俯瞰のアングルをつくる

15 テーブル面に映る壁の白かぶりを抑える

16 鏡面の被写体は シルバーペーパーを床背景に使う

17 「注ぎカット」は撮影時の傾きで印象を変える

18 スケールダウンした 風景を 被写体に映し込む

19 ライティングで浮遊感を出すアイデア



コマーシャル・フォト 2025年5月号

【特集①】
「ソニーα1 II×映画『SUNA』スチル&ムービーシューティング」


2025年5月公開を控える加藤シゲアキ監督映画「SUNA」。スチル・ムービーの撮影に使用されたソニーα1 IIの高画素、高感度耐性、AF性能を遺憾なく発揮した現場からレポート。(撮影:末長 真)
W主演を務める加藤シゲアキ・正門良規(A ぇ! group)がカバー&巻頭を飾る。

【特集②】
「フォトグラファーを目指す人のためのQ&A特集」


プロフォトグラファーがフォトグラファーを目指す人の素朴な疑問に答えます。撮影機材、仕事方法、ライフスタイルなどプロへの道を解説!

回答者:小暮和音/瀧本幹也/長山一樹/南雲暁彦/吉田明広/李 有珍

【連載】
長山一樹流 違いを生むコマーシャル・ポートレイト
「 ポートレイトisブラックアンドホワイト」
Create My Book -自分らしいポートフォリオブックを作る-
Vol.9 「風景写真」 金村美玖

ほか