黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit 14

スープの具材を液面に並べる

作例のような具沢山のスープ。
普通にカップに盛り付けると、具材が沈んでしまい「具沢山感」が出ません。
カップの底にラップでくるんだ粘土を沈め、

その上に具を盛ってスープ液面から覗くようにします。

左図のように、粘土をラップでくるみカップの底に沈めておく。
粘土の形でがたつきを作り、
具材がスープ液面に自然な感じで並ぶようにする。

斜め後ろ上からと、左後ろからの2灯撮影。
黒パネルで床、背景にあたる光をカット。
木目の背景は先月号で紹介したピノスタジオ「背景シート」を使用。



湯気ありシズルカット

ミストスチーマーで湯気を入れたシズルカット。
湯気、スモークの演出には、昔から様々な煙やドライアイスなどが使われてきたが、
食品はハンディタイプのミストスチーマーが便利。
この作例は一発撮りだが、黒バックで合成用素材を撮影して、後から写真にのせることもある。



湯気、スモークのいろいろ(合成用素材)




被写体を傾け真俯瞰のアングルをつくる

作例はカラーシャツを並べた真俯瞰アングルですが、
俯瞰撮影アームでカメラを商品の真上に据えるのは、
セットも大掛かりになって大変です。
このような被写体では、撮影台(天板)ごと傾けて斜め俯瞰で撮影すれば、

普通の三脚でも簡単に真俯瞰のアングルが可能です。
仕上がり写真。
撮影台(天板)にシャツを並べ、台を傾けて斜め俯瞰で撮影。




黒川隆広
くろかわ・たかひろ/amanaにて、30年間、商品撮影を中心に活動。2016年退社後、アライアンス社員として連携。現在は大手ECサイト商品撮影講座講師、写真の学校特別講師他、セミナー、イベントなどで写真の学びの場を提供。プロからアマチュアまで、また企業から個人向けまで、プライベートレッスンも受け付けています。
kuro1868@icloud.com
LINE ID:kuro390714


黒川隆広「商品撮影」基礎レッスン ReEdit バックナンバー 一覧

01 ワインボトル撮影のポイントとアイデア

02 スプラッシュの合成用素材は水に墨を混ぜる

03 缶を水に落とす時の隠し技

04 円形のカラーサンプル撮影方法/同じ形の「こぼれカット」を撮る

05 ハーフミラーによる反射物の平面撮影

06 ペーパーを丸めて背景を暗くおとす

07 ハイライトの「後のせ」合成

08 撮影素材からハイライトを拾い合成する

09 骨白アクリルの背景で影に色をつける

10 ライティングが上達するコツはモノクロで確認すること/写真を見るときの背景色に注意

11 黒バックで商品を浮かせて撮る時のポイント

12 クリップを使い、小さな被写体を斜めにセットする/耐震マットで小物を吊して撮影

13 指輪の背景にシルバーマットを使う/ビーズクッションを背景として利用

14 スープの具材を液面に並べる/被写体を傾け真俯瞰のアングルをつくる

15 テーブル面に映る壁の白かぶりを抑える

16 鏡面の被写体は シルバーペーパーを床背景に使う

17 「注ぎカット」は撮影時の傾きで印象を変える

18 スケールダウンした 風景を 被写体に映し込む

19 ライティングで浮遊感を出すアイデア

コマーシャル・フォト 2024年10月号

■特集「令和の時代に、フィルムで写真を撮るということ。」
写真家・石田真澄がフィルムを使い、ハウススタジオやフェリー、海辺で自然体の齋藤飛鳥を11Pにわたって撮り下ろした。また、これまで石田が積み重ねてきた仕事の数々から一部を抜粋して紹介する。

また、中森 真、大野隼男、木村和平、竹中祥平、三部正博という5人のフォトグラファーがフィルムを使って撮影した仕事例、作品を紹介。フィルム撮影に関する考え、使用機材やよく利用する現像所などを伺った。

■連載「撮影を楽しむスペシャリストたち」
写真業界には数多くの撮影ジャンルがあり、それぞれの分野で活躍するスペシャリストたちがいる。この連載では、フォトグラファー中野敬久氏が毎回気になるスペシャリストにインタビューを行ない、その分野ならでは魅力や、撮影への向き合い方を聞くことで、“撮影を楽しむ”ためのヒントを探っていく。今回のゲストは新津保建秀氏。

■連載「GLAY CREATIVE COLLECTION 2024- VOL.03」
GLAY 30年間のクリエイティブを網羅した書籍「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」が好評につき連載化!今回紹介するのは9月18日発売の「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 in BELLUNA DOME Blu-ray & DVD」のアートワーク。アートディレクターの吉野晋弥氏、フォトグラファーの岡田祐介・田辺佳子氏に取材した。